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21.ポジティブ柳

「廊下に立っていなくていいんでしょうか?」


柳と椿はいつもの校舎裏の花壇に来ていた。

椿は不安そうに柳に尋ねた。


「いいんじゃね? 二人くらいいなくたって気付かれねーよ」


廊下に出た者はまだ立ちんぼになっていると思っている柳は平然と答えた。


「でも一番目立つ二人だと思いますけど・・・」


「気にしいだなぁ~、山田は。大丈夫だって」


一体この自信はどこから湧いてくるのやら?

彼のポジティブなところを見習おうと思っていたが、こういうところを真似るのは如何なものか・・・。


それでもさっきは柳のお陰で助けられた。物事に動じない彼の強さに頭が下がる。

それに比べて自分はなんて情けないのだろう。


「柳君。助けてくれてありがとうございました。私のせいで悪者になってしまってごめんなさい。オフィーリア様のお友達にも申し訳ないことをしました・・・」


「いいって、気にすんなよ。それよりさ、山田は本当にプリント貰ってなかったんだろ?」


「はい・・・。受け取った記憶が無くって・・・。でも、山田の勘違いでしょうか・・・?」


「んなわけねーだろ。オリビアから受け取っておいて忘れるか? そこらのモブキャラから受け取ったんなら分かるけどよ」


椿は柳の言葉にハッとした。


確かに!

あれだけ気にかけているヒロインに手渡しされた物を忘れるわけがない!


「山田が彼女と接点を持たないようにひたすら逃げているので、どなたかに託したのでしょうか? 託された方が忘れたとか・・・」


「ホント・・・、山田ってお人好しだな・・・。まあ、いいけどよ・・・」


椿の言葉に柳は呆れたように溜息を付いた。


「それより今日どうしたんだよ? 何で遅刻したんだ? 心配したよ、いつまで待っても来ねーから」


柳の言葉にまたまたハッとする。


「まったく、こういうとき携帯無いのって不便だよなぁ~、連絡つかねーもん・・・」

「そうでした! 柳君! 事件です! 事件!」


ブツブツ呟く柳の言葉を遮るように椿は叫んだ。


「昨日の夜、大変な事があったんです!!」



☆彡



「マジかぁ!!!」


「はい!」


椿から自分たちは生きていてオフィーリア達と入れ替わっているという事実を聞かされ、柳は飛び上がって叫んだ。


「スゲー! マジでスゲー! 生きてたんだな、俺達! 良かった!! でかしたぞ! 山田!!」


「山田は何にもでかしていませんが、生きていたことは良かったです! でも、それが分かっただけで、問題は何も解決していません、すみません」


「いいって! 何で山田が謝ってんだよ!」


柳は嬉しそうにバシバシと山田の背中を叩いた。喜び過ぎて力の加減が調整できていないようだ。椿は小さくうめき声をあげた。


「なあ、山田! もしかして、夜になったら俺もセオドアと話せたりすんのかな? ヤベー、俺が俺と話すってスゲーんだけどっ! どんな感じなんだ? ヤベー、超話してみてー!」


(柳君、どんだけポジティブなんですか・・・?)


椿は大興奮している柳に、もはや呆れるを通り越して畏敬の念を抱いた。


「会えるかは分かりません。どうして私たちの世界と繋がったのかも分かりませんし・・・。時間が関係あるのか、それとも偶然なのか・・・。偶然にお互い覗いたタイミングが合ったからとか・・・。そもそも一回きりでもう会えないかもしれないし」


「俺だけど俺じゃねーんだぜ、そいつ。今の俺も俺じゃねーけど。俺と俺が話すってフツーありえねーよなあ! って、あー、何言ってんだか自分で分からなくなってきたー!」


「あの、聞いてます? 柳君」


「おー、聞いてる聞いてる。なんで俺たちの世界と繋がったか分からないんだろ? もしかしたらもう繋がらないかも」


(聞いてた・・・)


興奮しきりの柳だが一応椿の言葉を聞いているようだ。


「大丈夫だって! 一回きりな訳あるかよ! ぜーったい繋がるって! 試しに今日の夜も同じ時間に覗いてみろよ。きっと本物も向こうで待ってるぜ。俺も同じ時間に鏡を覗いてみる! 夜の10時くらいだっけ?」


「はい」


「っしゃっ! なんか希望が見えてきたぞー! 良かったな、山田!」


柳は力強くガッツポーズをした。

まだ何も解決していないが、柳の元気いっぱいな笑顔を見ると椿もすでに事の半分は解決したような錯覚に陥る。柳の前向きな笑顔に釣られ、椿も自然と頬が緩んだ。


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