表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

体験談系エッセイ

あの日食べたきゅうりの味が忘れられない

作者: 七宝

 忘れもしないあのきゅうりの味。


 忘れた日付。


 あの日、私たちはバーベキューをしていた。

 叔父家族も住んでいる祖父母宅の庭で、15人ほどで集まってワイワイやっていた。


 安い肉にこっそり文句を言ったり、高級肉に舌鼓を打ったり、変な味のドレッシングで盛り上がったりしながら楽しい時間を過ごしていた。


 やがて肉もなくなり、残った野菜をちまちま食べていた頃に「それ」はやってきた。

 従姉(いとこ)が家の中からきゅうりの一本漬け(割り箸が刺さっている)を人数分持ってきたのである。


 この時の我々招待客の盛り上がりは尋常ではなかった。一本漬けはアガるのだ。15本も一本漬けを用意してくれた従姉に礼を言い、それぞれ1本ずつ手に取った。


 そして、皆に行き渡ったことを確認した従姉がきゅうりを掲げ、音頭をとった。


「我ら生まれた日は違えども!」


「「死す時は同じ日同じ時を願わん!!」」


 誓いを立て、各々がきゅうりを口へ運ぶ。

 その時だった。


「みんなちょっと待ってこれダメだ!!!」


 とんでもない顔をした従姉が叫んだ。塩辛かったのだ。

 しかし、そんな従姉の言葉も間に合わず、ひと口齧った者たちは次々と悲鳴を上げ始め、会場は阿鼻叫喚の地獄絵図となった。


 無論、私も口にしていた。

 冗談抜きで死ぬかと思った。


 これまで生きてきた中でダントツの塩辛さだった。明らかにこの世の食べ物ではなかった。1番つらい地獄で食べさせられる拷問食のようであった。


 そしてなぜか、塩よりも塩辛かった。

 塩分の含有量がきゅうりの重さの6倍はあるのではないかと思ってしまうほどだった。


 ペヤング獄激辛Finalと同等かそれ以上の衝撃だった。ペヤングは1本でも悶えるほど辛く、体が危険信号を出すのだが、摂取出来ないかと言うとそうでもなかった。

 それに対し、このきゅうりの時は体が「死」信号を発していた。飲み込むと100%死ぬという確証があったため、齧った全員が吐き出した。


 参加者が飲み物を飲んで落ち着いている中、従姉は1人あごに手を当てて首を傾げていた。


「ん!? まちがったかな⋯」


 アミバもとい従姉になにを間違えたのか聞いてみたところ、使う塩を間違えたのだという。


 ふざけんなと思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おいらも、この間、野菜炒め作ってて塩加減を間違えました。 匙(さじ)でパラパラと振ってたんだけど、ちょっとした タイミングミスで「バサッ♡」と入っちまって。 「……ああ、こいつは辛いわ………
2024/01/24 22:42 退会済み
管理
[良い点] 前のクロワッサンみたいな、また食べたい系で、そんなきゅうりが?! とwktkしてしまったのにっ!! あわよくば、その美味しいにあやかれる何かレシピがあるかもって思ったのにっwwww 災難で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ