表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/44

狙われた男【Bパート】

「何だよ、超いい事って?」


 健悟(けんご)真雨(まさめ)()き返した。


「今のお前は守護霊不在の状態だ。

 つまり、守護霊に見放されたのと同じ状態なんだよ、わかるか?」


 人差し指を突き出して真雨が説明する。


「だ、だから何なんだよ?」


「そんな状態の人間が死んだらどうなる、か?

 ああ、どうなる、どうなる?

 どうなっちゃうんだろうなぁ~?」


「‥‥どうなるんだよ?」


「じゃあ言うかんな。

 耳の穴かっぽじって、よぉく聞けよ?」


「早く言え。」


「やっぱ強制転生の対象になんだよ! ひゃっひゃっひゃっひゃっ。

 しかも事故死や自殺だけじゃなく、寿命死も含めたあらゆる死に適用されんだよ!」


「なっ!? なにぃーっ!?」


 未来永劫ナメクジに生まれ変わり続けるのは嫌だ。


「つ・ま・りぃ、アタシらは一蓮托生(いちれんたくしょう)なんだよ。けけけ。」


「なんてこった‥‥。」


 ハンパない絶望感が健悟に押し寄せる。

 が――


「うん、早く百万貯めて守護霊をチェンジしてもらおう。」


 健悟は度重(たびかさ)なる不運で打たれ強くなっていた。


「ちょーっと待てぃ!

 二十六万貯めて、アタシを守護霊に復帰させる方が難易度が低いぞ!」


 焦る真雨が説得する。


「悪縁を断ち切れない守護霊なんて、いりませーん。」


「ぐぬぬぬ‥‥。」


 痛い所を突かれ肩を震わせる真雨。

 だが、悪知恵なら真雨も負けない。


「ここのバイト代から税金と国民健康保険、家賃、光熱費、通信料、食事代、雑費、そして鷹端(たかはた)瑞希(みずき)神療内科での診察料のローンを引くと、いくら残るでしょうーか?」


 ニマッと笑って出された真雨のクイズは健悟に嫌な汗をかかせた。


「質素倹約しても八千円‥‥くらい?」


「ひゃっひゃっひゃっひゃっ、百万貯める前に物価が上がって貯蓄ゼロになるに決まってるぞ。」


「そ、そうなったら賃上げ交渉してだな‥‥。」


「グロスのアニメ会社にか?」


「う‥‥。」


 健悟はぐぅの音も出ない。


「だから言ったろ、ここは悪縁(ブラック)だからやめておけって。」


「だって、深夜のバイトなら給料もいいと思ったし、クリエイティブな仕事の手伝いにも魅力を感じたし‥‥。それに他の選択肢が介護職しかなかったし‥‥。」


 健悟は言い訳を始めた。


「ああ、あの特別養護老人ホーム(とくよう)な。

 ――言っとくけど、あそこも悪縁(ブラック)だから。」


 真雨の言葉に更なる絶望感に打ちのめされる健悟。


「俺の選べる選択肢はハズレしか出てこねぇのかよ‥‥。」


「もしアタシが悪縁を全部断ち切っちまったら、健悟の就職先はなかったかもねぇ。」


 落ちこぼれの元守護霊は更にダメ押しした。

感想、評価、ブクマを付けてくださっている方々、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] とことんツキのない健悟が面白いですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ