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あまりに使えないんで守護霊をチェンジしてもらっていいですか。  作者: 鳩野高嗣
第十二章 守護霊ハンター
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守護霊ハンター【Cパート】

「も、もう大丈夫、なの、貴緒音(きおね)さん?」


 健悟(けんご)が休日を取った初日、神療内科のベッドで上半身を起こした貴緒音に舞亜(まいあ)が近付いて(たず)ねた。


「ええ、もう大丈夫や。

 ――みんなにはえらい心配掛けてもうたなぁ。」


「それで、守護霊ハンターというのはどのようなモノ(・・)でしたか?」


 瑞希(みずき)が貴緒音に問う。


「‥‥それが‥‥あっという間に三人ともやられてもうて‥‥あまり印象として残ってはあらしまへんのや。」


 貴緒音は両目を閉じて答えた。


(あやかし)(たぐい)だとすっと、とんでもねぇレベルなんじゃねぇか?」


 真雨(まさめ)はどこか強敵を楽しみにしているようにも見える。

 こいつのメンタルだけはレベル四桁級だ。


絵麗(えれ)さん、今、どの辺に守護霊ハンターがいるか、わかりますか?」


 健悟が先程から黙りこくっている絵麗に(たず)ねた。


「‥‥ハッキリとわかりますにゃ。」


「えっ!? それはどの辺なんですか!?」


 健悟が改めて()き直した。


「それが、実はこの病院の中だったりするんスよ。」


 そう言うなり、断ち切り道具(アイテム)のチェーンソーを出現させ、臨戦態勢を取る絵麗。


「そんな莫迦(バカ)な。

 この病院には結界が張られていて、妖も無用な人間も入って来られないはず。」


 さすがの瑞希も動揺を隠せない。


「ど、どこにいるん、です、か!?」


 舞亜が断ち切り道具(アイテム)戦斧(バトルアックス)を取り出した次の瞬間だった。

 本来なら阿虎(あとら)が所有しているはずの大太刀が舞亜の腹を貫いた。


「かはっ!」


 予想だにしていなかった一撃に、舞亜は何も反応が出来なかった。

 手からこぼれ落ちる戦斧(バトルアックス)


一丁(いっちょ)上がりや。

 うちの忠告、忘れはったん? 油断、禁物や言うたはずなんやけど。」


 大太刀の持ち主は貴緒音だった。


「き、貴緒音さん‥‥どう、して‥‥?」


 舞亜はそう問い掛ける。


「そんなん、うちが守護霊ハンターやからに決まってるやん。

 ――残糸(ざんし)、断ち切らわしてもらいま。」


 大太刀が舞亜の左脇腹からサッと抜けると、彼女はその場で光の粒子となって消滅した。


「舞亜さん!

 ‥‥まさか、貴緒音さん、あなただったなんて!」


 健悟が血相を変えながら丸椅子で防御姿勢を取る。


「阿虎はんには流石(さすが)に手こずらされましたわ。

 おかけで、うち、あない手負いにさせられましたし。」


「ふっざけんなっ!」


 真雨がいつもの通り、無謀にも突っ掛かって()った。


「飛んで火に()る夏の虫やな。」


 貴緒音が大太刀から対華の断ち切り道具(アイテム)の軍刀に切り替え、身構える。


「真雨――っ!!」


 健悟は持っていた丸椅子を貴緒音に向けて投げつけた。

 霊に対して物理攻撃が有効となるこの空間ならではの作戦だ。


 スパッ!


 しかし咄嗟(とっさ)の判断で丸椅子を真っ二つにする貴緒音。


「剣の達人()うんは、鉄の剣を(もっ)て鉄の兜を割るっちゅう――」


 バキッ!


 カッコいい台詞(せりふ)の途中で真雨のグーパンが貴緒音の顔面を捕らえた。


「ほえぶぁっ!」


 無様な声を上げ倒れる貴緒音。


「おっしゃーっ、決まった! 作戦通り!」


「嘘つけっ、偶然じゃねぇか!」


 真雨の台詞(せりふ)には健悟もツッコまざるを得なかった。


「いいんだよ、こーゆーのは結果オーライで。」


 だが、貴緒音はすっくと立ち上がる。


「たかがグーパン一発、されどグーパン一発。

 低レベルの分際で、うちの顔を殴るとは‥‥礼っちゅうもんを教えたらなあきまへんなぁ。」


「なぁにが礼だよ。

 テメェ、今の状況わかってんのか? こっちは二人、そっちは一人。」


 真雨の言葉に促されてか、絵麗が真雨に歩を進める。

 が、貴緒音は口端(くちは)を上げる。


「わかってへんのは、そっちの方や。」


 次の瞬間、絵麗のチェーンソーが真雨に向かって勢いよく振り下ろされた。

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