守護霊ハンター【Aパート】
この作品は『時代に取り残された』と感じている全ての方々に捧げます。
「おっかしいにゃあ。」
今日の配達を終え、国道254号線を川越方面に走る健悟の7tユニックの後部座席に座り、精神感応通信を送り続けていた絵麗が首を傾げた。
「どうしたんだ?」
気になった健悟が滅多に使わないセンターミラーをチラ見して尋ねた。
「昨日っから対華のヤツが連絡に応じないんだよねん。
一昨日は『京都で高レベルの妖を退治したッ』なんて自慢してたのに。」
「ぶ、無事だといいんです、けど‥‥。」
「まっ、『便りがないのは良い便り』って昔っから言うじゃねぇか。大丈夫、大丈夫。」
真雨が心配そうな舞亜に気遣いを見せた。
「頼りないのは良い守護霊とは言えねぇけどな。」
「あんだと、健悟! その頼りない守護霊様に何度助けられたと思ってんだ、テメェは!?」
「おや、自覚はあるんだ、頼りないって。」
「うぐぅ~~っ!」
「ま、まあまあ、ふ、二人とも、お、落ち着い、て。どうどう。」
「俺らは牛馬かっ!?」
「アタシらは牛馬かっ!?」
なだめる舞亜に健悟と真雨がユニゾンでツッコミを入れた。
その直後だった。健悟のスマートフォンに『マキシマム・フィーバーG』のオープニングテーマの着メロが鳴る。
条件反射的にイヤホン型のハンズフリー機器を装着し、電話に出る健悟。
「はい、飯綱です。」
「こんにちは、鷹端瑞希神療内科の山田です。
今、お時間大丈夫でしょうか?」
「ええ、まあ。
‥‥何かあったんですか?」
「実は先程、貴緒音さんが一人で参られて‥‥。」
「えっ、貴緒音さんが?」
「健悟、スピーカーをオンにしろ!」
「ああ。
――でも、ここじゃ、お前の声だけは山田さんには聞こえねぇぞ?」
「わかってるよ、ンな事。とっととオンにしやがれってんだ、バホマトン。」
「へいへい。」
健悟は真雨に言われた通りに操作した。
「それで山田さん、貴緒音さんが病院に見えたって、どんな状況なんですか?」
「それが、かなりボロボロな状態で‥‥。
幸い、彼女の命には別状はなかったのですが‥‥。」
「まさか、阿虎のおやっさんと対華は‥‥?」
絵麗が口を左手で隠しながら山田に尋ねる。
「飯綱さん、お仕事中ですよね? 病院に来られた時にお話しします。」
「あの山田さん、それ、気の遣い方、間違えていますよ?
かえって気になりますって。」
「そうですか?
――それじゃあ、今、伝えますけど‥‥阿虎さんと対華さんは守護霊ハンターによって消滅させられたそうです。」
車内に衝撃が走った。
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