縁【Aパート】
この作品は『時代に取り残された』と感じている全ての方々に捧げます。
「何が起こったんですか、これは?」
現場検証に訪れた警察官が健悟に尋ねた。
「はあ、信じて頂けるかどうかわかりませんが、7tユニックがロボットに変形して暴れまわったんです。」
「‥‥あなた、正気ですか? 誰がそんな世迷言を。」
「――ですよね。普通、信じられないですよね。‥‥でも。」
健悟はロボットのまま倒れている7tユニックを指さした。
「だから、あれは何なんですか?」
「お巡りさんにはロボットに見えませんか、あれ?」
「見えるから質問してるんですよ!」
警察官も相当テンパってきているようだ。
と、そこへパトカーが入り込んでくる。
バタム!
中からは警察官二名と誠商事の社長、仲田が出てきた。
「これはひどい‥‥。」
仲田が目を見開いて惨状を嘆いた。
「巡査長、監視カメラの録画には信じられないものが映っていました。」
乗りつけた警察官のうち、背の高い方が報告した。
「信じられないもの? 報告は正確に順序立ててしなさい。」
「それが‥‥赤紫色のユニックがロボットになって暴れてたんです。」
背の低い警察官が報告した。
「何っ!? では、証言は正しかったと‥‥。」
驚愕してから呆然とする巡査長。
「飯綱さん、これは一体、どういう事だ!?
まさか君がやったんじゃないんだろうね!?
君、前はプログラマーだったんだろ!?」
仲田が健悟を問い詰める。
もし、こんな物が組めるプログラマーだったら、今頃はどこかの研究機関の名誉顧問だ。
「社長、落ち着いてください。自分じゃないです。
第一、こんなのが作れたら運送業者に転職はしませんって。」
「それもそうか‥‥。
お巡りさん、この事件の場合、保険は降りるんでしょうか?」
仲田が巡査長に尋ねる。彼も一杯一杯のようだ。
「さあ‥‥私たちは保険会社ではないので何とも‥‥。」
「全車がオシャカになって、保険が下りないと我が社は破産です!」
「お気持ちは察しますよ、社長さん。
取り敢えず、倒れているトラックを起こして動くかどうか確かめてください。
ああ、それから保険会社にすぐに連絡を。」
● ● ●
その後、クレーン車で倒れているトラックを起こし、何とか動く事は確認出来たが、安全面という観点から全車とも修理工場へ出す事になった。
また、ロボットに変形してしまった7tユニックは警察が証拠物として特大のレッカー車で運んで行った。
仲田と健悟、それに本来ならこれから宵積みに向かうはずだったドライバー六名はひとまず会社に戻った。
「すみません、社長。変な事件に巻き込まれてしまって。」
項垂れる健悟。
「まあ、怪我がなくて何よりだ。
トラックが直ってくるまでは、みんなには休業という形を取ってもらう事になるが‥‥飯綱さんのトラックはおそらく廃車だろうから、保険会社が全額支払わない限り、申し訳ないが君は本日付けで――」
と、ここまで言ったところで、会社の電話が鳴り響いた。
「社長、アメリカの軍需メーカーがあのロボットを引き取りたいとの事ですが、どうしますか?」
経理の女性、剣崎静江が慌てた口調で尋ねてきた。
「軍需メーカー? 今、代わる。」
「ああ、もうニュースで流れたんだな。
――にしても、反応が早えーなぁ。」
今まで静観していた真雨が口を開いた。
「ロボットに変形する7tユニック、その手の研究機関には垂涎だろうさね。」
マリアが愛狼の宗希の頭を撫でながらつぶやく。
そんな時だった。
「三億USAドル!?」
仲田が素っ頓狂な声を上げた。
● ● ●
その後、アラブのコレクターや中国の軍需メーカーなどからも問い合わせがあり、オークション状態となったが、最終的には最初にコールしてきたアメリカの軍需メーカーに四億八千万USAドル+送料負担で売却された。
これにより健悟の首は繋がり、新しい7tユニックが購入される運びになった。
ニュースなどで話題になった為、会社側も体裁上、健悟を解雇する訳にいかなくなったのだ。
そして、それが納入されるまでの期間、日給八千円が支給される事も約束された。
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