アイドルオーラ【Cパート】
「いいか、そこのアイドルのなり掛け。耳の穴をかっぽじってよく聞きやがれ。
テメェはテメェの仲間っからアイドルのオーラを吸収してんだぞ!」
真雨は左手の人差し指をケイにビシッと突き付けて状況を説明した。
「いいじゃないですかぁ。
あの中に全国区になれるような娘、いると思いますぅ?
いないですよねぇ、縁が見えるお姉さんならわかるはずです☆」
全く動じないケイは更に言葉を続ける。
「だったら仲間である私にぃ、例えわずかだったとしてもアイドルオーラを献上してぇ、『あの娘と一緒にアイドルをやっていた頃があったなぁ~』なんて想い出話が出来た方が幸せですよねぇ☆」
パーンッ!
ケイの左頬に衝撃を与えた健悟の平手打ち。
その音が辺り一面の空気を劈いた。
その光景に凍り付く藤瓦や他のアイドルたち。
「ちょ、ちょっと飯綱さん、何をっ!?」
慌てて駆け寄る藤瓦。
「(真雨、後は任せた。)」
「言われなくたって、やってやんよ!」
ニッと笑った真雨が左手の親指を立てる。
「どうしてもウチらと闘う気なのですね。」
そう言うと百合は、優に三メートルはあろうかという白蛇の姿に、青い小鳥は五十センチサイズの蚊のような妖に姿を変貌させる。
その姿に驚愕したケイは絶叫を上げた後、気絶した。
「藤瓦さん、すみませんがその娘の看護をお願いします。」
健悟の言葉と真剣な面持ちに、
「えっ? あ、はい。」
藤瓦は素直に従い、お姫様抱っこで取り敢えずシアターへ運んだ。
「やっと本性を現したか、動物霊と妖。
――んじゃ、行くよっ!」
真雨お得意の鼻毛切り鋏を突き出しての突進戦法を繰り出す。
――が、白蛇の尾が鞭のように撓り真雨に襲い掛かる。
バシッ!
「ほべばぁっ!」
ドガッ!
真雨の身体はいつものように弾き飛ばされ、2t車に勢いよく激突する。
そして、その怯んだ隙を狙い澄ましたかのように、
「キシャシャシャ!」
蚊の妖が奇声を発しながら鋭い針状の口を向けて突進してくる。
「させるかっつーの!」
真雨は紙一重で躱すと、針状の口はタイヤに突き刺さりそれをバーストさせた。
必死に口を抜こうと足掻く蚊の妖。
「残糸、断ち切る!」
パチッ!
鼻毛切り鋏で、この世と蚊の妖の命を繋ぐ糸を断ち切る真雨。
「キシャーッ!」
刹那、蚊の妖は断末魔の声を上げて消滅した。
「よくもピーちゃんを! 許しませんよ!」
白蛇はそう言うとアスファルトの中へ姿を隠した。
「どうです? これなら残糸は見えないでしょう?」
「くっそ、考えたな。」
と、次の瞬間、地中から現れた白蛇は真雨の身体に勢いよく巻き付く。
「痛いですかぁ? 闘いはお好きでいらっしゃいますかぁ?
死ぬのは怖いですかぁ? 何か仰ってください。」
白蛇が締め付けながらインタビュアーのように問い掛ける。
「ぐあーっ! チキショウ‥‥。」
真雨は必死に鼻毛切り鋏で残糸を切ろうとする。
しかし、どう頑張ってもこの道具では切れそうにない。
「真雨ーっ!」
健悟も2t車に積んであった長いバールを持ち出し、白蛇の身体に殴り掛かるが、空振りするだけだった。
「無駄ですよ、人間。あなたの物理攻撃は当たりません。」
と、その時だった。
チャラリラッパー、チャラリラッパー、ラッパッパー♪
突然、8ビットゲーム機のレベルアップ音のようなМEが流れた。
「真雨の守護霊レベルが2になりました!」
そして天からのメタ音声が聞こえてきた。
どうやら蚊の妖を消滅させたのが功を奏したらしい。
「!? これは!」
右手に持っていた鼻毛切り鋏が光を放つ。
「おおっ、これはもしかして、切れ味が増す道具になるんじゃねぇか!?」
健悟が期待の声を上げる。
どんな道具なのかは、現状では神のみぞ知るといったところだろう。
やがて、光が収まり、新しい道具が姿を現した。
――が、それは紙やすりだった。
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