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あまりに使えないんで守護霊をチェンジしてもらっていいですか。  作者: 鳩野高嗣
第四章 セカンドオピニオン
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セカンドオピニオン【Bパート】

「ええ、まあ。」


 健悟(けんご)は愛想笑いを浮かべ、適当にやり過ごそうと答える。


「ああ、私、こういう者でして。」


 狐目の男は名刺を健悟に手渡した。

 それには『六車(むぐるま)神療内科院長 六車(むぐるま)朱雀(すざく)』とある。


「神療内科‥‥!?」


「お見受けしたところ、守護霊と分離していますね、あなた。」


「わかるんですか?」


「それはもう。こちらはプロですから。

 ――大方、守護霊を代えた方がいいと持ちかけられ、多額のローンを組まされたのではありませんか?」


「そうなんです!」


「最近いるんですよね、悪徳霊媒師が神療内科を(かた)るインチキ事件。」


「インチキ‥‥なんですか?」


 健悟には瑞希(みずき)がインチキ霊媒師であるとは、にわかに信じられなかった。


「あなたの主治医が偽医者かどうかまではわかりませんが、当医院はインチキ神療内科撲滅の為に組織されたNPО団体なんです。

 お困りの方がいれば無償でお助けする、私はそんな仕事に(たずさ)わっています。

 どうでしょう、お時間があれば一度いらしてみては?」


「セカンドオピニオンみたいな感覚で行ってもよいでしょうか?」


「ええ、結構ですよ。

 二十四時間、年中無休でやっています。

 時には出張サービスも行います。

 ――実は先程も一件、仕事をしてきたばかりなんですよ。」


「二十四時間、年中無休‥‥それは大変なお仕事ですね。」


「ははは、私が無休で働いている訳ではありませんよ。

 スタッフが三交代制で働いています。」


「それは素晴らしい。」


 健悟はそう言うと、隣りの真雨(まさめ)をチラリと見た。


「なあなあ、無償でアタシをこいつの身体(からだ)に戻してもくれんのか!?」


 目を輝かせた真雨が六車に問い掛ける。


「はい、もちろんです。」


 真雨との会話が成立している事を確認した健悟は心を開放する。


「じゃあ、守護霊チェンジも無償でしょうか?」


「はい、もちろん。

 もっとも、すぐにという訳にはいきません。何度か受診に来て頂いた後になります。

 元守護霊が強制転生されないよう、アフターケアもしなければなりませんし。」


「アフターケア付きなのか!

 こんなヘッポコスペックで、ろくな『選択糸(せんたくし)』が出てこないバホマトンな人間よりもマシなヤツの守護霊になれたら、どんなに素晴らしい事だろう!

 行こう、健悟! 今すぐに!」


 真雨は完全に乗り気だ。


「ヘッポコスペックで悪かったな。

 ところで、バホマトンって何なんだよ?」


「そんな事も知らねぇのかよ? だっからテメェはバホマトンなんだよ。

 いいか、一度しか言わねぇからよく聞いとけ。

 莫迦(バカ)阿呆(アホ)、間抜け、頓馬(トンマ)の略だ。」


「神療内科に行ったら一発グーパンな。」


 いつしか健悟も六車の名刺にある病院に行く気になっていた。


「私は今日は七時で上がりなので診察は別の医師になりますが、それでも宜しければ是非お立ち寄りください。

 何より、守護霊と分離している状態というのはとても危険です。地縛霊などの悪霊に()りつかれる危険性が高まりますからね。」


 健悟と真雨にフラッシュバックされる玄武(げんぶ)との闘い。

 そんな中、電車のアナウンスが東長崎駅への到着を告げた。


「ああ、私は自宅がここなもので失礼致します。」


 そう告げて六車は降車した。


 ● ● ●


 健悟と真雨は池袋で降り、南池袋にある六車神療内科へ向かった。


「ここかな?」


 そこは瑞希の神療内科と同様、必要としている者にしか見えないし入れない建物のようだった。


 ウィーン。


 自動ドアが開く。

 早朝からだろうか、閑散としている。


「おはようございます。通院の方でしょうか?」


 受付の女性に声を掛けられる健悟。女性の名札には中山とある。


「いえ、初診なのですが、ちょっと紹介されたもので‥‥。」


 健悟は六車の名刺を見せた。


「ああ、院長の。

 ――では、こちらへどうぞ。」


 首尾よく健悟と真雨は診察室へ通された。

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