第17話 婚約破棄第2ラウンド ①
※今回は少し短めになります
「お嬢様、お茶をお持ちしました。グスン・・ウウ」
「え、ヤシロ!どうしたの。涙がこぼれているわ。辛いの?お国が恋しいの?」
「いえ、私はお嬢様に仕えることが出来て嬉しいのです。競争倍率すごかったのですから、イセ国の大恩人、スペンサー侯爵家に仕え。しかも、お嬢様は映像で見たシャーロット様にとてもそっくりなので、身が震える気持ちがします」
「ええ、重いわ。私はどこにでもいる令嬢ですよ。慣れてくれれば嬉しいかな」
「はい、努力します」
私はシャルロット。偉大な曾お婆様にうり二つだと言われるのが自慢でもあるのだが、大いに期待されて、少々荷が重い。
私は今年で12歳、曾お婆様はこの年から帳簿を一人でおつけになったそうだ。
お母様が亡くなったことをきっかけに、父親のモーゼンが、曾お婆様の才を見抜き。
領政を手伝わせた。
曾お婆様が16歳のころに、伯爵代行を辞退し、曾お婆様に全権を委譲、モーゼンは昔から夢だった庭師になった。貴族籍から抜け、スペンサー家の庭師ヨブ爺に弟子入りし、生涯を曾お婆様に仕えた。
おかしくない?いくら優秀な曾お婆様でも領主は若すぎる。社交界に行かせるべき。
結婚も学園で第二王子と出会い。愛を深め婚約し卒業と同時に結婚。
あの時代の貴族なのに、婚約者が長らくいなかった。
モーゼンの実家、パーマス子爵家は、悪名高い貴族血統主義者、この時期、派閥24家に伝染病が蔓延し、多くの子弟が亡くなり、貴族の義務を維持できないとして自主的に爵位返上。
それと、関係あるのかな?
曾お婆様の懐刀、忠義メイド、アンことセンパイはイセ連邦では人気の演劇物。
虐げられるお嬢様に仕え機転を利かせ助け。最後に、お嬢様は高貴で優しい旦那様と結ばれる。センパイはその護衛騎士と結ばれ、夫婦で侯爵夫妻に仕えた。
微妙に、虐げられたお嬢様に仕えた以外は、史実と似通っている。
国乱れて忠臣あり。何か不穏なことが曾お婆様にふりかかったのかもと推察している。
「勉強熱心でございますね」
「うん。同じ本を何回も読むと新しい発見があるの。四女傑の本よ」
「まあ、スペンサー侯爵のタウンハウスは、偉大な四女傑の出会った場所ですね。その中心人物はシャーロット侯爵様ですわね」
イセ国から、イセ連邦を設立したイセ国主ミヤ・イセ
人間で初めて魔族統一をした。魔王アキ・イセ
王国を陰で支えた賢妃イザベル
そして、石油事業を中心とした産業を数々興した我が曾お婆様、シャーロット・スペンサー
曾お婆様が事業を興したおかげでイセ国は市場を拡大することが出来、自動車、電気、通信、映画やラジオなどの娯楽が、大いに受け入れられた。一方、イセ国はポーションや、魔法、特に探知魔法がお気に入り。
私も探知魔法が使える。
「いいえ、それだけではありません。スペンサー家の方々、シャーロット様がいらっしゃたから、我等は人であることができたのです。もし、スペンサー家の方と出会わなければ、私たちは戦争に明け暮れていたでしょう。
私どもは、自分たち以外を『現地人』と呼び、どこか見下していました。この心情は異世界転移したイセ国人にしか分かりません。しかし、そのような偏見をうち破ってくれたのは、初代サーク様に遡ります。お嬢様にも情報開示されるでしょう」
「ええ、楽しみにしているわ」
曾お婆様の時代から帝国と埋めることの出来ない文明差と国力差が生じた。
逆転不可能といわれるくらい我が陣営は強固な経済基盤を確立。
帝国の帝都は、我国の地方都市に及ばないとさえ言われられている。
シャルロットは本を閉じた。
「そろそろ、出かけます。孤児院に行きます」
「はい、お嬢様、お車の準備をいたします」
車が門を出ようとしたとき、門の直前で
門衛が止めに掛かる。
「不埒者が現れました。しばらく、お待ちを・・」
「わかりました。どうか、門衛さんもお気を付けて」
「はっ、有難うございます」
その時、門の方から「シャーロット・・・」と声が聞こえた。
「曾お婆様の名?」
シャルロットは、護衛を引き連れて、門まで行った。
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