第14話 不敬を働く使用人に天誅
※お食事中の方には、ちょっとな表現があります。ご注意下さい。
☆一月前、ミヤがスペンサー家に来たころ
「おい、見ろよ。また、地味令嬢のメイドがメシを運んでいるぜ」
「おっと、足が滑った!」
ガチャン
「アッ」
「おっとつまずいたぜ」
「キャア-」
使用人が運んできた食事の中に、Gが入っていた事件があってから、アンが作り運ぶものしかシャーロットは食べられなくなっていた。
しかも、使用人が意地悪をするので、よく欠食する。
その現場をジィと見ている黒髪、青みがかった目をしたメイドが見ていた。ミヤだ。
「シャーロット様のトラウマを取り除かなくてはならないわね・・・使用人誅殺をする計画も一緒に・・」
シャーロット様は、センパイの作ったご飯しか食べれなくなった。美味しそうに食べて、微笑ましいけど歪んでいるわね。とにかく、別館を急いで作らなければ・・・
☆お茶会事件の後
「しかしよ。あのお茶会で給仕した奴ら、5人が病死で、他は全員退職って何が起きたのかな?」
「さあ、旦那様と奥様とメロディ様は、お部屋に籠もって、出てこない。お食事もお運びしている状態だ。きっと、地味令嬢が、何か呪いでもしたと思うぜ」
「まさか!」
・・・・
「あれ、料理長、うちらの賄いは?」
「大変だ。どこも食材を売ってくれない!」
「「「何?」」」
☆☆☆街
「売れないよ。あんたらに売ると、ごろつ、いや、強そうな兄ちゃんたちが抗議にくる。あんたらに売るよりも高い値段で買ってくれる。それに・・」
店主が空き地の方を指さすと、子供たちが集まって、熱心に紙芝居を見ていた。
「食べ物を粗末にする使用人どもめ。このシャルが許さないわ!
ヒエ~お助けよと、ゴロツキ使用人どもは逃げて行った!
さあ、お嬢様の大勝利です。塩で厄払いをしましょう!とセンパイが塩を撒きましたとさ。めでたし!めでたし!」
ワワアアアアアアア!パチパチ
「ねえ、おじちゃん。なんでセンパイは塩を撒いたの?」
「さあ、異国の風習らしいね」
・・
「何だ、あれ、あの絵は、上手いけど、微妙に崩れた絵だ。しかも、あの悪役の使用人、俺たちと同じ制服をきているぞ!」
「畜生、売ってくれるところを探すぞ!」
やっと、10キロ先の鉱山町のスナックを売る屋台は、売ってくれた。
「はあ、はあ、これじゃ腹が持たねえよ」
「旦那様と奥様は頼りにならないし、どうしたらいい」
「おい、見ろ。あの地味令嬢、自分だけ食べているぞ!」
ガーデンで、バーベキューパーティーが行われていた。
ミヤが海鮮、野菜、お肉を焼き。シャーロットとセンパイに振る舞っていた。
「ワー美味しい」
「パンもフワフワ・・」
(フフフ、こうして、目の前で焼くと食べてくれるようになったわね)
「お嬢様、センパイ、いっぱいあります。慌てず食べて下さいね」
「でも、こんなに食べられないよ・・」
「ご心配なく、手を付けなかったものは孤児院に贈ります」
「孤児院で出来ないかな。いや、孤児とシスターをこちらに、お招きすれば」
(フフフ、孤児院の子供たちを招くなんてシャーロット様らしいアイデアです)
・・・
使用人たちが、抗議するために集まってきた。
「おい、お嬢様、自分だけ食べて、酷くないですか?俺たちはこんなに腹を空かせているのに!」
「「「そうだ。そうだ」」」
ミヤが立ち塞がり、盾になろうとしたとき、シャーロットは、ミヤを手で制した。
「ミヤ、これは、私が言わなければならないこと。余計な手出しは・・しないで、だけど・・・・支えてね」
「はい、大変失礼しました」
(何と立派になられたのか・・・昔にお戻りになられている。グスン)
「何だ、あのメイド、泣いてる」
☆数年前
私たちの一族は、昔、スベンサー家直系を守る盟約を結んだ。それは決して破ってはいけないこと。
ある日、父に連れられて、スペンサー領に来た。
しかし、現地人の生活に興味を持ち。妹と一緒に、外に冒険に出た。
しかし、迷子になってしまった。
「お、黒髪に黒目、お前ら、魔法を使えない欠陥人間だと聞いたぞ!」
「黒い臭い水を好んで飲むのだろう!」
「石を投げてやれ!」
「・・・・」(殺したら問題になるわよね。どうしたらいい?)
そのとき、シャーロット様が護衛騎士を連れて現れて下さった。
「貴方たち、石を投げようとしているのね。この人ひとたちはお母様と親交のある一族よ。ということはスペンサー伯爵に反旗を翻す行為よ!」
「ヒィ、お屋敷のお嬢様だ!」
「アントン捕まえて」
「はい、お嬢様!」
・・・
「「「大変申訳ございませんでした」」」
「・・謝って・・くれたからもういいです・・」
「・・・・・」
「フフフフ、もう偏見で人を判断しては駄目よ」
「さあ、貴方たち、イセ国の人たちね。お父様と代表団が屋敷に来られているから、案内するわ!」
まだ、あんなに小さかったから、私のこと記憶にないのね。領を見回りして・・私は今、伊達コンタクトをしている・・気が付かないわね・・・
・・・・・
シャーロットは使用人の蔑む目が怖い。悪口を聞こえるようにささやく口角が怖い。自分で言うと宣言したが、ブルブル震えている。
「何だ。震えているぞ。早くメシを寄越せ」
腹が減って気が立った使用人たちは、令嬢であるシャーロットに命令までする。
最初にセンパイが肩を支えた。次に、ミヤも肩を支えた。
「私は、正式に、父より、スペンサー家の貴族印の譲渡を受けました!私がこのスペンサー伯爵家の当主です!だから、権限があります。貴方たちは・・・貴方たちは解雇です!理由は私への不敬、アンへの日常的な暴力行使、それだけは決して許しません!今すぐ、荷物をまとめて出て行って!出て行きなさい!グスン」
「何だと、俺たちがいないと屋敷が回らないぞ!」
「「「そうだ。そうだ!」」」
パチパチパチとセンパイとミヤが拍手をする。
パチパチパチパチパチパチと段々拍手の音が大きくなった。
「何だ!」
周りの植木のカゲから、人が現れた。新しい使用人たちだ。
皆、王都で働いたこともある一流の使用人。
その中でひときわ目立つ人物がいた。
「近衛騎士団長がいるぞ!」
「ミヤさん。感謝しておりますよ。騎士団を定年退職して、次に仕える方が、こんな立派なお嬢様だなんて、紹介してくれて礼を言う。有難う」
「いえ、これもシャーロット様のご人格の賜ですわ」
「さて、主の裁断が下った。不服のある者は前に出ろ!」
「ちょっと、退職金と紹介状を書いてくれなきゃ」
執事が代表して前に出た。
元近衛騎士団長はミヤに目配せをする。
ミヤは、わざとらしく、シャーロットの視界を塞ぐ。
「不服か?それもヨシ!」
スパンと首を物理的に斬った。
「ヒエ、外道だ。こんなところやってられるか!」
ミヤはそっと離れて、呟く
「フフフ、クビだけですむワケ、ないじゃない?」
「甲、甲、乙、プランエコー!」
「「「了解!」」」
「はあ、はあ、荷物は持ったな。こんな外道屋敷逃げるぞ!」
「あれ、ドア開かないよ」
使用人棟は外から塞がれている。
ドンドン、開けてくれ、開けろ!
二週間後
カサカサカサ、カバ!
「はあ、はあ、これ俺がとったGだ。パク!」
「足だけ、足だけ食わせて~」
ガチャとドアが開いて、粥の入った寸胴をカートに入れ、使用人棟に入ってくるメイドがいた。ミヤだ。
「あら、人の食事にGを入れた人たちがGを食べるって、本当にGが好きなのかしらね。異物を入れた反省を言ってくれた人から、粥をあげるわ」
「メシ~メシ~メシ~」
「あら、メシなんて答えは認めないわよ」
数時間後、やっと彼らは粥をもらえたと云う
その後、彼らを使用人として雇う貴族は無く、日雇い仕事を転々として生涯を費やした。
最後までお読み頂き有難うございました。