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津波が後に……

星界術士の検証をしてから数日後。

ここ数日ある程度、星界術士を使いこなせるように慣らせてから俺たちはまた海原エリアに来ていた。


「そして戻ってきたぜセイレーンのある海域に! 今度こそやつを倒し心置きなくここを探索してやる」

「きゅう」


またもボロ船を拝借しその辺で拾った適当なここまで牽かせてきたわけだが、さて……。


「――♪」

「おっ、やっとお出ましか」

「きゅう」


遠くの見える岩肌。そこにいつの間にか現れたセイレーンを確認しボロ船から降りて牽かせてモンスターごと海底の地面を操って葬る。

そのままその海面で足場を作り前の焼き直しように降り立つ。するとやつも前回と同じく歌う声を張り上げ、自身の歌に魅了された軍隊を呼び出し始める。


「前回ここから散々な目に合わされたな」

「きゅ」


だが今回は違う。


「ファスト、俺は今から魔法の構築に集中する。頼めるか?」

「きゅう!」


もちろん!と、言わんばかり胸を張り高らかに鳴き声を響かせるファストを頼もしく感じながら魔法の構築に入るする

下準備と土属性を使い、海底の地形を変える。ただしその範囲はこの周辺とかそんな生やしいものではない。

俺たちからして半径数千メートルはある距離。その広大な領域をすべてに魔法の影響下に置き、地形を弄くりまわす。遠くに行くほど水深が深く、そしてこっち来るほど水深が浅くなるように。


無論そんな魔法を構築しているのをセイレーンだって悠長に見ているはずがない。自身の歌で軍隊を意のままに操り、魔法で怪しい動きを見せている俺にけしかける。


「――~♪」

「きゅ、きゅうー!」


だがそれらは悉くが俺を守るファストにより跳ね除けられている。

跳んで、蹴って薙ぎ払うのは当然として。此度の戦闘ために一対多数に有利になれるような薬を貯蔵袋にたんまりと詰めて来ていた。

主に痺れる薬とか混乱薬とかの行動阻害系のものを揃えている。これらをファストは上手く状況ごとに使い分け襲いかかる魅了の軍隊を押し留めいた。


「俺も後ひと踏ん張りだ」


海底の地形の整備が終わらせた俺は今度は上……爛々と光り輝く月夜を見上げる。

いい日だ。新しい技を披露するに相応しい最高に映える好天気である。


『伝魔・天』を発動し空高く……月に向かって魔法を飛ばす。でも干渉するのは月そのものではない。そこから常に発せられているこちらを引っ張り力……引力だ。

月の引力を調整しここから遠くにある深い海を僅かに十数メートルほど急激に持ち上げて瞬時に魔法を解く。

そうなると一瞬持ち上がった凄まじい重さの海水は当然地上の重力に従い落ち、波を引き起こす。その波が徐々に浅瀬になるように海底を組み替えたここへ来ると出来るのは……。


「津波だ。自然の暴威を思い知れ小魚どものが」

「――!?」


月という絶妙な立ち位置ある衛星に干渉し、その間接的な影響を更に小分けして干渉したことにより成立した大魔法。

それが遠方から見えるが高い、高過ぎる波を海に開かせ口のようにこちらへと迫る。そして津波が周りのものを巻き込む轟音でようやくそれを認識し逃げようするセイレーンが逃げに転じようとする。


「逃がすか!」

「――ッ」


当然それを見過ごすわけもないのでセイレーンの周りを壁で囲み逃亡を出来ないよう閉じ込める。

で、このままだと俺たちまで津波に飲み込まれてまた海の藻屑になるので……。


「地下深くに退避!」

「きゅう!」

「――ッ!!」


魔法で地下深くに潜り込み津波の収まるまで待つことにする。その際になんかセイレーンの怨嗟じみた叫びが罵倒の如く聞こえた気がしたが……まぁきっと気のせいだな!


「おうおう。入る入る。討伐報酬がじゃんじゃんと入りまくるは、ふはは!」

「きゅー」


ここで居るだけで津波で潰されたモンスターのドロップ品がそれこそ激流のように流れて来る。

《イデアールタレント》が直接ドロップアイテムを拾いに行く必要がないゲームで本当によかった。

完全没入型VR黎明期のやたらリアル志向の高いゲームだと死体が残ってそのまま津波に流されたりしたろうし。

まぁその手のやつはサーバーの維持費が掛かり過ぎて大抵が黎明期に潰れたからもうどこにも残ってないけども……その場でドロップが落ちる、程度ものはまだまだあるからな。


と、そんなことを考えてる間に待っていたログが流れる。


「誘惑声魚の鱗を獲得……と。これでセイレーンへのリベンジも達成だ」

「きゅう!」


これにてセイレーンも完全攻略だ。あれ合うたびに津波を起こさないなのはちょっとどうか思うが……ま、大丈夫だろ。

攻略組みたいな連中もここはまだ活動域にはしていないから、俺以外のプレイヤーもいねーしな。それにエリアはステージはサーバーが別れてるから外に被害が出ることもない気にするものは何もない……


「出てきたぞ! 今から貴様を街への攻撃行動を行った容疑で連行する!」

「え?」

「きゅ?」


……と思っていた。地中から這い出てすぐ三叉槍を突き付けられる包囲されるまでは。

肌に鱗なのが生えいているけど、この武装に所々とNPCを指すマーカーに書かれて盾の紋章……まさか衛兵NPCか!?


「ちょ、え? 街への攻撃ってそんなことした覚えは……」

「何を惚けたことを! お前にも蒼碧の都ティアが見えているであろう!」


わけが分からず弁解すると衛兵NPCは怒り心頭で水かき覗く手である方向で指し示す。視線で追ってみると彼の言った通りそこには街があった。


俺が地形を変え、津波を起こしたが故に露出してしまった、《《海底》》にあるはずだった巨大都市が。

その都市がいるのがまた何とも絶妙な位置で、丁度俺の土属性の魔法を届かせてない端っこに美しいサンゴや水晶の輝きを発しながら佇んでいる……津波で発生した海流を結界みたいので防ぎながら、だけど。


「おぅ……」


あ、これヤベーやつだ。

などと思いながら、両手を上げて降参を示した俺たちは――


―― 非常に不本意な形ながらロマン溢れる海底都市。彼ら曰く蒼碧の都ティアへと連れて行かれるのであった。

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