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僕はうまれた〜突然の脳卒中〜  作者: こうのたかよし
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トイレの苦しみ

僕はなるべく水分を摂らないようにしていた。


それはトイレに行かない為だ。


厳密に言うとトイレに連れて行かれないように努力していた。


いくら高次脳機能障害が強いとはいえ恥ずかしさは感じる。


特に夜勤は若い女性看護師さんが多く小はもちろん大も自分では出来ない状態でトイレ内でずっと待たれている空間は苦痛でしかなかった。

 

その晩夜中に急にトイレに行きたくなった。


だかその日は寝るまでに何故かトイレに2回も行ってしまいこれ以上看護師さんを呼ぶのは申し訳なかったしなにより恥ずかしかった。


僕はふとまだオムツを付けられているのを思い出した。


明日はお風呂だしこのまましても大丈夫だろうと


あとは羞恥心とプライドの問題だ。


しばらくの自問自答のあと意を決しておしっこをした。


するとオムツが緩んでいたのか大量にベッドと床に漏れ始めた。


異変に気づいた看護師さんがライトで照らしながら僕に近づくと


「え!?ちょっと…」


と言うと急いでナースコールを押し数名が集まった。


「これ…ブラックリストいりやな」


と1人の男性看護師が少し怪訝そうに呟いた。


僕は泣きそうになりながら小声で


「すみません…」としか言えなかった。


その後迅速にシーツを交換してくれ僕を二人掛かりで担ぎ上げパジャマも綺麗に替えてくれた。


その晩はどん底まで落ち込んだ。


悔しくて情けなくて恥ずかしくて眠れなかった。


やがてそのまま朝を迎えると例の男性看護師が朝食を持ってきてくれた。


僕はまだ怒っているかと恐る恐る顔を見るとその人は笑顔で


「どう?あれから眠れました?これからは遠慮せずに何度でも呼んでね」と言ってくれた。


魂が救われた気がした。


と同時に自分では本当に何も出来ないんだと改めて実感させられた。

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