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僕はうまれた〜突然の脳卒中〜  作者: こうのたかよし
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坊主頭

次の日から車椅子に乗ることが多くなった。


久しぶりに見た鏡の中の自分は左の顔が歪み


週に2回しか入れないお風呂もありベタついた髪の毛がとても気になった。


思いきって坊主頭にしようと決めた。


看護師さんに声を掛けると男性看護師さんが今から切ってくれることになった。


突然の事で珍しがる沢山の看護師さんが集まってきた。


「いいの?本当にやるよ?」


その問いかけに元気よく


「はい!お願いします」


と返した。


一気にバリカンが入る。


(わぁー)という驚きの歓声に照れながら


刈り進めた。鏡を見ると中学生以来の坊主頭は意外に似合って見えた。


入院して以来初めて笑顔になった気がした。


その日にお見舞いに来てくれたけいこさんは


僕の変わった姿に驚いていた様子だったが


「あら?良いやん、私高校野球好きやからいいわー」


と笑顔で言ってくれた。


その日のリハビリは言語だった。


簡単ななぞなぞや計算


まるで小学校低学年のような簡単な国語の問題だった。


(めちゃ簡単やん)


そう思いながら答えを書き込んでいこうとした。


ただどうしても答えが浮かんでこない。


頭では考えつくのだがいざ書こうと思うと書き方がわからなかった。


かなりショックだったが療法士さんの


「最初にしては良いほうですよ。また明日しましょ」


と言ってくれた言葉に自分の言い訳の落ち着き先を見つけた。


夕ご飯はけいこさんに食べさせてもらった。


少量のペースト状の食事を完食し満足した様子の僕に


「え?こんだけで足りるの?」


と驚いた様子だったがこの時は食欲という感覚がわからなくなっていた。


一切テレビもスマホも容姿も周りも何ひとつ気にするという感覚が無くなっていることに自分で気がついた。


ただ気づいたところでそれがダメだとも直したいとも思い浮かばないまま眠りについた。

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