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少し慣れて来た頃に
数週間が過ぎその日も訪問リハビリの日だった。
担当してくれている理学療法士さんとは最近少しずつ話すようになってきた。
そして偶然にも僕の常連さんの幼馴染でお店にも来てくれた事があるとの事だった。
その常連さんにはしっかり治してあげてと強くお願いされたんですと教えてくれてとても暖かい気持ちになった。
その人は知識も豊富で技術もあり安心して任せられる人だ。
限られた40分の中で本当に一生懸命いつもしてくれる。
20分がが過ぎた頃だろうか指先のリハビリになった。
親指から始まり一本ずつ丁寧に
曲げる動作と伸ばす動作を繰り返してくれていた。
人差し指に差し掛かかり
「今度は伸ばす方向にいきますよ」
とその指をゆっくり支え誘導してくれた。
正直僕は諦めかけていた。
半年も忘れている伸ばすという仕草
でもその瞬間
僅かに甦った感覚に息が止まった
「わかる!思い出せる!動かせる!」
「うん、そうそういいですよ」
そう言われ自分の錯覚じゃないんだと理解すると
自然と涙が流れた。
ありがとう本当にありがとう
心の中で強く思った。
本当に尊敬出来る仕事
人の未来を作る仕事
人生を取り戻してくれる仕事
リハビリ時間が終わりその人が玄関を後にする
すると仕事から帰宅した息子からラインが入った。
「リハビリの人かわいいな」
少し和んだ。




