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僕はうまれた〜突然の脳卒中〜  作者: こうのたかよし
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退院当日

退院日の朝


僕は最後に横井先生の施術を受けた。


未だほとんど動かない左手を丹念に繰り返しながら動かせていく。


「いやーでも凄いですよ、河野さん半年でこれだけ動くようになるのは」


僕の意識とは反比例した横井先生の前向きな言葉

一体どこが良くなったのか…確かに足が良くなったのは理解出来る。


でも手はやっと肘が柔らかくなってきた程度だ。


指はサポートして動かしてもらわないと一切動かない。


料理など夢のまた夢だ。


(お店に戻ったら掃除だけでもさせてもらおうかな)


漠然とした不安を抱える。


深々とお辞儀をして横井先生のリハビリを終えた。


病室に帰るとけいこさんが涙ぐみながら残った荷物の整理をしていた。


午前11時

僕達は荷造りを纏めナースステーションに挨拶をしにいった。


けいこさんは数名の看護師と抱擁しながら別れを惜しむ、涙が止まらない。


『また帰ってきてや!いやいや帰ってきたらあかんがな遊びにきてや』


沢山の看護師さんたちが周りを囲む。


笑顔の人も泣いてる人も居る。


最後の別れを済ませるとお辞儀をしてエレベーターに乗り込む。


けいこさんがやっと僕に向かって


「ここに出勤前に来るのが習慣やったのにほんとに寂しいね…」


それは本心だろう。


僕にとってもここはすっかり我が家だった。


帰るべき場所は富永病院だと感じている。


なによりまだこんな身体で社会に放り出されても一体どうしろと言うのだ。


150日間を過ごした富永病院に別れを告げまた新しい環境に幾ばくの不安を感じたままその日僕は退院した。

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