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僕はうまれた〜突然の脳卒中〜  作者: こうのたかよし
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富永での講演〜2

満足気に目を細める山本先生が僕の後に続いてまとめの会話を始める。


「素晴らしいお話をありがとうございました。僕たちが気付けない思いや気付きを頂けたお話だったんじゃないでしょうか?せっかくですから皆さん質問ありますか?」


SCUの士長さんが手を挙げると続いていくつかの手が挙がった。


山本先生が士長さんにどうぞと促す。


「入院中にこれをしてくれたら嬉しかったことはなんですか?」


僕はその答えにはすぐに反応出来た。


「簡単な事です。名前で呼んでくれる事です。」


看護師さん達がメモを走らせる。


「僕達は突然の脳卒中で社会からドロップアウトしています。そうすると段々自分の存在価値が消えていくんですよ、その中で名前で呼んでもらえるともう一度自分自身を認識出来るんです。」


そしてお世話になった国本さんが手を挙げる


「SCUのリハビリで嬉しかったこともっとこうして欲しかったとかは有りますか?」


「残念ながら回復期に来るまでほとんど記憶は残ってないんです…でも印象は残ってます。国本さんには外に連れて行ってもらったりとても良くしてもらいました。その(優しさ)の印象は残っています。」


少し照れたように国本さんが着席する。


続いて筒井先生が質問をハキハキと立ち上がって聞いてきた。


「河野さんはどうしてそんなにポジティブでいれるんですか?」


少し迷った後に僕は口を開いた。


「ポジティブで無ければならないと思っています。もう何百回も死にたいと思いました。」


「働く事が楽しくて趣味だったので…でも皆さんに出会ってリハビリに可能性を感じたりお客様達にお見舞いに沢山来てもらって生きたいと思いました。」


「そしてどうせ脳卒中になったのだから周りの人が脳卒中にならない様にするのが役目だと思います。だからこの機会を頂けたのを有り難く思っています。」


最後に入院したばかりの頃とてもお世話になった看護師の佐藤さんが話を始める。


「私は質問と言うより感想なんですけど…」


(そこで一気に涙を流す佐藤さん)


「私は倒れた時を知ってるから…毎日泣いてたしいつも死にたいってばかり言ってた河野さんがここまで回復してるなんて…本当に嬉しいです。元気な姿でお話聞かせてくれてありがとう」


僕も思わず目頭が熱くなった。


そして山本先生が締めくくる。


「今日は素晴らしいお話をありがとうございました!僕達の最大の弱点は脳卒中になった事が無いと言う事です。その中で脳卒中になった人達を治していく必要があります。直接脳卒中の患者さんからのお話を聞けて

今日はとても良い機会になったと思います。」


「ありがとうございました。」


みんなが一斉に頭を下げる。


僕も頭を下げて立ち上がる。


緊張が続いたからか左足がガチガチに固まっていた。


山本先生と2人で会場を後にした。


こんな僕にも人の役に立てる事があるんだと自分の人生にほんの少しの可能性を見い出せた日となった。

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