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僕はうまれた〜突然の脳卒中〜  作者: こうのたかよし
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母を訪ねに

自主トレを継続してから2回目の試験外泊の日

前回は夕方からにしたが今回は13時からと決めていた。


理由はひとつ脳卒中で倒れてから一度もお見舞いに行けてない施設の母に会いに行くためだ。


まだ外を歩くとすぐに疲れてしまいたった1キロでも30分は掛かる僕の歩き方。

本当はチャレンジしてみたかったが施設にはタクシーで向かうことにした。


病院から10分もせずに着くと久しぶりに施設の扉を開けた。


靴を脱いで下駄箱に入れた。


スリッパに履き替え歩き出すと左足だけスリッパが脱げてしまう。


その時つま先が上がらないとスリッパは履けないんだと初めて知った。


仕方なく靴の裏を拭いてそのまま5階の認知症病棟へと上がった。


3ヶ月振りに見る母は手と足が固まってしまっていて

まるでお腹の中の赤ちゃんみたいな格好になっていた。


白内障を患いもう目も見えていない。


僕がお母さんと声を掛けると微かに口元が開く。


(せっかく健康に産んでくれたのにこんな体になってごめん)


と心の中で呟いた。


母の痩せこけた手を動く右手で握る。


(もうしんどいやろ…楽になっていいんやで)


息をするのも一苦労な母にそっと話しかける。


僕の24時間にはまだ未来がある。


一生懸命リハビリしてもっと健康になるんだと言う意思とそれを応援してくれるみんなの力がある。


でも母はただひたすら衰えていく体を横たえただけの24時間。


上から覗く母の枕の側にぽとりと涙が落ちた。


知らない間に泣いていたみたいだ。


たった30分の面会時間


母は1言も発することは出来ず瞬きもほとんど出来なかった。


母は気付いてくれただろうか?僕が来たことを。


いつもより長く遠く感じた施設の廊下を足を引きずりながら歩いた。


夜ご飯は何にしようと考えていた元気も無くなりコンビニで夜食を買い揃えた。


その日は外泊は全く眠れず念の為病院から渡されていた睡眠薬を初めて使った。


やっと6月が始まったばかりだった。

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