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僕はうまれた〜突然の脳卒中〜  作者: こうのたかよし
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けいこさんの誕生日

5月28日


その日は毎日お見舞いと身の回りの世話に来てくれているけいこさんの誕生日だ。


なんとか日頃のお返しをしたいと思っていた僕は看護師さんに外泊許可を申請した。


最初は難色を示していたがけいこさんは看護師さん達とも仲良しで事情を伝えると先生に無理矢理許可を取ってくれた。


そこで僕は一番美味しいと思っている老舗のフレンチを予約した。


料理の修行時代にそのお店を教えてもらい給料が入ると必ず毎月勉強の為に通ったお店。


ある意味僕の自慢のお店だ。


当日いつもよりお洒落をしたけいこさんが病院へと迎えに来た。


外はあいにくの大雨

出掛ける事も心配されたが杖を必ず使うと言う約束をして病院を出た。


レストランまではまだ時間がある。


せっかくなんとか歩けるようになったのだから今後の為に靴を新調しようと思った。


アディダスショップに立ち寄り慎重に靴を選んだ。


左足はまだつま先が全く動かなくて靴にねじ込む事が出来ない。


その為ほとんどの靴は履く事が出来ずなんとかやっと一足履ける靴が有り購入出来た。


そこからは商店街の人混みをけいこさんに支えられながらなんとかお店までたどり着いた。


着いた時にはヘトヘトになっていた。


変貌してしまった僕の体に一瞬絶句したホールマネージャーだったがいつもの様に毅然とした態度で最高のおもてなしをしてくれた。


コースが済みデザートの時にお決まりのサプライズをしてもらった。


けいこさんは照れながら深々とお辞儀をした。


「いやいつもお世話になってるのにこんなんじゃ足りないくらいお世話になってんねんからこちらこそありがとう」


そう言うと


「私が好きで勝手にしてることやねんからこちらこそありがとう」


と申し訳なさそうに返事をくれた。


お会計を済ませ外に出ると変わらずの大雨。


ひとつの傘で支えられながら家に送ってもらった。


(情けないな…女の人に家まで送ってもらうなんて)


そう思い落ち込んだが今はまだ仕方ない。


でも来年は必ずとまだ健常者には程遠い自分の体と少し早くにまともに戻った気持ちとの距離をなんとか埋めた。


その日は初めて家で眠る日。


あれだけ病室内のいびきにストレスを感じていたのに僕以外の音がしない自分の部屋は心細く感じた。


あれほど家で眠る日を待ちわびたのに早く病院に戻りたくて仕方なかった。


そんな不思議な違和感を抱えたまま2ヶ月振りに静寂の音を聞き1人で眠った。

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