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夢の中
全てが夢の中だった。
寝る事も起きる事も食べる事も全く気にならない。
トイレさえも気にならなかった。
時間の感覚は既に無く現実とも夢とも区別のつかない
重度の二日酔いにも似た感覚は丸2日続いた。
気付くと息子と彼女が僕を覗きこんでいた。
目を開いた僕に気付くと安堵したような表情と涙で
僕を見ていた。何か言っていた気もする
次に起きた時はお店の従業員が僕を見ていた。
そのうちの1人けいこさんは大粒の涙を流し
「ずっと頭痛い言ってたのにそれを聞き流してて
もっと私が病院に行けと強く言えば良かった、
私のせいや、ごめんなさい」
と叫んでいた。
次に起きた時は真夜中だった。
僕の体には沢山のチューブが付いていた。
辺りを見回すと似たような人が呻いていた。
「長い夢やなーこれいつ覚めるんやろ」
それが率直な感想だった。
毎日2回シャワーを浴びる習慣があった僕は
(あ、シャワー浴びてないわ、まええか夢から
覚めたらお風呂入ろう)
とまた再び夢の中から夢の更に深くへと
眠りについた。