episode1 カフェ「幸」
ここはカフェ「幸」
お客様の話では「さち」「ゆき」「こう」と色々な名前で呼ばれている。
このカフェで働いているのはマスターと呼ばれている金井幸広と従業員の青葉紳二と悠姫魅香である。
三人の共通点は幸せと肯定と笑顔が好きな事。
幸せをつくる事。肯定する事。笑顔にする事を大切にし、今日も三人で仲良く、カフェで働くのだった。
「こんにちは」
お客様がカフェに入ってくる。
「こんにちは」
お客様は好きな席に座る。
ここでは「いらっしゃいませ」や席の指定はしない。
自由なカフェでお客様の気持ちなどを優先している。
「今日も来ていただけてありがとうございます」
「いいんだよ。私はこのカフェが好きだからね」
「ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです」
「マスター、良かったらもらってくれるかな。林檎なんだけど」
「いいんですか?ありがとうございます。この林檎で何か一品作らせていただきますね」
「嬉しい。ありがとう」
「お待たせしました。温かい紅茶とクッキーです」
「ありがとうね。魅香ちゃん」
「いえいえ。今日の紅茶はアールグレイです。紅茶は紳二さんが淹れてくれて、クッキーは私の手作りです」
「そうなんだ。紳二君。魅香ちゃん。いただきます」
「熱いので気を付けて下さいね」
紳二がカウンター越しから言う。
「ありがとう。紅茶もクッキーもおいしいよ」
「ありがとうございます」
「それにしても本当に不思議だね」
「?」
「三人に同じ共通点があるだなんて。歳も年代も違うのに」
「ありがたい事です」
ここのカフェに来るお客様は幸い、いい人達だ。
私達の考えに賛同してくれる。
素敵な事だ。
「お待たせしました。焼き林檎です」
「美味しそうだね!」
「簡単なものですみません」
「いいんだよ。うーん。おいしい!中にバニラアイスが入ってる」
「おいしく食べていただいて嬉しいです」
こういう雰囲気、いいな。
「ありがとうございました」
「ありがとう。また来るね」
「はい!お待ちしております」
「今日も素敵なお客様が来てくれましたね」
厨房で皿洗いしている私に二人が話しかけてくる。
「そうだね。もっと素敵なお客様に来てもらう為にも頑張らないとね。頼りにしてるよ!二人とも」
「はい」
そう言って今日も無事に1日が終わるのだった。