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第三十三歩料理対決になったため、大人気無くやっちまおう

「ま、負けました・・・・・・」

「見事です」

 ルリさんと研究者さんが感嘆の声を漏らした。

 いやいや、何も見事な事何てやってないよ?

 だって知力対決とは言っても、簡単な足し算引き算とかけ算わり算と地理を少しやるだけだよ?

 男子高校生舐めるな。これくらいはできるわ。チョロ過ぎてこれネタとして大丈夫か心配になるな。

 さて。今回も圧勝。次は何が来るんだろう?


        ◇


 もう本当に信じられない!

 いい加減我慢の限界だわ。

 ユウの奴、人の苦労も知らないで、勝手に外出歩いて更に女まで作って帰ってくる何て何を考えてるのよ‼

 こっちは、アイツが怪我しない様に、慎重に慎重を重ねて、毎晩寝る間も惜しんで根回しをしているのに、外で対戦相手をナンパするとはいいご身分ですねぇ‼

 ああ、もう。

 こっちがどれだけ勇気振り絞って告白したと思ってるのよ。

 ・・・・・・結局失敗に終わったけど。

 だとしても、一声くらい掛けてもいいじゃない!

 ああ、もう!この件が終わったら、絶対にユウに埋め合わせをしてもらうんだから!


        ◇


 迎えた第三戦は料理対決となった。

 今日も闘技場にて、僕は対戦をするのだが、正直気分が乗らない。

 それはなぜか?

 原因は目の前にいる少女二人・・にある。

「ねえねえ、お姉ちゃん、あの人マジ陰キャの雰囲気がすんですけど!」

「そうね。マジウケるんですけど!」

 お分かりいただけただろうか。これは僕が最も苦手とするいわゆるJKっぽい人である。

 僕にはよく分からないが、どこか違う気がする。

 まあ、それでもウザイって意味ではあまり変わらないけどね。

「ねえねえ、お兄さんアタシ達に勝てると思ってんの?」

「リスってばバカね~。そんな訳無いでしょう?」

「そうね~申し訳ありません、リサお姉さま」

 うーん、UZEE。

 ダブルパチもんJKってのもそうだが、もっとウザイのは、コイツらが僕より年下で、双子である事だ。

 おんなじ顔が二つ異なる腹立つ表情で目の前に居たら、イラつくだろう?

 コイツら料理何か出来るのか?僕だったら絶対に厨房に近付けないよ?

「それでは、制限時間は無し、各自持ち込んだ食材を用いて一品作り、それを審査させてもらう。各自始め!」

 いよいよ雑になって来たな。

 まあいいや。とっとと終わらせよう。

 その前に相手のお手並み拝見。

「嘘ぉ・・・・・・」

 さっきまでのふざけた雰囲気が一切無く、趣味とはいえ、王都のカフェのマスターをやってる僕でも惚れ惚れする手際とコンビネーションで次々と食材が調理されていく。

 なるほど。人は見かけによらずってか。

 これは僕も本気を出さなくてはな。


先に出来上がったのは相手の方だった。

 実に色とりどりな野菜が中央にあるハンバーグの周りに盛り付けられ、茶色のソースがハンバーグを包み、何とも美味しそうだ。

 この世界でハンバーグが食べられるところは一ヶ所しかない。僕の店だ。どうやら僕の店までわざわざ敵情視察にも来たらしい。この努力は称賛に値するね。

 相手がJK風なのは癪だけど。

「ほう。これはなかなか・・・・・・」

「美味であるな」

 審査員方、そこはお約束を守って大げさなリアクションとプロっぽいレポートをスラスラと頼むよ~。

 ま、いいか。細かい事気にしてたらハゲちまう。

 審査員がJK風双子ちゃん達のハンバーグを食べ終わった頃に、僕のも完成した。

 さすがに少し待たせたからか、審査員達の目から少なからず苛立ちの色が見える。

「「⁉」」

 審査員達の目から一瞬で苛立ちの色が消え、驚きに染まった。

 無理もない。今回僕が作ったのは、王族のリーネさえ太鼓判を押してくれたコーヒーゼリーの進化型コーヒーゼリーパフェだからだ!

 コーヒーゼリーを中心に、アイスクリーム、ウエハースをのせたシンプルなパフェ。

 コーヒーゼリーは昨晩作りおきしておいたから問題なかったが、一番手間がかかったのは、ウエハースの方だ。

 焼き菓子が焼きたてがうまいのは人類なら誰しもが知っている自然の摂理だ。

 だが、この状況でそれを実行するのは難しかった。普段なら、店の専門の形で焼けば済むのだが、ここにはそれがない。だから少々時間を掛けてしまった。

 ま、できたからいいんだけど。

「今回の勝者は、勇者、フユサキ・ユウ!」

 うっし。

「そんな、あり得ない・・・・・・」

「お姉さま、気をしっかり」

 双子の姉の方が崩れ落ちた。

「確かに君らの努力と技術はすごかったよ。でもね、まだ計算が足りないかな」

「なんですって・・・・・・!」

 姉が僕を睨みつけた。

「君らの作ったハンバーグは確かにいい物だ。だが、僕はその良さを逆に利用した。ハンバーグは味が濃い。だから熱々のハンバーグを食べた後に冷たくてさっぱりしたものが食べたくなる」

「まさか、遅れたのも計算尽くで・・・・・・」

 驚いて声も出ない姉妹を見つめて、僕はエプロンのポケットに手を入れたまま、微笑むのだった。

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