第三十一歩困ってる人がいるためありふれたラノベ主人公達と同じ事をしよう
ああ、もう。どうしてこうなったのかしら。
お父様の手伝いで商品の仕入れに王都まで来てみたら、こんな事になる何て。
ノルデが野良猫を追いかけたばっかりにチンピラに絡まれる何て。
どうしよう、ここから騎士の詰所までは遠いし、こんな路地裏じゃ滅多に人は通らない。向こうは武器とか持ってるし。こっちも武器は一応持っているけど、この人数を相手にできるほどの腕はないし・・・・・・
「この娘の命が惜しければ、身ぐるみ全部渡して貰おうか。なあに、悪いようにはしないさ」
この下品な笑い、吐き気がするわ。
「渡す気が無いってんなら、それでもいいぜ?」
「いやっ!」
チンピラがノルデの顔にその汚らわしい手を伸ばした。
「やめて!妹を返して!」
「あーあ、せっかく良いもの買った余韻に浸っていたのに台無しだよ」
曲がり角から人が現れた。
良かった、助けが来た!
現れたのは少年だった。年は私と同じくらいかしら、身なりから見て普通の冒険者に見える。両手には肉とパンと持っており、どうやらさっきまで屋台で食べ歩きをしていたらしい。
「何だ、テメエ見ねえ顔だな?」
「いやあ、兄貴方が何やら楽しそうな事してらっしゃいますから僕も混ぜて貰おうかと思いまして」
少年は屈託の無い笑みを浮かべながら頭を掻いた。
助けが来たと思ったのに違った!コイツチンピラの仲間だった⁉
「ほう、テメエもヤろうってのか。いいだろう、俺達が楽しんだ後テメエにやるよ」
もう、おしまいよ。
「いえいえお構い無く」
そう思ったら、次の瞬間、少年は一瞬で私の前に立つチンピラの一人に肉薄した。
「自分で勝手に楽しみますんで」
口に肉をくわえ、右手が構えられている状態でチンピラの腹から何か命を脅かしかねない衝撃が走った音がした。
パンチをしたらしいけど、全く見えなかった。
それよりも・・・・・・やり過ぎでは?
倒れたチンピラ、気絶しながら血を吐いてるじゃない。
「テメエ、コイツがどうなっても・・・・・・」
妹を取り囲んでいたチンピラが、言い終わる前にノルデを取り囲んでいた奴らごと吹き飛んだ。
「モグモグ、ごっくん。ほぉ~。フランスパンで野球だ出来そうって話は聞いた事あるけど、まさかリアルに武器になるとはなぁ」
あの数を一瞬で⁉しかもパンを武器に⁉確かあれはノルデがお腹すいたと言って、買ったパンじゃない。
確かに硬くてとても食べれなかったけど・・・・・・。
というか、あれだけチンピラを倒してもまだ肉を咀嚼する余裕があるって・・・・・・。
「この!」
残った一人のチンピラが腰に下げてたロングソードで斬り込んで来た。
「あらら」
今度はパンで防ごうとしたけど、いくら硬くても所詮はパン。やはり防ぎ切れず、キレイに真っ二つに切れてしまった。
一体どれだけパンを武器にする事にこだわりがあるのよ。
「だったら」
丁度中心で切れているため、今度は二刀流ぽっく構え、突っ込んで行った。
剣の腕は相当な物と見えるが、持っている得物がパンでは台無しもいいとこだわ。
チンピラが下段から振り上げた剣を左手に持ったパンで見事に受け流し、右手に持った物でチンピラがロングソードを持つ方の手の甲を叩き、剣を手放させた。
もう一度言うわ。使ってる得物がパンだと台無しもいいとこだわ。
「ホイホイホイホイホイホイホイホイホイ」
うぅ・・・・・・さすがに酷いわねいくらパンとはいえ、あの硬いパンで往復ビンタはさすがに酷い・・・・・・。
「うっし。コイツらは騎士の詰所にでも連れてくからそれじゃね~」
少年の色んな意味でめちゃくちゃ過ぎる戦いを見てしばらく思考停止している隙に、少年は吹き飛ばしたチンピラも含め、気絶していた全てのチンピラをの首根っこを掴んで拾い集め、去ろうとしていた。
「あ、あの、お礼がしたいのですが・・・・・・」
変人かもだけど、一応助けてくれた訳だし、「恩は大きくして返せ」というのがウチの家訓だし。
「お礼何ていいよ。道端に落ちてたゴミをゴミ箱に捨てるだけだしさ」
間違ってはいないだろうけど、やっぱりこの人どこかずれてる。




