第二十九歩ハニートラップを仕掛けられため、華麗に回避しよう
「はふう~♪やっぱり風呂はいいなあ♪」
異世界にも風呂があるのは非常にありがたい。さすがに水を溜め、沸かし、排水、風呂掃除と非常に手間がかかるため、物好きな魔術師か相当な金持ちでもない限り手を出せない贅沢品だ。
さすが王城というだけあって、なかなか広い。
普通の銭湯などの二倍くらいある。
全く、何でこんな事になっているんだろ。RPG系ラノベの主人公達も魔王を倒した後こんな事やってたんだろうか?
いや、無いだろうな。皆さんハーレムメンバー全員と重婚して終わるから。
そう考えると微妙だよね。全員と重婚すればクズ呼ばわりされるし、かといって最後まで答え出さなければヘタレ呼ばわりされるし。
ああ、どっかに可愛くて、真面目で、ちょっと抜けてる平民の女の子いないかなあ。
とはいっても、僕はまだ思春期真っ只中の十八だし、焦ることはないか。
だけどいくら思春期だからって、さすがにそこに隠れてるあからさまに何か企んでる女の子をも襲う程僕は野獣じゃない。
かといって、無事に済ませる気も全く無い。
「さあて。どう辱しめてやろう?」
◇
ああ、もう。昨夜は色々あって全然眠れなかったよう・・・・・・。
「ユウ、大丈夫なの?死後硬直した魚みたいな顔色してるわよ?」
どんな顔だよ。逆に見てみたいわ。鏡ある?
今僕は王宮にある闘技場の控え室にセリス、ティフ、カトル、リーネといる。
服装も国王に会った時の礼服ではなく、久しぶりの冒険者の格好だ。
しかしもうちょいいいのは無かったのか?勇者の装備には及ばなくとも、駆け出し冒険者の格好は無いだろう。
まあ、僕の戦闘力で防具が必要になる事何て無いだろうけど。
「心配するくらいなら最初からこんなキツイ仕事振らないでよね」
「報酬は弾んであげるから文句言わない」
金はほぼ無限に入ってくる僕に対してそんな事言っていいの?大抵の物なら手に入るよ?
僕が結構気に入ってる言葉「お金じゃ買えないものもある。だったらそんなもんいらない」。
正にその通り。
金で幸せは買えない?金が無ければ借金まみれで不幸しか残らないぞ。
金で愛は買えない?金が無ければ絶対に愛はやって来ない。ホームレスと結婚したい人とかダイヤモンドより希少価値が高いぞ。
「いんちょー、頑張って」
セリスがガッツポーズをとって励ましてくれてる。
「マスター、どうか怪我だけはありませんように」
ティフが祈るように両手を胸の前で組んでいる。
「ちょっとティフ、それって、怪我しそうなら、私のこと売れって言うの?」
少しは空気読もうよリーネ。
「院長、もし院長が負けたら、師匠が調子に乗りますので負けないでください」
死ぬ気で勝とう。
アイツに調子に乗られると、無性に腹立つ。
絶対「ええ~、あの勇者様が名もない王宮に仕える戦士に負けたあ~?かっこわるぅ~!」とか言ってそうだ。
ともあれ、時間になった。
「それじゃ行ってくる」
◇
「出てきなよ。さすがにバレてるよ」
女の子のいる方向とは真逆の方を向く。
フン。あんまりオタクを舐めるな。こういう時の敵が仕掛けるハニートラップイベント何て定番中の定番だぞ?
対策くらいする。
実際僕は入った時から警戒していたし、そこの女の子が隠し通路から入ってきた時から彼女と僕の間に超頑丈な氷の壁を作って置いた。
これなら襲われる事も無いし、お互い体つきどころかシルエットを見るのがやっとだ。
「なぜ分かったの?」
声からして結構若いな。僕と同じくらいか?
「逆に何で僕が分からないと思った?勇者である僕が女の子一人の気配にすら気付かないとでも?」
何も嘘は言っていない。
勇者である僕は魔王討伐の道中、当然色んなトラブルに巻き込まれる。
例えば、朝になってどういう訳かサラが毛布の中に潜り込んでいたり、それを嗅ぎ付けて、リーネがなりふり構わず攻撃してきたり。
気配を察知できなければ、とっくにバラバラ死体になって、黒いロングコートを着た神様に会いに行ってる。
「それで?君はアイツらにどんな弱みを握られれている訳?」




