第二十八歩おかしな事態に陥ったため、対策を考えよう
うう・・・・・・。何でいつも僕がこんな目に・・・・・・(号泣)。
国王との話し合いを簡潔にまとめるとこうだ。
「リーネをエルヴィスに嫁がせろ」
「嫌だ」
「なぜ?」
「僕の嫁にするから」
「ネルーアとの国交止めるぞ」
「ヴェルサ滅ぼすぞ」
「ああ?」
「んん?」
しばらくメンチ切り合い、
「じゃあこうしよう。ウチの戦士達に勝てればこの話は無かった事に。我々が勝てばネルーアとの国交をどの国よりも優先しよう」
「人数は?」
「五人」
「分かった」
となった訳でして。
話し合いを終えた僕らは王城の客室の各自の部屋で休んでいる。
で現在明後日に控えたそのリーネを巡る戦い、略して「リーネ争奪戦」のために部屋で休んで英気を養っている。
と言えば聞こえは良いが、実際は我に返ってみると、四行目を言った時の自分がミンチにしたくなるほど恥ずかしいから誰ともまともに顔を合わせられないのである。
セリスには
「いんちょー、リーネ姉ちゃんと結婚したら、夜襲いに行くよ?」
と言われ、「もちろん物理的な意味だよね?」と顔をひきつらせながら聞くと、「ふふん♪」と妖しい笑みを浮かべた。
シーア、君はもうもうウチには出入り禁止だ。
「マスター、リーネさんに手を出したら、ガルロさんに『マスターに捨てられました』って言いつけますよ?」
ちょっと待て。ティフ、それ殺しにかかってる。絶対半殺しじゃ済まないぞ。
カトルには
「院長、結婚式の時の護衛は任せてください」
と言われた。そこは助けてはくれないのか⁉
何だか僕の方が悪役貴族に嵌められたお姫様みたいな目に逢ってるんだけど?
それを助けるのが騎士の務めじゃなくて?
まあ、ウィル君の教育何て大体そんなもんだろうけど。雰囲気からして「良いか、カトル。女性問題で困ってる奴を見たら、放置しとけ。できれば更に事態をややこしくして慌てる様を楽しめ」とか言ってそうだもん。
とにかくそういう訳だから、割とマジでどうしようか分からない。
サラは僕が睨みを効かせて、お咎め無しで済んだから今はまた地下研究所に籠った。やはり助ける気はサラサラ無いようだ。
そしてこのめんどくさい事態を作り出した張本人はというと、
「今日は疲れたから寝るわ」
と言って、大体一時間前辺りに就寝した。
僕にこんな大仕事押し付けて、自分はこんな早い時間にご就寝とはいいご身分ですねえ!
王族だけど!
ご丁寧に召喚精霊の中でも戦闘力と自律思考が高い魔操鎧を門番に立ててくれちゃって!
ああ、もう。考えててもラチが開かない。
お風呂行こう。
どうせ王城は好きに見て回って良いって許可もらってあるし。
自室から大浴場に向かう途中で、セリス、ティフ、カトルの部屋で戦闘音が聞こえてきた。
ああ、なるほど。ベタなヤツだ。
どうせ人質にでもして僕に負けさせようって魂胆だろうけど、おあいにく様暗殺者に対抗する術はしっかり叩き込んだ。
更に言えば、リーネはあの三人を結構可愛がっている。
ならこの場合、どっちの命の心配をする必要があるのは明白だ。
さあて。このどんなマイナーなラノベにも出てこないような状況、どう切り抜けよう。
◇
「父上!なぜまだあの三人を捕らえられないのですか!」
「どうも仕向けた暗殺者よりも向こうの方が上手らしくてな」
「なら早くもっと有能な暗殺者を!」
「いや、明日まで待て。手は打ってある。明日になれば、ヤツの評判は地に落ちるだろう」
「ほう。それは楽しみです」




