第二十六歩面倒事が起きたため、王族を長くやるコツを使おう
「憂鬱だわ」
王城で一番良いと衛兵が言っていたテラスにてお茶をもらっている。
「でも、いいんですか?私達がここに居ても・・・・・・」
ティーカップを置いて、右手で頬杖を突き、あのバカ直伝の『イタズラっぽい笑み』を浮かべる。
「相変わらずティフは心配性ね。あの時あんな奴のために王城まで乗り込んで来た文字通り可愛らしい子猫ちゃんとはとても思えないわね」
「うう・・・・・・」
普通なら頬だけを赤くするのに対してティフは色素が薄いから顔全体が赤く染まっている上に、プシューっていう擬音が聞こえて来そうなくらい熱くなっている。
うん。うん。
可愛い。可愛い。
「リーネ姉ちゃん、何がユウウツなの?」
うん。うん。
バカわいい。
「何がって、それは・・・・・・」
「よお。ひさしいなあ。我が花嫁」
ほら来た。
王族特有の金やら銀やら装飾のたくさん付いたマントと礼服を着ずに、ユウの世界のバスローブという衣類によく似た寝間着のままやって来た蒼髪の端正な顔立ちのイヤ~な男。
「着いた事を報告させた覚えは無いのだけど?」
「我が花嫁の居場所を報告しないとは、あの衛兵も罪深き事この上無い」
だからコイツは嫌なのよ。
口振りを聞く限り、あの衛兵は解雇もしくは更に酷い目に逢わされたようね。後で調べてユウにどうにかしてもらいましょ。
国際的問題はすべてフユサキ・ユウへ!それが悩み無く長く王族をやっていくコツ。
エルヴィス・アレス・ヴェルサ。この国の第一皇子にして、私の婚約者。
正確には、今日初めて正式に婚約する訳だけど。
とにかくコイツには何があろうと絶対に嫁ぐのはごめん被るわ。
冗談じゃないもの。
「何のご用でしょうか?」
用があるならさっさと済ませて帰ってくれないかしら。アイツでも王城に来るときは正装をしてから来るのよ。それに比べて、夜やるべき事を昼間からお楽しみで、私が来たのを聞いてそのままやってくるとかあり得ないわ。
「用が無ければ来てはいけないのか?」
そう。じゃあ早く帰ってちょうだい。
私の顎を持ち上げようとする右手を思いっきり弾く。
皇子という立場を利用して人を人として見ないで、私達が最前線で魔王軍と戦っていた時女を弄んで歩いた奴の嫁になるほど私は特殊な性癖をしていないわ。
「では、お茶を楽しんでおりますのでまた後程」
ただでさえアンタがいる建物にいる事自体が憂鬱なのに実物をこれ以上見せないで。
せっかく可愛い子達に癒されて少し気分が良くなったのに。
「まあ、いいでしょう。それより、先程から気になっていたのだが、その付き人は?獣人の癖に随分と可愛らしい。そしてそっちの娘もなかなかだ」
エルヴィスがティフとセリスの方を指した。
ふうん。なかなか分かってるじゃない。
「決めた」
「コイツらを我が奴隷として飼ってやる」
あら。分かっていると思っていたけど、どうやらそうでもなかったようね。
手を出そうかとも思ったけどやめたわ。
国際問題になると面倒だし、
私より先にカトルが刀をエルヴィスの喉元に構えているし。
にしても器用ね。身長差があるからテーブルに乗って構えるとは。
しかも茶菓子や中身の入ったティーカップをひっくり返さずに。さすが喫茶店店長の下で育っただけの事はあるわね。
「何のつもりだ貴様!」
あら?もしかしなくてもバカ?状況が分からないのかしら。いつでも殺せる状態で相手を怒鳴る何て相当ね。
一拍遅れて周りの騎士達も剣を抜こうと構え出す。
「やめて置いた方が良いわよ。彼、ウィルクの弟子だから」
軽装で素顔が分かる者も、兜を被ってて顔が見えない者も、ついでに状況の分からないバカも、全員目に見えて顔を真っ青にした。
面白いわね。
ユウの奴もこれを見越してこの三人を連れてきたんでしょうね。
「もう良いわカトル。座りなさい」
「はい」
面白い物見れたし、このくらいで懲りるでしょう。
「リーネ、この事は父上に報告させて貰うぞ!」
そう言ってエルヴィスが足早に去っていった。
どうぞご自由に。ついでに今まで手籠めにしてきた女性と苦しめた民の数も報告してはどうかしら?
「リーネさん、これまずくは無いのですか・・・・・・?」
怯えるティフも可愛いわね。なんかこう、母性本能が刺激される感じがする。
「大丈夫よ。こっちには切り札があるから」
◇
一方その頃切り札は
「ハァ、ハァ。ペープシ!」
「大丈夫ですか、ユウさん?」
「リーネがまた何か面倒事を起こして僕に押し付けようとしている気がする以外は問題ない」
あと著作権引っ掛からないか心配だパートツー。




