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第十九歩朝食中のため、歓談しよう

「それで、昨夜は一体何をした訳?何でサラの顔色が朝から真っ青なの?」

 盗賊達の襲撃から一晩が過ぎた。

 現在僕らは馬車に揺られながら朝食を摂っている。

 僕が水魔法で作り出した水を更に錬金術で蒸気き変えれば、いつでも温かい食事ができる。

 盗賊達は道端の木に二、三人ずつ簀巻きにして吊るした。これなら脱走される可能性が少ないし、何よりただぐるぐる巻きにするのは僕の気が済まない。

 ロープはその辺の木を錬金術で錬成して荒縄を作ったから、ほどいてもらえるまでチクチクして仕方ないだろう。

 絵面的にジャイアントモスの群生地帯みたいだったけど。

 ジャイアントモスとは、その名の通り巨大な蛾型の魔獣で、成虫が出す鱗粉は触れたり吸い込んだ者は魔力切れが回復しなかったり、魔力が暴走したりと魔力異常をきたし、第二級の危険魔獣に指定されている。

 コイツは繭の状態でも容赦なく強力な酸性の息を噴射して攻撃してくるから

 まあ、前に僕が見た時は、その繭を錬成して全部ウチのカフェのテーブルクロスにしたけど。

 危険魔獣指定されているだけあって、天敵が居なくて上質な絹に錬成出来た。

「もう......ユウさん酷いですぅ......一晩中全然寝かせてくれないのですからぁ......」

「!?」

 サラが大きなクマの引っ付いた目をこすりながら朝食のパンのかぶりつく。

「まさかだとは思うけど......」

「けど?」

「手籠めにしたんじゃないでしょうね?」

「違うよ!」

 何でそうなるの!ハーレム願望も、そういった見境無い色欲もない!

「昨夜、サラには罰として、ウチのカフェの新メニューの開発を手伝わせていたんだ。だから眠れなかったんだよ」

 持ち合わせのコーヒー豆と道端で拾ったハーブみたいな草をブレンドして、新しいブレンドコーヒーの開発を手伝わせていた。

 優に十数杯を飲ませたから、それで眠れたらそれこそ化け物だ。

 全く、トラブルを起こした次は爆弾発言かよ。次は何だ?国崩しか?

「うぅ......頭が痛いですぅ......」

「大丈夫ですか?これを使って下さい」

 ティフが真っ青な顔で頭痛を訴えるサラを見かねて、自分のハンカチを水魔法で作り出した氷水で冷やして、差し出した。

「ありがとうございます......所で君は?」

 まあ、無理もない。昨日は目を覚ました後夕食を摂ったら、セリスもティフも初の実戦で疲れたのか泥のように眠ったから話す時間は無かったからね。

 カトルだけは目を覚ました後「院長が一人で全員ぶちのめす何て不公平だ!」とかわめいていたけど。

 しっかしさすがはウチの看板娘。よく気が利く。

「ティフを申します。マスターの所でお世話になってます」

 ティフは店で教えたように丁寧にお辞儀をして、自己紹介をした。

「それにしてもティフちゃんもそっちの子も、ホーンラビットとの戦いを遠視の魔術で見てたけど、その歳でそこまでの使い手とは、才能あるよ」

 ほう。賢者様にそう言ってもらえるとは、ティフもセリスもなかなかやるね。

 教えた立場としては誇らしい。

「そろそろ到着しますよー」

 御者の人に言われて、僕らの視線は一斉に前方に集中した。

 そこには大きな塀に囲まれた関所があり、ネルーアの王宮に居た門番とはまた違ったテイストのフルアーマーの騎士が自分の身長のおよそ一・五倍はあるであろう槍を地面とは垂直に立てて、関所を通る馬車、人を一つ一つチェックしていた。

「今さらだけど、逃げ出したサラが僕らといるのはまずくない?僕らは一応ヴェルサの国王に会う予定だけど」

 そう言うと、サラはパンをかじる手を止め、僕に力強いウィンクを一つすると、

「そこはほら、怒ると世界を滅ぼし兼ねない最凶の勇者様が付いてますから♪」

 この楽観主義者め......

 まあ、確かに何かあったら助けるだろうけど、それはこう期待されるような物とは別物でしょうが。

「それはともかく、例の物についてはどうなっている?」

 そう言うと、サラは一瞬で真剣な顔に戻った。さすがにあれの重大性は分かってくれているようで何よりだ。

「例の物に関しては、まだ私達で調査しています。ご心配には及ばないかと」

「なら良いけど」

 あれがもしどこか特定お国に渡ったら、本気で世界の危機だからね。

 会話に一人だけのけ者にされて腹が立ったのか、セリスが僕の頭の上に乗っかって来た。

「それよりいんちょー、そのヴェルサって国はどんな食べ物があるのかな?」

 全く。セリスは相変わらず食いしん坊だな。

「そりゃ、色々あるだろうけど、詳しくはそっちのお姉さんに聞きなさい」

 ヴェルサの事なら、僕よりヴェルサの賢者の方が詳しいに決まってる。

 セリスは目を輝かせてサラの方を向いた。僕の頭に乗っかったまま。

「そうですねえ......この辺りだとブラッディーフロッグの串焼きだったり、シュールクラゲのスープなどが美味でしたね、ゴフッ」

 サラの頭に拳骨を落とした。

 全部ゲテモノじゃないか。

 やっぱりこの変者に頼むんじゃなかった。

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