第十七歩魔獣を倒したため、盗賊を迎え討とう
「なかなかの戦闘力ね」
「曲がりなりにも勇者の弟子だからね」
世界最強の師匠が教えている以上、悪いようにはならない。
それに僕は地球では理系だったのもあって、こちらの人より説明が上手い自信がある。
「それで、さっきの話の続きなんだが......」
ホーンラビットどもに邪魔されて聞けなかったが、今回わざわざ僕を護衛に選んだ理由をまだ聞いていない。
「そんな事より、次のお客様がやって来たわよ」
「言われなくても分かっている。こんなあからさまな敵意、盗賊だね」
周囲に気配がサークル状に集まって来るのがわかる。これもチートスキルの一つである魔王を倒せるだけの戦闘力に含まれる物だ。
「どうする、僕がやろうか?」
リーネは現状、政治的な理由で戦えない。ティフとセリスは魔力切れ。なら状況的に僕しか......
「院長、俺がやるよ」
カトルが立候補した。
「いやいや、カトル。確かにさっきのは見事だったけど、この数を相手するのは無茶だ」
気配から察するに、軽く三十人はいる。
「いいか、自信と慢心は区別しろ」
これもウィル君譲りか?帰ったらもっぺんあの鼻っ柱叩き折っておいた方がいいかもね。
「分かった。じゃあ院長を手伝うよ」
「ならよし」
僕らが話している間にも、盗賊は接近し続けていたため、もう道の脇の茂みがガサガサいい始めている。
「おい、死にたくなかったら、金目のもんを置いていけ!」
ロングソードを持ったリーダー格の男が茂みの中から飛び出して来た。
「!?」
僕、リーネ、ティフ、セリス、カトル皆がそいつを見た瞬間全く同じリアクションを取った。
その次の瞬間、リーネは、
「ップ!」
吹き出した。
そう。ヤツの見た目がちょっと変わっているのである。
髪型が緑のモヒカンで、赤色の眼帯を着けていて、ヒョウ柄のベストみたいなの着ている黒人のオッサンが息を荒くして、目を血走らせている。
「おい、プププ......死にたくなかったら......クククッ......とっとと道を空けろ......はははッ」
ダメだ......笑いが堪えきれない......
リーネが吹き出したのを引き金に、馬車の御者も含めた僕ら全員が盗賊を前にして腹を抱えて爆笑するという前代未聞の事態に陥った。
「わ、笑うな、叩くげぞ!」
「ブフーッ!」
今度は僕が吹き出した。叩く?この場合殺すだろ普通。
しかも何その声。ヘリウムを体内で生成しているのかと思えるほどの甲高い声、どっかのお笑い芸人のいとこじゃないの?
「クッ!バカにしやがって!コイツがどうなってもいいのか!」
リーダー格のオッサンは、部下に目配りをして女の人を連れて来させた。
リーネとは対称的な銀髪をポニーテールに纏め、目の下には大きなクマが出来ているが、頭の下にはそんなクマより遥かに大きな女の武器が下がっている。
女の人は、縛られてはいるものの、着ている服は上品な薄い水色で、所々金色の装飾が施されたいかにも高そうなローブだった。
そしてそんなローブを身に付ける人物を僕は一人しか知らない。
「サラ!?」
「ユウ!?」
そう。捕まっていたのは何と、世界最強者の一人、僕らが現在進行形で向かっているヴェルサ王国にいるはずの賢者サラ・ストレイトその人であった。
切りが良かったので、短めになりました




