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第一歩死んだため、状況を確認しよう

 人生は予想外だから面白い。

 少しでもアニメやラノベを嗜む人なら、少なからず似たような言葉を耳にする事があると思う。

 それは僕こと冬崎悠ふゆさきゆうにも同じ事だった。

 気付いたら僕は見渡す限り真っ白で何もない空間にいた。雪が一面に広がっているような白じゃない。

 立っている感覚が無いと地面とそれ以外の境界が分からないほどに影が全く無い無地の空間だ。

「僕は、どうしてここに?」

 そんな時、僕の視界に一つの人影が写った。

「やあ。はじめまして。えっと......冬崎悠くん」

 見た目から推測するに年齢は僕とほぼ変わらない高校生の少年に見える。彼は黒いロングコートを着ていて、この真っ白い空間のせいでかなり映える。

「あなたは?それにここはどこです?」

「これは失敬。何分この仕事に不慣れな物でね。まずはじめに」


「ようこそ三途の川へ」


「え......」

 三途の、川......?

 そうだ、僕は、あの時......

「両親共におらず、孤児院や学校でいじめを受け、挙げ句の果てにバイト帰りのスーパーで精神を病んだ男性に刃物でメッタ刺しにされ、死亡。絵に描いたような悲劇の人生だね」

 少年は困ったように眉を八の字にして苦笑いを浮かべた。

「ここが三途の川なら、あなたは............死神?」

 あっ、死神(?)がズッコケた。

 案外ノリがいいんだな。

「いやいや。俺は死神ではない。本来死神というのは、連続殺人犯ほどの大罪人が死んだ時にのみ対応するタイプだ。お前さんはそんな事したのか?」

「えっ、い、いえそんな事は......」

「だろう?お前さんは、罪を犯すどころかバイト先では境遇に似合わずその天然キャラでなかなかの人気者。おまけに中学生の女の子を守ってメッタ刺しにされ死亡。全く何でそんな生活でそんな性格や行動が出るんだ?まあとにかく、俺は死神ではない。諸事情あって名乗れないが、神だ」

 神様なら、もっとこう......古代ギリシャみたいな格好じゃないかな?黒のロングコートの時点でかなりオシャレしているじゃん。

 神様がオシャレなのはおいておこう。

 別に神様がオシャレしちゃいけないルール何て無いし。外国人からして日本のイメージと言えば和服だったりちょんまげが当たり前みたいなイメージがあるらしいけど、実際はしている方が不自然であるのと同じ原理だし。

「それで、僕が助けたあの子はどうなったのですか?」

 結果的に命を投げ出したんだ。気にならない訳がない。

「じゃあ、見てみよう」

 神様が指パッチンを一つすると、真っ白い空間の空中に画面が現れた。SF等によくある空中投影型ホログラムディスプレイのモニター(適当)だ。

 アニメやラノベ好きとしては結構興奮する。

 そんな事考えてると、砂嵐を流していた画面に映像が映り始めた。

 映像にはスーパーの大きな看板が映った。

 徐々に看板から離れて行くと、パトカーと警察がそのスーパーに群がっている。間違いない。僕が行ったスーパーだ。

 そこには白線と血痕が。

 ちょっと待って、この体型何か見覚えがあるな......深く考えないでおこう。死んでまで悩みたくない。うん。

「まあ、お前さんが助けた子なら元気に生きてるよ」

 よかった。

「お陰でこっちとしては大忙しだけどね」

「どういう事です?」

「『自分をかばって目の前で人がメッタ刺しにされ、死亡』相当なサイコパスじゃない限り精神を病むぞ。」

「......」

「更に学校では『アイツのせいで一人死んだらしいぜ』『えー、マジ?』何て事も防がなくてはならない。この二つの精神操作がどれだけ大変だったか」

「......申し訳ありません」

「いや、それは別に構わないよ。そういう風に行動する人間がいるだけでこっちとしては嬉しい事だから」

「そう言ってもらえると助かります」

「さて。結果も分かった事だし、本題に入ろう」

 

「お前さんにチャンスをやろうと思ってな」

「チャンス、ですか?」

「そうだ。お前さんライトノベルが好きらしいな」

「プライバシーって概念は神様達には無いんですかね......」

 てかラノベ知ってるって、神様意外とグローバルなんだな。

「昆虫観察キットに入ってる蟻にプライバシーはあると思うかね?」

 そこまで低レベルな存在なのか......そりゃよくある神が人間を滅ぼそうとしていたのも害虫駆除程度にしか思っていない訳だ。

「物分かりがよくて助かる」

 あれ?僕今何も話して......

「この程度の思考は読める。蟻の密集している所に砂糖撒いたらどうなるかね?」

「いちいち蟻で例えないでください」

 さすがに失礼ですよ。こっちだってひいこら頑張って人生生きてるんですよ。

「似たようなもんだろう。まあ、いいや。それで、どうなんだい?」

「まあ、好き、です」

「オーケー。そんじゃ、第二の人生、異世界で過ごしてらっしゃい!」

「へ?」

 異世界?それって、剣や魔法で戦って、モンスターが蔓延っているあれ?

「まあ、そんなとこだ」

 そう言って神様は、かかとで真っ白い床を蹴った。

 すると、白紙に墨が垂れたようにまん丸で真っ黒な穴が現れ、僕は落ちていった。

「大丈夫ー。チートスキルとアイテムもしっかり着けてやったからー」

 軽っ!神様軽っ!

 こんなに神様軽くて良いのか!?神様風に言うと、観察キット(世界)落として壊すんじゃね!?

『えーと、時間が無いから手短に話す』

 落ちている最中にどこからか神様の声がしてきた。肉声やアナウンスのような微妙に乱れた音質ではなく、直接頭に届いているようなはっきりとした音質だ。

『お前さんはこれから勇者として向こうに送る。そっちに魔王がいるから倒しに行ってくれ。そこから先は好きにして良いから』

 え?でもいくらチートがあるとはいえ、人間である僕に倒せるなら、何故神様自らが行かないのだろう?

『こっちも忙しいんだ。これから俺もある世界に向かわないといけない。だから三途の川を通りかかったんだ。本来ならお前さんは『転生科』に回されるはずだったからな』

 神様も案外大変なんですね......。

『本当だよ』

 そこで僕の意識は視界と同じように暗転した。

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