中盤2
ジャグラーがチャクラムやナイフ、ブーメランを絶え間なく投げる。
火吹き男が火を噴く。さらに手品師の罠。
ポゴには容易に近づけない。その上で「平団員」が襲ってくる。
それは体を武器に改造された子供達だった。道化メイクに泣き叫ぶ顔、時にはにたにたと笑って。
武器に改造された手足を振るってくる。
人狼の冴も陽も子供を相手にするのはさすがに気が引けた。
「くそっ……ガキ相手ってのはやりづらいね。みんなちょっと目を伏せててくれよ。すぐに助けてやるからね!」
「ああ、やりにくいな。だからこうして無力化するってわけだ『酸素操作』」
一瞬だけ改造された子供達の周囲の空気をどかせて窒息により気絶させる。
だが数が多い。次から次にと来るのだ。
それに酸素を散らしすぎれば自分たちも窒息してしまう。
「くそっ……数が多い!そっちは!」
「厳しいね。隙が少なすぎるよ!」
ジャグラー、火男、手品師の三人は手数が多く隙が少ない。当たれば手ひどい傷を負うだろう。
その時、互いに目線を交わす。せめて相手を交代できれば。
「おっと、俺の相手はお嬢ちゃんなんだろ?スイッチなんてさせるかよ!そぅらどうした!」
「せめてもう一人つれてくりゃあよかったかな……?」
劣勢の中、陽が愚痴った。
■
「あわわわ……やはり力不足であります。無理があったのでありましょう。しかしどうしたものか……」
その様子を現世の路地から観察する隘勇線は不安そうに見ていた。その肩に手が置かれる。
「よう、困ってる様子だな」
2mのトランクを背負った筋肉隆々の大男、真だ。
「貴殿は狩人……で、あればただでは通せないのであります。それが同盟との契約でありますから」
「手が足りないんだろ?」
「負けられないのであります。2重の意味で。渡し賃を要求するのであります……心苦しいのでありますが」
不安そうに申し訳なさそうに隘勇線の眉が歪む。少女の姿をしたそれは儚げであった。
す、と真の手が出される。その手には万札。
「とっとけ。時間がねえんだろ」
ぱああ、と隘勇線の顔が和らいだ。へっ、と真は静かに笑った。
「では、急ぎ出発するのであります!乾坤九星八卦よし!」
遅ればせながら、狩人が戦線に加わる。反撃の時間だ。