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開幕

無頼 チャイ様 出灰八雲様 魔獣様の御三名からキャラクターをお預かりして書いております!

ありがとうございます!

闇護真さんは出灰八雲様よりです

都市の集中化で寂れたシャッター商店街。その中の奥まった一件にその店はある。

「刃物屋・丸木戸」昔ながらの街の刃物屋さんだ。

街にながらく暮らす者が、たまに包丁が切れなくなったら研ぎに出すだけ。

どうやって成り立っているのか解らない類いの店。

そこに野獣のような男が入っていく。身の丈2メートル近い筋骨隆々とした大男だ。

料理人だろうか?否、違う。彼は狩人だ。黒魔術師や人食い妖怪、狂科学者といった人の皮を被ったケダモノの狩人。

ならばこの店はただの店ではない。つまり、そういう裏街道の店が何の変哲も無い顔をしておらが町にあるのだ。


「おやっさん、邪魔するぜ」

「邪魔すんならかえってくんな……冗談だよヒヒヒ」


くわえタバコでハサミを研いでいる老人。彼が店主の丸木戸丸夫だ。

つるりとはげ上がった頭に枯れ木のような体。猫背の愛嬌ある好々爺。しかし表街道の人間ではない。

くわえタバコで精密作業ができる実力は狩人の武器職人にふさわしいのだ。


「器用なもんだな」

「なあに、慣れさ」

「裏はいっていいか?」

「ああ。好きに入りな。だけどあたしの子供達に素手で触れちゃあいかんよ」

「わかってる」


のしのしと狩人は狭い店内を入っていく。

すれ違いざま丸木戸老人が鍵を渡した。

南京錠のかかった扉を開けるとそこは武器庫だった。

斧、ハンマー、刀、処刑剣に始まり拷問器具や訳の分からない刃物も沢山置いてある。

どれも人や人ならざる者の血を吸ったであろう暗い迫力を出していた。


「おやっさん、こういうのどっから仕入れてくんだ?趣味わりいな」

「キヒヒ、ほとんどが自作だよ。材料はあんたらから仕入れることが多いのは知ってるだろ?

妖刀、魔剣、いわくつきの品……そういうのを地金にしてたたき上げるのさ。あたし好みにね」


丸木戸老人はコレクター魂が騒いだのか饒舌に語る。

いつのまにか研ぎを止めて青年の背後まで来ていた。


「あたしら元々そういうマニアだったのさ。ほれ、猫谷のやつとかは鉄砲ばっか作ってるだろ?

あいつはガンマニアさね。本業よりこっちのが楽しいってさ。

今のご時世であたしらは趣味も実益も暖まってる。たまらん世の中になったと思わんかね?」


青年はため息を吐いた。


「ろくでもねえご時世だな。それで、俺のは?」

「あんたの相棒はできてるよ。そうれ、これだ」


丸木戸老人が地面を探ると床が開き、中から2m近い長さのトランクが出てきた。

青年はもどかしそうにトランクを受け取り、中を確認する。

それは、鉄塊だった。正確には2mもある巨大な短冊形の鉈である。


「刃渡り160センチ、幅30センチ、柄40センチ、全長2メートル。

巨大鉈『鏖牙おうが』いいねえ、たまらんねえ。バカと冗談が総動員だ。

振り回すところも見てみたいねえ。なんなら、地下に案山子があるから斬っていくかね?シンちゃんや」


黒光りする巨大鉈を確かめ、闇護真やもり・しんは満足そうにかすかにほほえむが、すぐに顔を引き締めしかめ面を作る。


「あんた自身で体験してみるか?」


トランクを閉めてゆっくりと立ち上がる。ぎい、と店の床が鳴った。


「それもいいが、まだあたしゃ現世に未練があるんでね。研ぎができなくなったらやっとくれ。

それより、欲しいものはないかね?これなんかすごいぞぉ……ヒヒヒ」


しばらく真は店の品を見ていたが興味なさそうに首を振る。


「変わり種は相棒で間に合ってる。それよりおやっさん、情報のほうはねえのか」

「客の情報は売れんよ?」

「わかってる……最近羽振りが良さそうな奴らだ。バックの無いような……いるか?」

「ああ、ケツモチなしの所ならわんさとあるさね。百鬼が金と武器と智恵を出してるかんね。

いいねえ、大手ってのは……で、そんな大手のチェーン組織なら……ああ、あいつらだ。

『殺人道化団』ってね。タチの悪い殺人鬼集団だ。あいつらの武器、売ってくれるなら高く買うよ?」

「そいつらのヤサは?」

「おっと、これ以上が知りたかったら5万円」

「チッ……とっとけ」


真がしわしわになった万札をしわがれた手に渡す。

果たして、真は『殺人道化団』の情報を手に入れた。


「キヒヒ、まいどあり……あいつらの武器、楽しみにしてるよ」

「あんたのためじゃねえ」


そして、真は2mのトランクを抱え、店を出た。

出るときに少年と言ってもいい背丈の男とすれ違う。

派手なTシャツに黒いワイシャツを羽織っていた。今時の学生という感じだ。

だがかすかに、血の匂いがした。ご同業だろう。


「ったく……世も末だぜ」

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