遥か未来の地球 2
遥か未来の地球。
広い海のど真ん中に巨大な島がある。
それは太古に栄えた旧人類が作り上げた人工島だ。
島には小さな家がポツポツと作られているだけで、商店街も、工場地帯も、ビル群も存在しない。
家々の間隔は広く、どの家にも広い庭が存在しているが、人の気配は殆ど無い。
ほぼ無人と言っていい人工島は、様々なロボットによって維持管理されているため、家々は人間が生活していた当時の姿を維持している。
そんな人工島にある一軒の小さな家から、少女の鼻歌が聞こえてくる。
少女は小さな自宅の可愛らしいキッチンで祝いの料理を作っていた。
そして時折、少女はエプロンを外して散歩に出掛け、人工島を覆うバリヤーの解除作業がどの程度まで進んだのか様子を見に行く。
少女はそのまま暫く解除作業を眺めると満足気に微笑み、また自宅に帰って祝いの料理を作り始める。
少女は様々な種類の料理やお菓子を作り出し、可愛らしいお皿に盛り付けると小さなテーブルに並べていく。
そしてテーブルがお皿で埋まると、少女はエプロンを外し、キッチンにあるエプロンかけにエプロンを引っ掛ける。
少女は鏡を見て、己の髪型を気にしながら壁掛け時計を確認し、
「そろそろかな?」
と呟いた。
少女が呟いた、まさにその瞬間。
コンコン
と少女の家の玄関が小さくノックされたのだ。
ノックを聞いた瞬間、少女はパッと笑顔になり、パタパタと急ぎ足で玄関を目指す。
玄関に到着した少女は一回深呼吸し、そして慎重に、ゆっくりと玄関のドアを開けた。
開かれたドアの先には、一人の少女が立っていた。
玄関先で立っている少女は全体的に黒色をした服を着ており、手には可愛らしい杖を持っている。
黒い服を着た少女は、白い服を着た少女を見るとニッコリと微笑み、そして頭を下げて挨拶をする。
そんな黒い服を着た少女の頭には、可愛らしいケモノミミがピンッと立っている。
・・・そうだ・・・。
この黒い服を着た少女こそ、新人類最後の生き残りであり、魔法技術の結晶でもある。