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第8夜

「んで、何で俺はここにいるんだ?!」

「いや、それは、かくかくしかじか…」

 両手を挙げて、レウがなだめようとするものの、レイドは聞く耳を持たない

「そろそろ本当の事を言ったらどうなんだ?!」

「俺様に言われても・・・」

「お前も一枚絡んでるんだろ?!」

「う・・・」

 返答に詰まる

「それに、あいつが回収するとか言っていたけど、何なんだよ」

「…なあ、本当に知りたいなら…カーナに行った方が早い」

 その時、背後で息を呑む気配があった

 レイドはもちろんのこと、レウも気付いていなかった

「カーナ…」

「行く、か…?って聞くまでもなさそうだな…。…俺様もついてってやるよ」





 退室した時、横から声を掛けられた

「なぜ、あんなことを言った」

 その声音は冴え冴えとしていて、責めているようであった

「別。黙っているよりはましだろう?」

「レウ!お前何をしたのか分かっているのか?!あの子供が、もし知ったらどうなるか分からないぞ!!」

「セリス、…遅かれ早かれ知ることになるんだ。今知っておいた方がいい。…それに、あれはそこまで弱くない」

 ぐっと、セリスは唇をかんだ

「なら、私も行く」

 目を伏せ、レウはその場から立ち去った

 その背後を一瞥した

「もし、堕ちたら・・・?」





 その時は、どうすればいい?










「クーラーウードー。なぜに不機嫌?」

「自分の胸に聞け」

 おどけた調子のレウにクラウドは殺気をかなり放っている

 おまけに目が完全に据わってしまっている

「鼓動しか聞こえねえな…」

 ばこっ

 ものの見事にレウの頬が赤くはれた

「なぁにすんのよっ」

「黙れ」

「カリカリすんなって」

 いつもの冷静ぶりはいったいドコへ…

ここまで変貌されると、違和感どころの騒ぎではない

 もっとも、本人は気付いてないかもしれないが

「…」

 不意に、レウの顔が引きつった

 その目に映ったのは、クラウドの背後でうねるどす黒いオーラだ… 

「く、クラウドさん?!はい深呼吸」

「…」

 無言のまま剣に手を添える

それを見て、レウは度肝を抜かれた

「ちょっ…。まじ、キャラが変わってるし!!」

 そこに、救いの手が差し出された

「何してるんだ…?」

 呆れた顔をしたセリスがいた

その側に、理解不能と顔にだすレイドの姿があった

 女子供に情けないところを見られた大の大人二人は沈黙になった

 いろんな意味で最悪なほうに転んだと思う…

 腕を組んだセリスから、思いもよらない言葉が飛び出す

「おい、とっとと行くぞ」

「?!」

 全員が目を丸くしてその人を見る

 一方、見られた側は心外だといわんばかりである

「ああ、セリスは切れるとああいう言葉遣いになるんだっけ…」

 言いながら、レウの脳裏に最悪の記憶が走馬灯に駆け巡るのだった




「と、言うわけで行ってきます」

「待たんか!なんだそのお使いに行ってきます的発言は!?」

 許可を得るため、玉座の間に通されるなり爆弾投下するレウと若き国王陛下

 その周りにははらはらしながら見守る兵士の姿があった

「真実、お使いです!」

「嘘付け!!」

「…チッ。ばれたか」

 今、明らかに舌打ちをした

「やっぱりそうなんだろ?!どこに行く気だ!!」

「カーナ。文句ありますか?」

「威張るな!!と。いうより大有りだ戯け者!!」

「え〜。なんで、なんでぇ?」

「おい、色っぽい声出すなよ…」

「いいんだいいんだっ!…国中に恥ずかしい写真ばら撒くぜ」

 悪魔モード、スイッチオン

「―!!!!!」

 王が絶句した

それと同時に兵士らが一歩引く

 いや、一歩というレベルではない

「…っ…」

 不意に、王の顔に不適な笑みが広がった

「くくくくっ。だったら、貴様のあの話をここにいる連中にばらすぞ!!」

「―!!!!」

 今度は、レウが絶句する番であった

「ほほう、俺様を脅すとはいい度胸じゃねぇか…」

「何だ?やる気か…?」


 殺気を大量に放つ二人の周りには、冷や汗をかく兵士らの姿が…


『俺、軍から出て、真面目に畑を耕そうかな…』


 そんなことを考えてしまう兵士らであった




 実はこれ、今日が初めてではない

 ほとんど、今毎日のように繰り返される口論

 最終的には暴力で解決しようとしだし、そこに決まってセリスが現れて、罵声、または魔法を飛ばし、長々と説教を食らわすと言うお決まり事に近い現状であった

 そして、今日もまた、セリスが…、魔法を発動させた

「ゆらりゆらりと、躍り、舞い上がれ…。ファイラ」

 瞬間、陰険な空気を漂わせていた二人の周りに炎ふが舞った

「うぎゃぁぁぁぁ!?」

 文字通り飛び上がる二人に、容赦なくセリスの罵声が投げられる

「何やってるんだこのくずどもが!!!」

「ひいっ!!」

 セリスの気迫に二人が引いた

「そこに直れ!!」

 素直に二人は正座する

「まったく、余りに長いんで来て見れば…いい年して、餓鬼染みた喧嘩をしやがって!!お前らそれで、国やっていけると思ってんのか!ああ!!?」

 果てしなく暴言に近いそれに、首をすくめる

 余談ではあるが、セリスは切れたときにだけ、言葉がかなり荒れる

 それでも、謹んでいるが、この二人とあっては情け無用

「反省してます」

 声を揃える二人に、セリスは恐ろしい形相をとった

「ああ?おめぇら、それで反省しているつもりか?…それともまだ、たんねぇのか?」

 魔力を高めだすセリスに二人は必死にやめるよう懇願する

「だったらよぉ。ちゃっちゃと許可よこせや。てめぇもてめぇで、ぐずぐずしてんじゃねぇよくずが」

 王の権力はいったいドコへやら…

 青い顔をして、二人は何度も何度も首を縦に振るのだった



 ちなみに、それを外で聞いていたクラウドとレイドは、セリスの豹変振りに硬直していた

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