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第7夜

 空には、月がかかっていた


 テラスに出て、クラウドはこれまで我慢していたため息を漏らした

「…」

 無意識のうちに腕がある方向へと伸びる

 そこから、あるものを取り出した

それは、黄金色のロケットペンダントだった

チェーンを掴み、目の前で揺らす

 反対の手で軽く、親指をはじくと、簡単に開いた

 しばらくの間、クラウドはそれを眺めた後、大事にしまいこんだ

 背後から、足音をしのばせる気配があったからだ

「生き別れた家族の写真か?」

 振り返った先にいたのはレウだった

「何だってかまわないだろう」

「言うと思った」

 大仰に肩をすくめて見せる

「なぜ、足音を消そうとした?」

「…驚かそう、と思ってね」

「…」

「何か、ものいいたげだなぁ」

「いや」

 語調をまったく変えずに言うクラウドに、レウは疑いのまなざしを投げかけた

「そういやぁ、レイド君が探していたっけ?」

「失礼する」

 言い終わらないうちにクラウドはさっさと行ってしまった

 足音が完全に遠ざかる頃、レウは表情といえるものをかき消した

「嘘言ってるのは、バレバレなんだよ…。いつか、引きずるぜ」


 その、月の明かりだけが、すべてを飲み込もうとしていた




「いいかぁ、レイド君。前回の復習をどうぞ」

「…え?」

 いきなりそんなことを言われても答えようがない

 それよりも、前回とはいつのことだ

 ひょっとして、あの戦闘のときに言ったことか?

「ええと…」

「はい、時間切れ。レイドくーん。ちゃんと復習しなさいっ!」

 そんなこと言われても

「昨日の今日だけど。それに、まだ五秒…」

「シャーラァァップッ!!」

 大声で、レウが言った

 いつの間にか、黒板らしきものが背後にある

……幻覚か?

 ちなみに、この場にいるのはクラウドとセリスだ

 クラウドは、後ろのほうで壁に寄りかかり、話を聞いている

いや、素通りしているかもしれない

 セリスはすぐ傍でひざを組み、呆れ顔で聞いている

「魔法にはそれぞれ、個々の属性を持っていて、人は誰しもそれを持っている!」

「聞いた」

「…んで、その属性なんだけど。はい、クラウド」

 そこで、レウは突如クラウドに振った

 指名された本人は訳がわからんという顔をしたものの、ちゃんと答えた

「属性には層というものが存在している。上からファーストエイド、セカンドティア、サードフォルだ。それぞれの層は、一番初め、すなわちファーストエイドから生まれている。ちなみに、ファーストエイドの魔法の属性はジンライティアジンダークネス。この二つは最上級ランクの魔法で、これをもっているのはそうそうにいない。そして、この二つには、ほかのいかなる魔法であっても倒すことは不可能だ」

「魔法の中の王様みたいなもの?」

「そうさ」

 答えたのはレウだった

「そして、ジンライティアからジンウォーティジンウィンダムが、ジンダークネスからはジンガレントジンフレイムが生まれた。それがセカンドティアに入っている陣であり、四大元素とも言われる魔法だ。こちらのほうが、なじみがあるだろう?だけど、これをもっているのは1000人に1人の確立だ。そして、サードフォルこれはすでに多発している。なんせ、10人全員がいずれかを持っているもんだからな」

「いずれか?」

 そうだと、セリスがじれったそうに言った

「サードフォルに含まれる陣はパワー知恵ウィズドン勇気カレッジムーヴなどと、あげたらきりがない。その中で、四大元素を色濃く持っているとすれば、ジンドリアードジンヒューズジンボルテッカの三つだけだ」

「へぇ…」

 相槌を打つものの、まったく理解不能

「そういえば、レウはジンヴィンダムだよな…」

「まぁね〜」

「じゃあ、クラウドは?」

 二度も指名されて、クラウドはうんざりだといわんばかりであった

「…さぁな」

「?何で知らないんだ」

「確認しないままの人もいるんだよ」

 セリスが何か意味ありげな目でクラウドを見ながら言った

「なんで?」

「さぁな」

 

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