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第2夜

 朝食を終えた二人は、外に出て、剣の稽古を始めた

さすがに稽古なので、木刀を使っている

 本当のことを言うと、二人は本物の剣を持っているが、それは現在進行形で内緒だ

「もらったーぁっ!」

 気づけば、フレックは宙に躍り出ていた

目を軽く見張るものの、それは一瞬のことですぐににやりと笑った

一瞬の出来事を見逃していないフレックは青ざめかけた

 こういう時、レイドは必ず悪いことを考えている

そういう時は、下手に近づかないほうがいいと経験上での知識が教えているが、フレックは現在身動きがほとんど取れない

「ちょ、たん」

「まてはなし」

 ガポン

 フレックがボールのように飛んでいくのが、みえた






「また負けたぁ」

 さすがに疲れてきたのでちょっと休憩

 とは言っても、疲れているのはフレックのほうだ

「お前、動きが大きすぎるんだよ」

「きゃうきゃう…」

「・・・・・・」

 今日に至るまで、フレックの勝敗数は100戦中100敗0勝

「ここまで悪いと我ながらに笑っちゃうな」

「笑えるか。お前本当になる気あるのか?」

 幼馴染である二人の夢は親衛隊になることである

「レイドは隊長の息子じゃん。勝てるわけないよ」

「あのな、やる前からきめるな…」

 突如、言葉を切ったので、フレックは訝った

「レイ…?」

 返事はない

ただ、どこかを探すように目が動いているだけだ

「レイ」

 やはり返事はない

「レイ!」

「!…フレック?」

「どうしたんだ?」

「いや、別に」

「?」

「なんでもない。はじめるぞ」

「わふ?…のぉ!待って!!」





 

 ―ここは、どこだろう

 広がっているのは、暗黒の世界

 目の前に、ずっと先にあるのは小さな光の野原

 そこには、少女が一人

 自分に向かって手を振っている

 近づいてみる

 確かに近づけている

 だんだんと、少女の顔が見えてくる

  

  行ってはだめ!


 誰かが、そういった

 誰だ?

 

  逃げて、早く!


 逃げる?いったいどこに逃げるというのだろう

 少女との間にあった距離はまた縮まっていく

 

  戻って

  あなたは、…に…てしまっているから

  …は永遠に、あなたを…


 何を言っているのかまったくわからない

 別にどうでもよかった

 だって、今…

 『ツカマエタ』

 少女からそう、発せられた

 それとは別に、背後に何かいる

 『…ヨコセ』

 『ホシイ…』

 一人だけじゃない

 複数

 動けない

  あるのは黒一色の世界

 そこに転々と血のようにあかい目が複数

 冷たかった

 何が起きている?

 初めて、感じるこの感覚は何だ?

この感覚には覚えがある

 そんな気がした

 赤い光が動く

 けれど、動けない

 ―…い…い、…!!

 遠くで、誰かが叫んでいる

 それは…


  


「レイ!!」

 耳元でした声に、レイドは起こされた

「…?」

 まったく訳のわからないという顔をするレイドに、フレックは心底安心したような顔をした

「すごく、うなされていたけど…」

「…そ、そう」

「大丈夫そうだな」

 にかっと、彼は笑った

 の、前に

「何でいるんだ?!」

「別にいいじゃん!」

「よくない!!」

「お、元に戻った。んじゃお休み」

「勝手にもぐりこむな!!」

「ぐー」

「おい!!」

 何をどうしても、おきそうにないので、レイドはついにあきらめた

 仕方なく、寝返りを打つ

「・・・・・・」

 寝たくない気分だった

 寝たらまた、悪夢につかまりそうになるから・・・ 

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