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慣れているから、大丈夫、なのです。
ボソボソ
ボソボソ
ボソボソ
いろいろなところから、私の名前が聞こえる。
ジロジロ
ジロジロ
ジロジロ
いろいろなところから私への視線を感じる。
こういう時は心を無にするしかない。なにも、感じないように。
前も、よくやっていたから。
出来るはず。
心を無にする。
心を、閉ざす。
何も聞こえない。
視線も感じない。
聞きたく、ない。
周りの全てから逃げるように、私は目を閉じた。
カンっ!
「お黙りなさい。無礼だとは思わないのですか」
「柚羽様!?」
……え?
目を開けたら、目の前には金髪の髪があった。誰?
柚羽様?
甲高い音がしたと思ったけれど、それは柚羽様がヒールの音を立てたようで。
「何人もの不躾な視線をただ1人の少女になげかけるだなんて、そして聞こえるように陰口なんて。とてもとても淑女がするべきことではありませんわね」
くるり、と柚羽は私の方へ振り向いた。
ふぁ、美人さん!!
金髪に紅の瞳ってとても綺麗……。
「はじめまして花奈様」




