お父様、お母様、見えてますよー。
にゃんこ様どこいった?おいでー。抱っこさせてください!!
「さぁ、安心して会場へお入りください」
「殿下!!」
……うるさいな……。
スルリ、と腕を離す。
「、!?」
さて、お父様、お母様。会場へ行きましょうか。
お父様とお母様の方へ、1歩を踏み出そうとすると、ガシィ、と腕を掴まれた。
「ほ?」
「いやいやいや、ゆ、花奈ちゃん。なんでそっちに行こうとしてるのかな!?」
え、駄目でしたか。なにか会場に入る前になにかすることでもありましたか。
「さぁ殿下。花奈ちゃんは殿下ではなく、こちらを御所望です。手を離してもらいましょうか!!」
え、なんでそんな鬼の首とったぜー!みたいな感じにきらきらしながら言ってるのですかお父様。
そしてなんでそんな悔しそうな顔してるのですか、悠紗殿下。
「……仕方ありません。花奈様が望んでいるのなら、今回は引きましょう」
スッと腕から殿下の手が離れる。
よかった、ちょっと痛かったんだよねー。
「じゃあ、あとで。花奈様」
ひらひらと手を降りながら去っていく殿下。
それを見送る私。
の後ろでぎりぎりと殿下の背中を睨んでるお父様とお母様。
見えてますよー。
私に見えないようにしてるかもしれないけれど、見えてますよー。




