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2話
先生。
先生。
助けて。
真っ白い道をただただ走る。
出口はどこ?
先生は?
お母さん、お父さんは??
私は……だれ?
それでも私は走ることしか今はできない。
私が誰なのか。そんなことはこの建物、いやあの男から逃げてからだ。
ふと、灯りが見えた気がした。
「出口!」
やっと出口が見えた!
走れ走れ。
「唯ちゃん!!!!」
背後から、あの男の声がした。
走るスピードを早める。
捕まったら終わりだ。
逃げなきゃ。早く早く。
バンっと走りながら扉を叩き開ける。
起きたばかりで、靴など履いているわけでもない。
足が痛い。足の裏が痛い。
土の上を裸足で走る。
後ろは見ていないけれど、絶対にあの男は私を追ってきている。
確信がある。
大きい道路。
大きい道路を見つけなきゃ。確かそれがいい方法だったはず。
助けを。誰でもいいから助けを求めなきゃ。
「唯ちゃん!!」




