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短編

カミサマ。

作者: 382

昔書いてた話をリメイク。

1000文字ちょいの短文。

「暇だ」

カミサマって、退屈。

暇潰しに天災を起こしたり、気紛れで人間を助けたり、ゴロ寝したり、ゴロ寝したり、ゴロ寝したり、ゴロ寝したり……。

「ああ?人間は戦か。ご苦労なこった」

でも、暇潰しには丁度いいかな。

今は人間たちにとっては、戦国時代。あちらこちらで戦が起こるが、カミサマにとっては「まーたやってる」という感覚も無い。だって、普段なら見向きもしないから。

「今回はあの人間たちに決めた」

人差し指を立てて、クルクルパッと動かせば、カミサマに選ばれた人間たちに力が降り注がれる。


「ギャアアア!」


ほら、効果てきめん。

下界では、どこかの大国同士が交戦中。しかし、突然の出来事に、皆武器を落とした。

「な、お、お主……な、え?ええ?!」

「殿、それは一体……」

「え?え?何だこれは?」

「忍びの忍術……か?」

「ぬう……、一体これはどうした事じゃ」

ある武将の頭は、兜からはみ出すほどの綿の塊のような髪。

ある家臣の頭は、後退しまくりの落ち武者髪。

ある兵士の頭は、髪の量も増え、長くなり、金色に染まり、それがネジのようにキツく渦巻く。

ある忍びの頭は、毛先だけが強く複雑に巻き付けたような髪型+緑に染められた芽花野菜(ブロッコリー)のような頭。


その他の武将や兵達の頭も、おもしろおかしく、恥ずかしい髪型になっている。

「……」

「うわァ!主殿が放心したままかえってこない!」

「…………」

「おいッ、お前しっかりしろ!」

これは、もう戦どころではない。

そんな下界の様子を見て、大笑いしていたカミサマだが、ふと気づく。

「あれ?何であの人だけ変化がないの?」

それは燃えるように真っ赤な髪を持つ武将の1人。

「あんなに長い髪の毛、全部無くなったら面白いかなって思ったのに」

何度も力を使うが、武将の赤く長い髪は全く変化がない。

「むうう……。何かムカつくッ」

最後に、毛根を死滅させる程の力を使うが、やっぱり変化無し。

「~~……悔しいーっ!」

今まで、起こした天災ハゲは数知れず、気紛れに助けた(発毛)事もあったが、こんな敗北感は初めてだ。

「ハゲるまで、絶対諦めないからな!」


こうして、武将が死ぬまでの目標が出来たカミサマが退屈を感じる事は無くなり、毎日力を送り続けた。

数日後、力の効果が切れた彼らの頭は元に戻ったが、記憶には残っているのでお互い気まずい。見てしまうと思い出し、吹いてしまうので目線は微妙に逸らしていた。

そして、毎日のように力を送られる武将だが、別に困った様子は見られない。

「最近、生えることも無いから、いちいち剃らんでもようなったのう」

平時には兜ではなく、頭巾を着けている。頭をスッポリと覆う赤い頭巾を取り、ぐりぐり。と自分の頭を撫で回し、武将は満足気に笑う。その斜め後ろには、自分の具足一式。諏訪法性の兜は、小姓が手入れの為、櫛を通している。

ちょっと生える度に剃っていた彼にとって、カミサマの力は迷惑どころか、ありがたいばかりだ。

カミサマがその事に気付くのは、一体いつだろうか。



髪様(カミサマ)は時として上位ランクの神として崇められます)

※話に出てくる兜は、武田信玄の兜を連想していただければいいんじゃないかと。


登場人物

【カミサマ】

髪のいろいろを司る神様。髪様とも呼ばれる。

発毛より脱毛の方が面白いんじゃないか。と、発毛側にあまり力を回さない。頭部を気にする人達にとっては、あまりにも無慈悲な神様。

神様だけど、オツムやら何やらが良いわけじゃない。その辺のものは全て髪に関する能力に回されているから。


【武将】

別に武田信玄じゃない。

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