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35 イベント2日目5

いつものようにランキングを漁っていましたらこの作品を見つけました。

嬉しかったです。



追加、すみません。次の話が纏まらず四苦八苦しております故、更新が二、三日遅れそうです。ごめんなさい!


追記、纏まる気配がないので書き直します。

 


 はてはて、内装は如何程で?


 というわけで店に入ったわけだが、中身は昔ながらの駄菓子屋のような感じだった。

 土間のようなコンクリートの床に木でできた棚。店内の真ん中に置かれた木のテーブルには所狭しとアイテムが敷き詰められている。奥にはおそらく店主の家と直結しているのだろう小さなカウンターが一つ。


「ほんとに雑貨屋といった商品のラインナップですね。ポーションから羽ペンまで生活用品が一杯です」

「……MPポーションとMPクリーム、欲しい」


 ガールズは早速店内の探索を始める。シルルの言っていたMPクリームとはハンドクリームみたいなもので、MP消費に伴って黒くなる手にそれを塗ると元に戻るというものだ。ポーションよりも即効性がある。HP回復で同じ効果を持つアイテムはHP目薬だ。語呂が悪いが正式名称がないのでしょうがない。だから単に目薬と呼ぶことの方が多いな。


「ポーションありました!……けど、どうやらシメイヨツノの物とは少し違うようですね」


 そう言いながらコノカが持ってきたポーションは確かに僕が見慣れたものとは違った。

 まず、見た目。シメイヨツノのポーションが木でできた瓶に入っていたものが、ここのものはガラスの瓶に入っている。

 そして、香り。ここのものは何故だか物凄く渋い香りがしたのだ。


「渋い、というよりは青臭そうな匂いですね」

「うーん……シメイヨツノの物もエグさは結構あったけど、これはベクトルが少し違うなあ」


 ここのポーションの匂いを濃い青汁と例えるなら僕らのポーションは煮詰めたお茶といった所だろうか。薄めれば抹茶になったけど効果は薄くなったのを覚えている。


「これが地域差というものでしょうか?」

「ポーションがこれならクリームの方も結構違うんだろうな」

「そうでもないようです」


 そうでもないんかい。

 続けて持ってきたクリームは僕のよく知ると一緒だった。といっても使うのはコノカとシルルが時々使う程度で僕なんかは全く使わないけどね。魔法スキルないし。


「この違いはなんだろうね?」

「作ってる会社が違うとかですかね」

「クリームの方が進出進んでるってことか。だとしたら自由国家が絡んでるのかもな。なんていったって国家が商会だからな」

「そう考えると自由国家連合の物価は安そうですね」


 羨ましいことだ。日中モンスターを狩り続ければ金の工面は必要なくなるけどもう一度やるかと聞かれたらごめんだしな。なるべく節約していきたいものだ。


「……一応これでポーション系とクリームと目薬は買ったけど他にあるものとかあったっけ?」

「ブラシが欲しいです」

「ブラシ?」

「あの子たちのブラッシングをしてあげたいので」


 狸と狼(あの子)達か。

 確かに手入れは大切だよな。現実でもブラッシングの有無で毛並みが天と地程に違ってくるし。手入れといえば僕の体とかも油指しが必要だったりするのだろうか?

 オイル塗ってあげよっか?ただし、自分の体に。なんてね。


「それじゃあブラシも買って、後はもう少しここの店の探索をしようか。一応休憩のために入ったわけだしな」

「そうですね。じゃあ私はシルるんと一緒に生活用品の方見てきますので頃合いを見て声をかけて下さい」

「了解」


 購入した物を分配して二人と別れた。

 よし、それじゃあ探索しようかな。初めての場所の初めての店内。ワクワクしない理由がないよね。


 改めて店内を見渡すと狭い中に商品がぎっしりと詰められているため全てを見るのは大変そうだった。また、この店のターゲット層はポーションや生活用品などを買う一般の客だけでないらしく他の店(というかシメイヨツノの店)では見られない怪しげな商品もたくさんあった。

 死ぬ間際のトカゲの尻尾、扱い途中の妖精の翅、別れ話の時に流した未亡人の涙。無理矢理外国語を翻訳したかのような名前のアイテムがたくさん並んでいる。


 そしてそんな中、僕は気になる一つの商品を見つけた。もった見ようと手をそれに近づける。



「ほほう?お目々が高いようで」

「それを言うならお目が高い、だ……って誰だお前」

「店主です」


 なんだ店主か。……ん?えェ!?


 気になったものを手に取ろうとした瞬間店主を名乗るプレイヤーが突然話しかけてきた。振り返るとマウストゥマウスが夢じゃない距離に見知らぬおっさんの顔。これじゃあ思わず声を上げると言うもの。

 僕が商品棚とおっさんに挟まれて動けないのでおっさん化までどいて欲しいと訴えていると、何の電波を受け取ったのか『あっ』と何かを思いついたような顔をして口を開いた。



「店主です」

「知ってます」

「知ってましたか」

「はい」


 いや、どけよ。


「てんs」

「知ってます」


 ……ふう。ナニコレ?




 ー・ー・ー




 おっさんはニコニコとこちらを見てくる。だがしかしどく様子は一切見られない。

 そんな不気味なおっさんに対して、とりあえず僕はそっと手に持ちかけていた商品から手を離そうとして───離せないだと!?


 ガッチリとおっさんに手を掴まれた。


「え、えっと……」

「どうなさいましたか?」


 いや、確信犯だろ。幸せの壺の人だってここまで白々しくはならないぞ。


「……手、離して貰えます?」

「店主です」

「知ってます!!」


 なんだこのおっさん。しらを切るってレベルじゃねーぞ!あと物売るってレベルでもねえ!!形容し難い何らかの現象に巻き込まれている気分だ。


 駄菓子屋のような店の中で二人、手と手を取り合って数分間目を合わす。


 そして、根負けした。


「……分かりました。何考えているかは全くわかりませんが、分かりました。この商品を購入しますので、せめて何故手を離さないのか。そして一体全体どう言うつもりなのかを説明して下さい」

「……ちっ、しょうがねえなぁ」

「おいこら店主」


 急に生臭になったな。


「いやぁ、面白い顔のお客様がおられましたので、ついお声をおかけになられてしまったのです」

「途中から敬語の方向が僕から自尊敬語じみてきてるの気付いてるか?心の内で僕のこと見下してるだろ」

「そしたら、お客様ったら当店自慢の一品に目をつけてるじゃねえか。これには私、感心を抱きなさらずにはおられませんでした」


 もう隠す気ねえな。重度のナルシストか、はたまた接客の才能がゼロなのか。というか僕の話聞けよ。


「ちなみにお客様が見ていた一品、文字通り一品しかございません。お客様と同じ、オンリーワンでございます」

「それは、商品を上げているのか僕を商品と同レベルまで下げているのかどっちなんだ?あとやっぱり全くもって僕の話聞くかないよね?」

「そう、この一品。一品しかないかの一品は、な、なんと!この一品しかございません!」


 いや、もう一品ネタはいいから。したり顔で何回も言わなくていいから。


「……で、これはなんですか?確かに気にはなりましたけど、ただ気になっただけでこれがなんなのかは全く分かんないのですが」

「私にもお分かりになられません」

「ぶん殴るぞ」

「野蛮人が吠えてんじゃねえ」

「おいこら店主」


 こっちは客だぞ?ポーションとか買ってるんだからな?せめてその自尊敬語もどきを止なさい。


「失礼。お口が滑りなさりました。そう言えば、敬語ができるか聞かれて『(さうらふ)』を連呼する小僧を前見かけたのですが、ただのバカ丸出しですよね?」

「唐突に世間話を始めるな。そして、どうしたんだよいきなり。自分が仕入れた品物の詳細がわかんねえ方がバカ丸出しだよ」

「ふざけろ」

「食べログで評価1つけるぞ?」

「お客様〜(はあと)」


 いやなんでだよ。自分でボケといてなんだが、なんでだよ!どこに怯えてんだよこのおっさん。食べログも何も、食べ物置いてないじゃんこの店。もしかしてトカゲの尻尾がそうなのか?


「どちらかと仰いますとデザードですよね」

「もう、滅茶苦茶だよ」


 会話も、敬語も。

 止めだ止め。食べログも敬語も何も聞かなかった、いいね?

 僕は軌道修正を図り、そうはいっても店主が最低減は知っているであろう商品の程を聞くことにする。


「呪いとか付いてないよね?」

「自分で鑑定してから聞けよ」


 マジでぶん殴ってやろうか、この店主。相変わらず距離は近いし。

 ただ、言ってることは一理あるため紳士であることに定評のある僕は黙って手に取った商品を鑑定することにした。このおっさん、もし本戦で会ったらぶっ飛ばす。


 手に取った物とは、錆び付いた螺子のついた古びたネックレスである。



 ー・ー


首捻り(ボルトネック)

 ・呪い具


 ー・ー



「はいアウトー!」


 ただの呪い具じゃねえか。


「かけると首を捻られているような錯覚に襲われます。といっても、軽度の呪い具ですので5分に一度5分の4程度の確率ですけどね」

「大して軽度でもないし、例え軽度だったとしてもだからなんだよ。軽度の呪い具だからつけてみたらってこと?嫌だよ!」

「ったく、注文の多い客だな。さてはお前、猫だな?」

「下らないこと言ってないでこの下らない品をさっさと引き下げろ」

「5000円になります」

「買わねえよ?!」

「ラッピングはなさいますな?」

「なんですることがさも当然のように?……待て待て!買わないから包まなくていい!」

「しかし先ほどお客様が買うと言ったのを私はお聞きになりなさったのですが」

「確かに言ったけどさぁ」


 流石に使い物にならない呪い具じゃなあ……。いくらコノカ達が僕なんかに付き合ってくれるような奇特な女子だったとしても、流石に呪い具もらっても喜ばないだろうなぁ。しかも、ペンダントについているのが錆び付いた螺子一つだろ?これじゃな……。


「お客様、包み終わりました?」

「……ん?待てよ?……おい店主」

「なんですか?」

「この店って、螺子以外にも工具があるのか?」

「まあ、それなりにありますけど。螺子・ナット・歯車・銅線などの材料から始まりドライバー・パンチなどは一通り」


 中世ヨーロッパ系の町並みでそのラインナップは近代的すぎない?と思ったがそれは些か偏見が過ぎるというものか。


「ペンダントは他にはないですか?」

「ウチは雑貨屋ですので本格的なアクセサリーはありませんね。こういったアイテム化したペンダントならいくつか斡旋できますが」


 ならいけるか?最低減欲しいものはあるようだしな。


「お客様?お代の方は……」

「おう、その呪い具は買わないが少し斡旋して欲しいものがある。もの次第じゃあ5000円以上この店に落とすからちょっとみせてくれないですか?」

「お、落とすですか?……も、もう!私を落とすには最低百万は頂きますよ?あるいはこのネジ(ごみ)とその類似品を全て買うとか、ね?」

「……」



 ね?じゃねーよ。あとそのゴミ、当店自慢の一品じゃねえのかよ。……さてはこの店主、ゴミを押し付けるために僕に話しかけたな?


 イラッ。


 そう考えた瞬間、心の底に闇が生まれる。文句も生まれる。

 が、それは今はどうでもいい。


 何故かって?



 何故かといえば、僕にとってその瞬間とはコノカ達へのプレゼントが決まった瞬間でとあったからだ。この浮かれた感情に免じて許してやる。




 そして、そこから十分少々経ち、一万円と少し店のレジにしまい込んだ僕はシルルとコノカへのプレゼントをインベントリにしまい込むと、楽しそうに店で売っていたリボンを付け合う二人に声をかけ、店を出た。


 勿論、付け合っていたリボンは買い上げだ。それはポニーテールのコノカとお団子のシルルを見せてくれたこの店への報酬だった。


 あれ?このリボンってプレゼントになっちゃったとかないよね?僕の渾身の一作がまだあるんだけど。


 そして、そんなこんなで時間は過ぎ、2日目も終わりに近づくのだった。


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