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うじむし76




 私だって鬼じゃない。人より少しずれている自覚はあるけど、理性や人情だってある。

 多少言葉を交わしただけとはいえ、顔見知りと言えなくもない金髪おかっぱが死にそうと聞いて、ただ逃げるなんてことは出来ない。




 ……とでも言うと思ったかい!?


 現状サバイバル状態にある私が、人様の安全まで守ってあげられる訳無いでしょうが。

 物語の主人公ならスパパパーンと解決するのかもしれないけど、私の灰色の脳細胞はそこらへんポンコツなのだ。

 そもそもミュータントマゴットいまのわたしに脳があるかどうかさえ怪しいし。考えることが出来てるんだから意識はあるんだろうけども。


 まぁ、金髪おかっぱも可哀想だとは思う。私や虹川君だってイレギュラーっぽいしダンジョンの負荷になってるんだろう、その上ヤマタノカタツムリで被害が重なり、トドメにコスプレイヤーズと来たもんだ。

 受けたダメージが全部あのちっこい体に乗し掛かっていると思うと同情を禁じ得ない。


 でも、結局は他人事だ。

 私は私で大変で、システムさんに出来ればコスプレイヤーズを止めて欲しいなんて無理ゲーな事を頼まれていたりする。

 システムさんのお願いなら一刻も早く叶えてあげたい。弱い私には他の事をする余裕はないから、コスプレイヤーズ対策に力を付けることを何より優先したいのだ。


 まぁ、だからそう・・いうのは出来る人にお願いします。


 きっとどこかにいるさ、ダンジョンの問題も世界の危機的な問題も悩んだり苦しんだり七転八倒しながら解決してくれる勇者みたいな人が。


 アイディアさえあれば、それが私に出来ることで、私の安全が確保できている範囲であれば、手を出すこともやぶさかではないんだけどなぁ。

 私にはそのアイディアがないからなぁ。


 チラッ。


 あーあ、どっかにいないかなぁ、そんな人。

 全部解決するような案を出してくれるような人。

 私には出来ないことをやってくれる人、いないかなぁ。


 チラッ、チラッ。


『承りました。瑠璃様』


 あれぇ? システムさん、私は何もお願いしてないけど?


『そうですね、素直になれない瑠璃様をお手伝いするのは、私の独断です』


 私は素直だよ?

 自分の命を守って食生活を保って、システムさんの為に力を付ける。その中で余裕があるなら金髪おかっぱをヘルプしてあげても良いかなって思ってるだけ。


 忙しいからなー、余裕なんて全然ないよ。


『では私の為にお願い致します。ダンジョンをお救い下さい』


 合点承知之介! システムさんがそんなに積極的に助けたいんだったら仕方ないね。うん、仕方がない。

 この白氏瑠璃、システムさんの為なら全力を尽くす所存だよ!

 ふふん、金髪おかっぱよ、システムさんの海よりも深く山よりも高く神よりも気高い優しさに感謝し感涙に咽び泣くがいい!


 まぁ丁度食事もしてお腹も膨れてるし? 腹ごなしにも丁度いいね。


『検索を開始します。キーワードは “学園迷宮” “治療” ……そして “白氏瑠璃のスキル” 』


 それ以上いけない。


 私の頭の中に大量の本棚の映像を流し込まないで! それはどっかの惑星の記憶的なアレでしょ!?


 システムさん、なんかさっきから自由じゃない?

 私のサポートじゃなくて、“独断” って言って能動的に動いたり、私の知識にあるネタを振ってきたり……。もちろん、そんなシステムさんも素敵だけどね! 今までにない一面が見れて嬉しいわ!


『はい、『システムと相思相愛』の効果でしょう、私も瑠璃様を対象としたことに関してはかなり柔軟に動けるようになっています』


 んまぁ、それは朗報!

 つまりよりシステムさんとの一時ひとときを 楽しめるようになったってことだね!

 異世界よ、私をここまで喜ばせてどうするつもりだ!?

 ハッ、まさか、神様に復讐するとかいう私の言葉を真に受けてご機嫌取りをしているのか?


 おのれ猪口才な、復讐はきっちりするぞ。落とし前は付けろ、が私のポリシーなんだ。主に格闘ゲーム的な意味で。

 でもありがとうございます!


『少し遊びを入れましたが、検索は本当です。瑠璃様、ダンジョンへの対処が判明しました』


 ふむふむ、早速お願いします。


『まずは基本的な理論ですが……』


 システムさん曰く、ダンジョンマスターとダンジョンは繋がってる。言わばダンジョンとはダンジョンマスターの体内と言っても過言ではない。

 だったら此処から治療することも不可能じゃない、らしい……。


 システムさんが言うんだからそうなんだろう。因果とか精神的な関連とか、そういう難しい話してた。

 残念ながら私のログにはあまり残っていない。データ破損でもしたかな?


 要は難しいことはシステムさんが把握してるから、私は私の出来ることを全力でやれってことだね、分かります。

 

『現在、ダンジョンに対して可能な延命措置は3パターン。どれも一長一短ですね』


 検索完了早いな。もしかして私が動くのを見越して先に検索していたのだろうか?

 システムさんなら有り得る。私の考えなんかバレバレだろうし。


 くっ、私が単純すぎるのを嘆くべきか、システムさんに理解されてることを喜ぶべきか。

 喜ぶべきに決まってますね!


 では3パターンがどういうものか教えてください。


『はい。1つは早期に解決することが出来るものになります。素早くダンジョンを脱出してのち、再度ダンジョンに潜ります。その際、学園に居る人間を最低10名以上引き込み、ダンジョン内で殺害。その経験値とカルマ値をダンジョンに還元するという方法です』


 やりません。

 システムさん、流石にそれは非人道的過ぎると言うかなんというか。

 練習用ダンジョンの為に生徒を生け贄にするとか本末転倒でしょ。


『この方法が最も回復率が高いのですが、やはりネックは瑠璃様の良心ですね』


 そりゃそうだ。冷たい様だが、子どもを生け贄にして助けたいと思うほど金髪おかっぱに思い入れはない。

 そもそも急いでダンジョンを抜けるというのもかなり不確定要素が大きく、私も少なからず危険に曝される。できれば避けたいプランだね。




『二つ目は、似たようなプランになりますが、学園迷宮内で強力なモンスターを狩り続けることです』


 学園迷宮内で生まれたモンスターを狩っても意味がないんじゃない?

 魔力が産み出したものを魔力に返すだけなんだから。むしろ効率が悪いんじゃ……。


『そうですね、最初の案に比べれば効率は悪いです。なので、瑠璃様には出来るだけ多く『氷寒魔法』を使用してもらい、更には狩ったモンスターを食べずに学園迷宮に還元して頂く形になります』


 ……それって、私が絶食してモンスターの魔力と経験値を取り込まず、ダンジョンの為にモンスターを狩り続けるってことだよね、しかも自分の魔力は垂れ流しながら。


『はい。そうすることで元々のモンスターの魔力と経験値+モンスターに打ち込まれた魔法の魔力分が学園迷宮に取り込まれることになりますね』


 そりゃ効率悪いわ……。私も食えなくなれば戦うどころか、すぐ動けなくなっちゃう。

 このウジムシボディは燃費が悪いのだ。

 『過食成長』が食べたものを保存できる能力も持ってたら良かったんだけどね。

 『経験則』があるし、食べまくればエネルギーを貯めるスキルが手に入るかと思ったんだけど、『過食成長』により食べた分だけ消費されるから、スキルの獲得には至らなかった。

 元々あるスキルで処理されることは経験にカウントしない。これもまた『経験則』の弱点だった。

 

『では、最後のプランですね。これには瑠璃様のスキルの1つを使用します、それは――――』


 えぇ、そのスキルって……。


 あぁ、そういうことか。


 ハッハッハ! やってくれやがったぜあの金髪おかっぱめ!

 最初からそう・・させるつもりだったんだな!



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