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うじむし75




 相変わらずサバンナで狩りを続ける私こと白氏瑠璃。

 いやー狩りってイージーですわ。

 お前それサバンナでも同じこと言えんのって、ここがサバンナですからァ! 残念!


 うん、ネタが古いか。システムさんが反応に困ってらっしゃる。

 でもね、今まで一番チョロいんだもん、ちょっと浮かれるくらいは大目に見てちょ。


 システムさん曰く、この階層のテーマは『気配を殺すことを意識する』らしいです。

 本当にこの学園迷宮は冒険者育成に特化してるんだね。

 これもシステムさんの言葉なんだけど、『まるで教科書の中身を取り出したかのような』作りになってるんだってさ。


 で、『気配を殺すことを意識する』ってテーマだけど、4階層は猛獣っぽいモンスターが群れを成している。しかも一頭一頭の強さも、3階層までとは別格だ。見つかって一気に集られたらヤバイと思う。

 1階層~3階層までのテーマと比べたら、この4階層は頭一つレベルが違う。恐らく、この階層を越えられるかどうかで一つの区切りになるんじゃないかってくらい。


 その代わり救済措置というのか、安全地帯が有るんだけどね。

 安全地帯は半径50メートル程のオアシスのような物で、4階層のフィールドに常に数ヵ所存在している。利用すると3時間程で消滅してしまうのだが、同時に別の場所に現れる。4階層のモンスター達は安全地帯に入った対象を見失ってしまうようだ。


 攻略を容易にしない為だろう、対象を見失ったモンスターはHPやSPが急激に回復する。当然、安全地帯からの攻撃は無効だ。

 ここのダンジョンマスターのパッツン幼女は随分と4階層に力を入れたらしい。


 だがこの安全地帯が私の狩りを一気に作業へと変えた。


 私の基本攻撃方法は『氷寒魔法』or『腐食性血』を『狙撃』と組み合わせるスナイパースタイル。

 体が大きくなってからは身を隠すことが難しくてゴリ押し戦法が多くなってたけど、基本はスナイパーなんです、私。

 接近戦よりも遠距離戦の方が得意ってだけだけど。

 そこで安全地帯ですよ。


 ☆ウジでも出来る学園迷宮4階層攻略!☆

 ・安全地帯付近でモンスターをこの魅惑のボディで釣ります。

 ・充分に惹き付けたら安全地帯に入ります。

 ・モンスターがこちらを見失い、隙を見せたらいそいそと安全地帯を出ましょう。

 ・撃ちます。


 これ、モンスターがほぼ100%無警戒になるから楽なのなんのって……。

 簡単にレベルが上がりましたよ。それも2! 2つも!


 でも、これは冒険者を目指している少年少女には難しい手法かも。

 遠距離から一撃でモンスターを倒す手段があればこの方法は実に簡単だけど、基本的に4階層のモンスターは3階層とは隔絶して強い。ヤマタノカタツムリは別だったけど、あれはイレギュラーっぽかったしノーカンノーカン。


 遠距離高火力の攻撃方法が無いなら、結局モンスターに追い回されるし、苦労してHP削っても安全地帯に一歩入れば回復される。

 HPを削るのだって一苦労だ。半端な魔法だと見てから回避余裕ですを素でやってくるからな、ここのモンスター。私? えぇ、楽勝だと調子に乗って正面から挑んで避けられましたよ? だから背後から撃ってるんです。


 こりゃ隠密推奨ですわ。戦って勝てるならさっさと下の階層に行った方が良いし、基本勝てないように設計されてるから気配を殺して移動するしかない。

 要はチュートリアルで隠密の行動を覚える為にそれをしないとクリアできないようになってるんだね。


 金髪おかっぱ、けっこう考えてるんだなぁ。




《ステータス》


名前:白氏 瑠璃

レベル 11

種族:ミュータントマゴット


HP:260/260+210

MP:3000/3000+360

SP:440/440+140


攻撃力:111+55

防御力:210+100

素早さ:80+10


スキル

N:『タフネス』『嗅覚』『吸血』『建築』

R:『腐食性血』『過食成長』『感知』

  『念話』『狙撃』『丸飲み』『再生』

HR:『魔術知識』『言語理解』『欲望喚起』

  『氷寒魔法』『経験則』『腐蝕耐性』



称号

『システムと相思相愛』『共食い』『神肉食』



カルマ値:100



 レベルが2も上がって素早さに全く変動がないのが痛いけど、これはある意味『経験則』の弊害だった。

 全然動いてないから経験のしようが無いというね。

 ちょっとお腹回りもぽっこりと……。

 いや、そんなことはない、事実無根です。これは気のせいなんだ。

 仕方がないんだ。だって狩った獲物を粗末に扱っちゃいけないじゃない。

 イージーモード楽ぅ~ → 獲物も経験値も沢山だね! → 食べねば。


 これは罠だ、孔明の罠だったんだ。


『瑠璃様、私はどんな瑠璃様でも好きですよ』


 うぅ、システムさん、それは嬉しいんだけど、好きな人の前では可愛くありたい乙女心が疼くのよ!

 だいぶホコリ被って蜘蛛の巣張ってる乙女心だけど!


『随分と狩りましたが、モンスターの追加がありませんね』


 ん? システムさん、モンスターって追加されるものなの?


『ダンジョンは自然環境とは違います。生殖にて増えることも有りますが、基本はダンジョンの魔力による複製です。時間差は有るとは言え、常に一定数は存在するように設定されている筈なのですが』


 んん? よく分かんないけど、つまりモンスターがいなくなってきてるってことだよね?

 それって良いことなんじゃないの?

 いや、私もモンスターなんだけどさ。


『このダンジョン、学園迷宮においては少し違います。ここは訓練所なのですよ』


 あぁ、つまりモンスターがいないってことはテスト用紙が無いってことと同じなのか。

 だからテスト用紙が不足しないように一定数供給する流れが出来上がっている筈なのに、どうしてかテスト用紙が供給されなくなっている、と。


『……今確認しましたが、学園迷宮にプールされてい筈の魔力が激減しているようですね。恐らく、あの異物たちの行動が原因でしょう』


 おいおい、あのコスプレイヤー達、システムさんだけじゃなく金髪おかっぱにまで迷惑かけてんの。

 本当もう、同郷の俺TUEEEが迷惑かけてスイマセン。


『これは非常に危険な状況です、瑠璃様。ダンジョンの魔力が回復しないままですと、学園迷宮が消滅します』


 話は聞かせてもらった、ダンジョンは滅亡する!

 な、なんだってー!?

 ふざけてる場合じゃないか。システムさん、それは本当なんだね?


『確定した訳ではありませんが、その可能性は高いと言わざるを得ません』


 コスプレイヤー達がコスプレすると異世界がピンチってのは前から分かってたもんね。

 その一部であるダンジョンがダメージを負うのも予想して然るべきだった。


 猶予はどれくらいあると思う?


『ダンジョンマスターが回復するかどうかにかかっています。あの者は英雄学園の学園長を兼任しているので、治療はされると思うのですが』


 ダンジョンのダメージはそのままダンジョンマスターに行くのか。

 ダンジョンの魔力をごっそり奪われて、あの金髪おかっぱにも影響が流れてしまったんだな。


『もしも回復しないのであれば、持って1週間でしょう』


 1週間……。たった1週間であの金髪おかっぱは死ぬかもしれないのか。


『瑠璃様、それまでに最下層に到達し、一刻も早い脱出を』


 ダンジョンが消滅すれば、中にいる私も巻き込まれる。ダンジョンは消えたけど私は無事でしたなんて奇跡が有るわけがない。


 急いでダンジョンから出なきゃ。

 くぅ、こういう時に素早さの低い自分が嫌になる。

 急いでいるつもりでも、のたくたのたくたと鈍重で、景色が動きやしない。


 御約束のようにモンスターの生き残りが襲いかかってくるし!


「グゴォオオ!」


 じゃかあしい! 死にさらせ!

 『氷寒魔法』の魔力を体内に送り、首で円盤状に展開、久しぶりの首ちょんぱ。

 そして直ぐ様『丸飲み』。急ぎすぎて減り始めていたSPを回復する。


 うぐぅ、食べた後すぐに走るもんじゃない。

 横っ腹が痛い!



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