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うじむし59





 獲物となるモンスターがいない場所に閉じ込められた私とピカピカ虫くん。

 あ、そういや自己紹介してなかったわ。

 この場でしてしまうか。


「ピカピカ虫くん、遅くなったけど、私は白氏 瑠璃。元ピチピチの女子高生、今はプリプリのうじむしやってます!」


 ちょっと可愛い娘ぶってキャピっと挨拶を決めてみたが、似合わねぇ。キャピっというか、ぐねって感じになっちゃうし。駄目だ、これ封印。


「白氏 瑠璃……? なぁ、アンタもしかして、葉月多禮栖はづきたれす高校って知ってるか?」

「知ってる、というか、在校生。卒業間近だったけど」

「……マジかよ……。俺、虹川 颯太……っつっても分からんよな」


 私のこと知ってるのかよぉ!?

 じゃあさっきのぶりっ子意味無いじゃん! むしろ盛大な自爆じゃん! ちくしょう!


 ……ふぅ、無かったことにしよう。


「うん、分からん」

「白氏さんは、なんつーか、俺らと違うところ見てるっつーか、ちょっと近寄りがたい雰囲気あったしな……」


 失礼な! まったく失敬だな君は! まるで私がボッチだったみたいな言い方をするんじゃないよ!

 と、友達くらいいたし……。

 あと、あれだよ、毎日明け方までオンライン恋愛格闘ゲームしてたから、基本的に寝不足で不機嫌だったんだよ。


「マジか……知りたくなかったそんな事実」

「少年、事実などそんなものだ」

「同い年だろうが」


 ま、私は前世とかあんまり未練無いから。

 いきなり人外に転生させられてビビったけどね。こんな状況に陥れくさった野郎には相応のツケを払わせるけど、それ以外は結構適当よ、私。

 生き残るのに必死だったってこともあるけど。


「……俺は、少し未練があるかな……」

「帰りたかったりする?」

「そりゃそうだよ、俺は……帰りたい」


 うん、人それぞれだし、いいんじゃん?

 何とか人に戻って帰る方法を探すというのも、全然有りだと思うよ。


 未練と言えば、私もカップ麺とか袋ラーメンが無いのは悲しいと常日頃思っているな。主に食事時。

 ここに来て食べたものと言えば、腐った肉か、ゴムみたいな肉か、凍った肉。

 あらやだ、野菜摂ってないじゃない。一人の女子として肉ばっかりは頂けないわ。


「だけどさ、俺にもちょっと、やんなきゃならないって言うか、これだけはやってやるって心に決めたことがあるんだ。成し遂げるまでは帰れない」


 ふーん、まぁ、それも含めて好きにすればいいんだよ。折角の降って湧いた第二の人生、いや、虫生? なんだしさ。


「……いや、そこはさ、突っ込んで聞くところじゃないの? 何があったの、とかさ」


 えー、めんどーい。

 私も私のやることで忙しいしー。


 取り敢えず、まずは階下に降りる必要があるよね。


『階段があった場所も、ダンジョンの保全機能のお陰で塞がっていますね。事実上、3階と4階は完全に隔離されています』


 つまり、密室トリックって訳ね!

 犯人はいつもジッチャン!


「お前のジッチャンはサイコパスかよ」


 まぁそれは冗談としてね。実際どうしようか?


「俺のスキル『穴掘り』で何とかならないか?」

『ダンジョンには自己修復機能が付いていますので、階下に穴を繋げる前に再生した壁に押し潰されるでしょう』

「システムさんが、死にたくなければやるなって」

「やっぱズル扱いだよな」

「ダンジョンに自己修復機能? があるんだってさ」


 うーん、ダンジョンの階段消失とか、実際マズイよね?

 そこんところ、ダンジョンマスターとかいうチミッコはどうするつもりなんだろ?

 あのカタツムリモドキを追っ払った理由が、このダンジョンのモンスターとしてレベルが適正でないって事だったけど、これじゃダンジョンがダンジョンとして機能してないってことじゃん。


『彼女には表の仕事もありますからね。恐らくはダンジョン自体を閉鎖することで時間を稼ぎ、消失した階段を再構築する作業に入るのでしょう』


 表の仕事? あの子どっかで仕事してるの? 影のオフィサーみたいな? なにそれカッコイイ。


「なぁ白氏さん、さっき『建築』スキルが手に入ったって言ってたけど、それで階段を作れないのか?」

「Nスキルでしかない『建築』でダンジョンに干渉できるとは思えないんだよねー」

「ポイントで成長させられないか?」


 その手があったか!

 『建築』のランクが上がってダンジョンの階段を作れるような威力が出せれば、3階から4階まで一気に……。


『行けませんよ。それではダンジョン攻略に最も適した人材は建築家ということになっていると思いませんか?』


 駄目かー。

 じゃあ結局、チミッコがどうにかしてくれるのを待つしかないってことなのね。


「んー、駄目だったみたいだな。仕方がない、天井にくっついてるイモムシみたいなので飢えを凌ぐしかないな」

「いっそ上階まで戻るのもありだよね」

「あー、全部の場所を見て回った訳じゃないしな」


 虹川くんがどんな場所を探索したかは知らないけど、システムさんのお陰で、私も殆ど一直線に階段を見つけちゃったしねぇ。

 ゴブリンはしばらく見たくないけど、簡単に狩れる動物タイプなモンスターがいると嬉しいね。お肉が美味しそうだし。


『ヒルコウモリを倒しても大した経験値は入りませんから、狭い3階層を回るよりも、広い2階層を回る方が良いかもしれませんね』


 システムさんも肯定的な感じだし、じゃあ上に戻ろうか。何かしらやって時間潰してれば、チミッコがその内階段を直すでしょ。


 そうと決まればスタコラサッサだぜ!

 まだ見ぬお肉を求めて、白氏瑠璃、行きまーす!






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