うじむし58
さてさて、貰ったチケットを確認しますかね。
システムさんに貰ったものじゃないから、愛のサービスはついてません。なので普通のチケット一枚だけ。
ケチ臭い気がするけど、そもそも今までが恵まれまくってたって話。本来は一枚が普通なんだよね。
「チケット? なんだってそっちを選ぶんだよ?」
「ピカピカ虫くんは知らないかね? ガチャのようにスキルを何かゲットできる可能性があるアイテムだよ」
「いや、それは知ってる。なんでそんな安定性の無いものを選ぶんだろうて思ってな」
むーん、浪漫が分かってないなぁ。
このクジを引く前のわくわく感、楽しめないかね?
「生き死にが懸かってるのに、ギャンブルなんて楽しめねぇよ」
ギャンブルじゃないんだけどねぇ、もしも被っても、システムさんが統合してくれるし。
「だからシステムさんって何だよ?」
「君には聞こえないの? レベルアップとか教えてくれる声。あの低音でダンディな声を聞いたら落ちるね! 愛を抱かないことなど出来るだろうか? いや無い!」
「あぁ、あの声か……。俺のところは、柔らかい感じの女の声だな」
ふむ、人によって聞こえる声も違うのか。
私は今のシステムさんで良かった。声がドストライクなだけじゃなくて紳士的で優しいもん。
「俺の場合は、そんな便利な機能付いてねぇぞ? チートか? お前チート持ちか?」
お前、システムさんが好意と愛でやってくれてることを機能とかチートとか……、次言ったら戦争だぞ?
「……何か、お前の思考は俺の理解の外だわ」
『普通は、そうでしょうね。音声でしかないシステムに愛を語り感謝をするなど、瑠璃様が初めてです』
やだ……、私、システムさんの初めての女なの!?
あ ぁ ん ♪ 素敵。
「もう『念話』切ってもいいよね……」
さて、システムさんと話して癒されたし、チケット引こうっと。
『どうやら確率に少々補正がかかっているチケットのようですね。一枚しか送れない分、気を利かせてくれたようです』
あら嬉しい。じゃあ心置きなく引いちゃいましょう。
『スキルチケットを一枚使用しますか?』
オーケー、システムさん、やっちゃって下さい。
『Nスキル『建築』を獲得しました』
んぁ? 建築? ヤバイ、イミフスキル来た。おのれ金髪おかっぱチミッコめ。
いったい何を建築せいっていうのよ?
『それは……こちらからは何とも言えませんが、巣作りなどに便利かと』
「建築? なんだか微妙なスキルゲットしたんだな。だからガチャは信用できないんだって」
「う、うるさし! これが欲しかったんですぅ! 建築を求めてたんですぅ!」
『そういえば特異体ミミックを撃退したことにより、レベルが上がっていますよ。確認なされては如何です?』
そうだね、スターテスの確認、大事。
《ステータス》
名前:白氏 瑠璃
レベル 9
種族:ミュータントマゴット
HP:220/220+150
MP:2600/2600+200
SP:3000/300+100
攻撃力:99+51
防御力:180+85
素早さ:80+10
スキル
N:『タフネス』『嗅覚』『吸血』『建築』
R:『腐食性血』『過食成長』『感知』
『念話』『狙撃』『丸飲み』『再生』
HR:『魔術知識』『言語理解』『欲望喚起』
『氷寒魔法』『経験則』『腐蝕耐性』
称号
『システムと相思相愛』『共食い』『神肉食』
カルマ値:70
・Nスキル
『建築』
住居、その他建造物を作る際に成功補正がかかる。
うん、説明を見てもよく分からん。
あれかな? 適当に壁を作っても上手いこと填まり合って隙間風が入ってこないようになる、とかそんなんかな?
んー、便利なような、そうでないような。
ここがダンジョンじゃなくて、ゆっくり居を構えられる所だったら使ったかもしれないけど、今はなぁ。
『何も今すぐ使わなくてはいけないというものでもないでしょう。『念話』もそうだったではないですか』
そうだよね、焦って何もかも活かすようにしなくてもいいよね。
それにしても、あんだけ強いモンスター戦ったんだから、『経験則』で何かしらのスキルが獲得できると思ったんだけど、何も変化はなかったね。
『発動にもいろいろ条件があるのでしょう。もしかしたら、相手を討伐することが条件かもしれませんし、一定回数、同じ行為を繰り返すことが必要なのかもしれません』
うげぇ、あれと何度も戦うのは勘弁だわ。
「……なに喋ってるか分かんねぇから、全く話に付いていけねぇ」
あ、キラキラ虫が拗ね始めた。
君のことを忘れていた訳じゃないんだけどね、システムさんとキラキラ虫くんのどっちを優先するかと言えば、そりゃシステムさんでしょ。勝負にもならんわ。
悔しいんだったら君も自分のシステムさんと仲良くなれば良いのです。
ま、私のように相思相愛になるには深い愛と時間が必要だけどね、なはははは!
「便利そうな能力だし、考えてみるよ」
「ふふん、能力だけ利用しようとするとそんな邪で浅はかな考えで相思相愛に至れると思うなよ!」
「……ていうか、音声だけの存在と相思相愛とか、なんだよ……」
愛さえあれば、種族の差など関係無いのよ。
「まぁ、お前がそれでいいなら良いんだけどよ」
「そうだね、人の恋愛を邪魔するやつは蛆の酸で溶かされろって言葉もあるしね」
「そんな言葉ねぇよ!? ていうか自分で手を下す気満々かよ!」
当然、あのおかっぱもその内溶かす。
「こいつ頭おかしいわ」
「ふっ、褒めてもシステムさんへの想いは揺るがなくってよ?」
まぁそんな分かりきったことは良いとしよう。
目下、問題があるのですよ。
「システム……さん関連じゃないなら聞く」
『瑠璃様、あの問題ですね。すみません、やむを得ずとはいえ、瑠璃様にご迷惑をかけることに』
いやいや、システムさんのせいじゃないからさ。気にしないで?
あれは仕様がなかったし。システムさんは最善を尽くしてくれたよ。
『勿体ないお言葉です』
「あのー、悪いんだけど、いったい何の話をしてるんだ?」
「あぁ、うん、大したことじゃないんだけどさ」
あのカタツムリモドキのことだ。
切り捨てられて落ちてる首じゃなくて、どっかに強制転移させられた本体の方ね。
あれが今どこで暴れてようがいいんだけど、ちょっとした問題があるんだよねー。
「だから、それは何だよ?」
「カタツムリの殻も転移しちゃったんだよ」
「は? それがどういう…………あ!」
そうなのだ。
カタツムリモドキの殻は、このダンジョン2階層と3階層を繋ぐ螺旋階段を元にしていたもの。
それが転移したということは、今私たちには階下に降りる手段がない。
さらに問題なのが、あのカタツムリモドキのせいで、この階層には獲物となり得るモンスターがほぼ全滅状態にあるということ。
天井に引っ付いているヒルコウモリならいるけどね、あれだって無限にいるわけじゃない。
さて、どうしようかね……。




