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うじむし57





 なんか金髪おかっぱベビードールのチミッコが出てきたり、七色に輝く虫型モンスターが出てきたりで色々あったけど、私は元気です。


 チミッコは私にスキルチケットを渡すと、さっさと何処かに行ってしまった。

 何でも、色々と仕事があるんだとか。忙しそうな背中には少し哀愁を感じた。

 ダンジョンマスターって多忙なんだね、私は人外ウジムシだからね、そういうのとは無縁でいさせてもらいますわ。

 そして最後にシステムさんと親しげに会話していたのは許さぬ。


 さて、というわけで私はキラキラ光る虫さんと二人きりになってしまったのだ。

 システムさんもいるけど、虫さんには認識できないだろうからね。


 この虫さんが私を助けてくれたんだよね、感謝感謝。

 そして私のために頑張ってくれたシステムさんにはもっと、更にもっと! 私の愛と感謝を贈るよぉ。いえ、贈らせて下さい。


『勿論です。喜んで受けとりますよ、瑠璃様』


 うっふふふ、私とシステムさんには切っても切れない絆があるもんね。

 あぁ、なんかもっと愛を示せる物を贈る手段は無いかな? チョコレートとか、指輪とか。

 ハッ!? ダメよ瑠璃、男を立てるのもいい女の条件! 指輪は貰うのを待つの!


 しばらくシステムさんと雑談してたお陰か、HPやMPはじりじり回復してきてます。『過食成長』が回復にも使えれば良かったんだけどねぇ。そうそう上手くはいかないよね。


 そういえばこのカタツムリモドキの首はどうするんだろ? 私が倒した扱いになるのかな? それともあの七色虫くんかな?

 『過食成長』の成長分に回せるから、無駄になるようなら食べちゃいたいんだよね。


『それならば、あのプリズムビートルと相談してみてはどうでしょう?』


 え、システムさん、それは流石に無理じゃない?

 だっていくらモンスターとはいえ、相手は虫だよ?

 意思疏通できるだけの知恵がないと思うんだけど。


『瑠璃様も外見だけで言うならば、大きな蛆ではありませんか? きっと大丈夫です、となら話せますよ』


 むー、システムさんがそう言うなら。

 私のステータスの中で埃を被っていた『念話』よ、今こそその力を示せぇえ!


「もしもし、こちらの声が聞こえているか? お前に意思はあるか? 俺はお前の目の前にいるプリズムビートルだ、お前は……、あー、何なんだ?」


 あら? まさかの向こうからのコンタクト。

 意思疏通できる意思があるじゃない、ちょっとビックリだわ。話せても片言とかだと思ったのに、案外流暢に喋るんだね。


「んー、やっぱ聞こえてないか。でかいだけのウジムシだしな……。くそ、『念話』の取得は早まったかな……?」

「あ、いやいやいや聞こえてるよ! 聞こえておりますよ! いやーごめんね、考え事しててね! しかしビックリだよ、まさか虫さんが話せるなんてねぇ」

「……なんか、思ってたのと違うな……」

「こっちもだよ。あ、そのカタツムリモドキの頭どうする? 食べる?」

「……好きにしてくれ」


 なんだい? あの戦闘で疲れているのかい? まぁ分かるよ、激戦だったもんね。

 私もあそこまでガチンコ勝負は初めてだったよ。初体験ってやつだね、ハッハッハ!


「あのさ、『念話』で繋がってるせいか、思考の一部、漏れてっから」


 うぉい、私の渾身のギャグが聞こえてしまったってことかよ!

 システムさんならここでウィットに富んだ返しをしてくれるのに、この純情虹虫君は恥ずかしがるだけかい。


「はぁ、初コミュニケーションの相手がこんなのとか……」

「んん? まさかずっと一人だったの? あ……、ボッチだったの?」

「なんで言い直したし。しかも酷い方になってるじゃねぇか。アンタだって一人だったんじゃねぇのか?」

「私にはシステムさんがいるからねー。全然寂しくなかったよ」

「システム? システムってなんだ?」


 さん、を付けろよデコスケ野郎!

 私の愛するシステムさんを呼び捨てとはふてぇ野郎だ! えぇい、そこに直れ!


「……あー、もしかしてって思ってたんだけどさ、お前って元人間だったりする? というか、完全に元人間だよな」


 ぎ、ギックー! なぜバレたし!?

 って別に隠してる訳じゃないんだけどね。君もそうじゃない?


「まぁ、な」

「ま、今はそこは別にいいでしょ。お互いどんな所から来た、とか、そういうのは落ち着いてからゆっくり擦り合わせようよ」

「……お前、案外マトモに考えられるのな」

「失礼な! 私をなんだと思っているのです!」

「変なテンションのでかいウジムシ」


 うぇえん、システムさん、変なピカピカ虫が私の悪口言うよぉ!


『随分と打ち解けられているようで良かったです。あまりにも仲が良さそうなので少々妬いてしまいますね』


 え、システムさん、私、そんな誤解をさせちゃってたの……?

 仕方がない、このピカピカ虫は私とシステムさんの円満な生活のためにここで殺しましょう。

 恨みはないけど、仕方がないんだ、許してや。


「おい、ちょっと待てや!? システム……さんの話は全然分からんが、なぜいきなりそうなった!?」

「すまぬ、愛ゆえに人は苦しまねばならぬ」

「いや意味わかんねぇから! 元人間同士だろ!?」


『瑠璃様、貴女様の愛は十分に理解していますよ。ですから、わざわざ手を汚さなくても大丈夫です』


 そうなの? 私、システムさんを不安にさせてない?


『えぇ、もちろん』


 ふぇえ、良かったよぉ。


「何だか知らんが、助かった、のか……?」


 命拾いをしたな、システムさんの優しさに感謝するがいいぞ!


「はぁぁ、ホント、まともな奴と話したかったわ……これならまだあの金髪おかっぱの方がマシだったぜ……」


 あ、金髪おかっぱで思い出した。

 チケット、チケット。さっさと引いちゃいましょうね。



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