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うじむし51 しでむし09




 さて、飛び出して一気に2体に止めを刺すか、と思っていたが、予想外のことが起こった。


 ヤマタノカタツムリの野郎、俺が食い荒らした首を放棄したのだ。

 文字通り捨てやがった、食い千切って。


 確かに寄生虫のように張り付いて、毒を滲ませながら肉を食い漁る俺を、体内から取り除くのは困難。

 ましてや、うじむしの反撃であろう硫酸弾をく

撃ち込まれている。

 他の首まで毒や酸で侵食される前に、いっそのこと自分で千切り落とす、か。敵ながら思いきりの良さに感心するわ。


 モンスターのくせに、やるじゃない。

 いや、モンスターだからこそ、生き延びるための判断能力が高いのか。


 どちらにせよ、俺はヤマタノカタツムリ本体から切り離された首の中に取り残された。

 敵の撃退も戦闘勝利と見なされ経験値が入るから良いんだが、もちろん、討伐に比べれば少ない。

 ジャイアントキリングが狙えると思ったんだが、そうそう上手くはいかないか。


 さて、次は外にいるであろう巨大うじむしだが……。

 勝てるか?

 俺の戦闘スタイルは奇襲、暗殺特化。ここまで引っ掻き回したんだから、俺の存在はばれているだろう。

 カタツムリを苦しませた俺の能力を、向こうは軽く見てはいないだろうな。


 存在がバレている以上、『擬態』も『隠密』も効果は半減、もしくはそれ以下だ。

 で、あれば残りの手段は『無魔法』による魔法戦。だが、俺はこの『無魔法』というヤツをいまいち理解できていない。

 魔法に有りがちな火・水・土・雷・風・光・闇などといったものからは外れた属性の魔法らしいのだが、この七つに拠らない魔法って何だ?

 空間系とか? アイテムボックスとか定番だよな。

 だけどそれって攻撃になる?


 上手いこと謎魔法である『無魔法』を攻撃に転化して先制できれば、尚且つそれで数秒程度、俺を見失わせることができれば『擬態』と『隠密』が使える。


 さて、どうしたもんか……。


 次の行動を決めかねていると、不意に声がかかった。



「そうだね、なんで隠れているのか分からないけど、取り敢えず出ておいでよ」


 ち、もう考える時間もないか。

 というか、喋れるのか? しかも、日本語?

 まさか、俺と同じ転生者ってオチか?


 そんなまさか、そんなご都合主義が有って堪るか……、いや、でも、他に考えられないな。

 もしくは、神様的な上位の存在か? それなら異世界言語を操れても不思議じゃない、気がする。


 とにかく、ここに隠れていることがバレている以上、いつまでもカタツムリの体内に居るのは良くないな。

 ここで話しかけてくるなんて、相手の意図が不明過ぎる。せめて、いきなり襲われることがないようにだけ注意しておこう。


 もぞり、と肉から這い出ると、そこにはうじむしとは他に、金髪おかっぱの幼女がいた。


 こ、こいつの雰囲気、似ている……! 俺の仲間を踏み潰して殺したあの怪物女に……!


 まさか、コイツか? コイツが犯人か?

 色合いが違うが……、俺だって進化して外見が変わった。相手がそうじゃないとどうして言い切れる?


 ヤツは俺のことを……、いや、覚えてないだろうな、踏み潰した虫の一匹一匹なんて。

 だが俺は忘れていない。


 殺されたのは弱肉強食の生存競争に破れただけ、とはいえ、あの化け物は明らかに楽しんで殺していた。

 笑い声をあげて、無邪気に、執拗に俺の家族を踏んでいた。

 食べるでもなく、命を脅かされた訳でもなく、いきなり現れて気まぐれに、理不尽に全部壊した。


 俺は許せない。

 

 だが、まだ俺の勘違いという可能性も残っている。

 ただ感情に任せて八つ当たりで襲いかかることがあれば、俺もあの理不尽な怪物と同じだ。

 まずは見極めなければ。


「へぇ、珍しいモンスターだとは思ってたけど、まさかプリズムビートルかい。ルリちゃんといい、本当に僕のダンジョンはおかしくなったみたいだなぁ」


 金髪おかっぱの言葉に、うじむしはぐにぐにと動いて答えた……? 答えたのか?

 人語を理解しているのか? このモンスター。

 俺も理解できているが、それは元々人間であったという記憶ありきだからこそ。


 だが、この金髪おかっぱ、うじむしのことをルリチャン、と呼んだな。

 ルリ……、人名だよな?

 まさか、俺と同じ転生者、だったりするのか?

 マジか? この巨大なうじむしが?


 ……俺、死体を食うような昆虫に生まれ変わって、最悪だって思ってたけど、世の中、下には下がいるんだな……。

 言葉が交わせたら、慰めてやろう。

 俺の今のコミュニケーション手段は、顎をキィキィ鳴らすしかないから、その内喋れるようになってから、だけどな。


「聞いてたかもしれないけど、僕はこの『学園迷宮』のダンジョンマスター。君もどうやらイレギュラーな存在みたいだから、僕の言ってることは分かるかな?」


 俺は頷く。

 ここがダンジョンらしいってのは分かった。異世界のセオリー通りなら、そりゃ居るだろ、ダンジョンマスター。


 ここでコイツに逆らっても益はない。まだまだ俺じゃコイツに勝てないそれくらいは分かる。

 相手が俺に気づいていないなら好都合だ、このまま観察させてもらうぜ。


 というか、うじむし、さっきから頭を振ったり尻尾をビタビタ動かしたり、何やってんだ?

 視界に入って鬱陶しいんだが……。

 なんか、見えない誰かと話してるみたいだな……。

 いや、流石にそれは無いか。見えない誰かと話してるとか、頭おかしいヤツみたいだもんな。


 脳みそがどこにあるかも分からないヤツを信用するなって、赤毛の魔法使いのお父さんも言ってたしな。



最後のはハリポタ2ネタ

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