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うじむし04




『獲得経験値が一定の値を越えました。白氏 瑠璃 はLv. 4からLv. 5にレベルアップしました』


『進化条件を達成しました。ベイビーレッサーマゴットの進化先が解放されます』


 少しでも強くなるためにひたすらネズミの肉を貪っていたら、遂にレベルが5になりました。


 そして進化できるそうです。


 そろそろ何らかの変化があるんじゃないかということは分かっていた。


 周囲の仲間うじむし達の中に、サナギになっているヤツが出始めていたからね。


 ベイビーレッサーマゴットの成長早すぎでしょう。


 きっとこの世界の中でも最底辺の生き物だから、数多く生まれてすぐに成長し、そして多くが食べられてしまうんだろうな。


 などと、ネズミの死体の上しか知らない私が世界を語っております。


 進化先が解放された、ということは幾つかルートが分かれているんだろうか?

 一番最初の進化からルートが分かれるとかシビアだなぁ。

 もしも進化先の選択をミスっても何処かでルート調整できればいいんだけど。


 それと、スキルが欲しい。


 私のスキルは未だに『なし』のまんま。

 ステータスオール1のスキル無しとか縛りプレイにしても酷すぎる。

 私は廃人プレイヤーでもやり込んだマニアでも無いのよ。

 このウジムシの中身はあくまでいたいけな女子高生でしかない。


 出来れば転生ものには欠かせないスキル『鑑定』と何かしらの攻撃魔法が欲しい。

 このサイズこのステータスじゃあ接近戦は自殺行為でしかない。


 私の基本的な戦術は芋スナ。

 動かず獲物を待ち、気付かれずに遠距離から一撃で仕留める。これしかない。

 MPが1でなければ、の話だけどな!


 芋スナとはFPSのゲームで建物などに籠って狙撃するスナイパーのことだ。

 基本的に独り善がりなプレイに成りがちなので、素人にはオススメ出来ない。仲間と話し合ってからやりましょう。異論は認める。


 長距離を移動するのは腹具合的に厳しいだろうと思うので、出来ればこのネズミの死体付近で狩りをしつつ、スキル取得と次なる進化を目指す。これがベスト。


 とにかく、腐肉をむしゃむしゃするだけでまず最初の進化に辿り着くことができた。


 早速進化先とやらを確認してみよう。

 


・ベイビーレッサーマゴット


→ スモールピューパ

→ ラージマゴット

→ ベイビーリトルマゴット



 ふむり。

 マゴットというのがウジムシのことであるようなので、ピューパはサナギだね。

 兄弟達はこのスモールピューパに進化していた訳だ。


 だが、こういうのは大体弱そうな進化先が後々強力なモノに進化できると相場が決まっているのだ。

 さっさとサナギになってしまった兄弟達は可哀想だが、ただのハエ程度の進化が関の山だろう。


 この進化先の中で最も弱そうなのはベイビーリトルマゴット!

 劣等種が外れ、小さな、という意味になっているヤツだね。

 いいぞぉ、これは弱そうだぞぉ!


 そうと分かればすぐに進化しよう。

 ベイビーリトルマゴットに進化します、っと。


『個体名:白氏 瑠璃 が ベイビーレッサーマゴット から ベイビーリトルマゴット に進化します。宜しいですか?』


 はいはい、イエスイエス。


『個体名:白氏 瑠璃 の進化を開始します』


 か、体が熱い!

 まるで溶けていくかのような感覚。

 でも、痛みはない。むしろ、心地いい。

 冬の寒い日にじっくり温泉に浸かるような……。


 あ゛ぁ゛~ぁ……、変な声漏れるわぁ……。


 ちょっと女子にあるまじき声が出ちゃうわぁ……。

 乙女の内側に潜むおっさんがコンニチワしちゃうわぁ……。


 何だか、すごく眠いんだ……


 この場で、眠ったら、危ない……かな……?


 いや、だがもうこの眠気に抵抗できない……。


 せめて安全策を、取っておく、べきだった……。



 口惜しや……。






 すやぁ。


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