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うじむし44




 その後、毒を吹き出し続けるキノコの欠片を再び氷漬けにして、キノコ本体の側に転がしておいた。


 本体の方はまだ傷口が凍っているけど、あれもその内溶けるだろう。

 欠片の傷で飛び上がるほど痛い毒が噴き出したのだ、本体からどんな毒が溢れるかなんて考えたくもない。


 私はまだマトモな回復手段を持っていないのだ。

 口の中の怪我も、これ以上毒が回らないように口ごと氷漬けにしているくらいだ。

 ウジムシボディに解毒能力はあるんだろうか? 無いとマズいよ、口を凍り付かせたまんまじゃ生きていけない。


『今の瑠璃様に解毒能力はありません。加えて言うのならば、今回の毒は固有魔法によって作られた毒なので通常の手段での解毒は困難です』


 うげ、やっぱり解毒能力は無いのか。私に肝臓と腎臓をくれ!

 もしくは解毒できるスキルを!


 あ、私『経験則』持ってるじゃん。耐えていれば『毒耐性』とか『解毒』が手に入るよね?


『固有魔法による毒を解くことが出来ないので、『経験則』で『毒耐性』や『魔法耐性』の取得は出来ません。“経験”として処理されませんので』


 うぐぉお、八方塞がりじゃない!

 システムさん、何とかならない!?


『ポイントでスキルを取得するのが一番簡単かと』


 そ れ だ !

 システムさん、すぐにスキル取得をお願いします!


『耐性や回復に類するスキルは割高ですが……、よろしいですか?』


 命に関わるスキルを割高に設定してあるとか、アコギな商売してるな!

 スキルのポイント設定した奴は絶対性格悪いぞ!

 きっとそれもこれも全部神様って奴の仕業なんだ!


 うぅ、だけど背に腹は変えられない。

 もうキノコなんて金輪際食べない!


『5000ポイントを利用し、Rスキル『毒耐性』を獲得しました。5000ポイントを利用し、Rスキル『魔法耐性』を獲得しました、7000ポイントを利用し、Rスキル『再生』を獲得しました』


 同じくRスキルの『過食成長』が3000ポイントだったことから、耐性系と回復系が如何に割高かということが分かる。

 

『『毒耐性』と『魔法耐性』は『腐蝕耐性』に統合しておきますね。統合したことにより『腐蝕耐性』のランクが上がりました、おめでとうございます』


 ありがとうシステムさん。

 でも、それもう腐蝕耐性って言わないよね? なんか別物になっちゃってる気がするんだけど……。

 まぁいいか。それより『再生』だよ。




『再生』

 SPを使い、体の損傷・欠損を修復する。病気、呪いの類いには効果がない。



 よし、概ね望んだ通りのスキルだ。

 自分で選んでいる余裕がなくて、全部システムさん任せにしちゃったけど、結果オーライ。


 『再生』を使うと意識すれば、口の中の傷が治っていく感覚があった。

 溶けた肉が盛り上がって塞がっていく感覚は、愉快なものじゃなかったけどね。


 しかし、疲れた……。

 毒が辛くて疲れたっていうのもあるんだけど、『再生』の使用にだいぶ体力を持っていかれた気がする。


 『再生』一回でどれだけSPを使ったのか、ステータスで確認しとこう。




《ステータス》


名前:白氏 瑠璃

レベル 8

種族:ミュータントマゴット


HP:200/200+80

MP:2400/2400+120

SP:130/230+80


攻撃力:93+50

防御力:170+80

素早さ:74+10


スキル

N:『タフネス』『嗅覚』『吸血』

R:『腐食性血』『過食成長』『感知』

  『念話』『狙撃』『丸飲み』『再生』

HR:『魔術知識』『言語理解』『欲望喚起』

  『氷寒魔法』『経験則』『腐蝕耐性』



称号

『システムと相思相愛』『共食い』『神肉食』



カルマ値:50



 げ、100ポイントも使ってる。

 ということは、『経験則』での上昇値も含めて最大3回が私の回復の上限か。

 案外少ないなぁ……。


 踏まれたら終わりの小さなウジムシやってた頃に比べれば、相当タフになってる筈なのにね。

 オワタ式を卒業したのに、残機がある方が臆病になってるとか、笑えない。


 取り敢えずキノコは食べられない。

 この事が分かっただけでも良しとしよう。

 三階層に生息しているはずのモンスターが、キノコを餌にしていない時点で気付くべきでしたけどね、ハッハッハ!


 私のこのミスを無かったことにするためにも、三階層で主食になるものを見つけなければ!


 幸い、『感知』にはかなりの数の反応がある。

 頭上に『感知』を向けるとコウモリヒルの反応が多すぎて訳が分からないくらいだ。

 いざとなったら奴等に『氷寒魔法』をブチ込んでご飯にしよう。


 しかし、コウモリヒルは美味しくない。

 味も質もゴブリンよりマシ程度。小さくて『吸血』出来ないので、半強制的に肉を食べることになる分、ゴブリン以下かもしれない。

 他に食べられるものがあるかもしれないのに、わざわざ奴等を選んで食べる理由はないよね。

 まだこの階層には未知の魔物たべものが居るんだから。


 そうと決めたらさっさと巨大毒キノコから離れよう。

 あばよキノコ、君のことは二度と食べないからね。



 最初のキノコから離れてどれくらい歩いたのか……、歩いたというか、這っていたんだけど、この三階層、モンスターの姿が見当たりません……。


 天井にはコウモリヒルがわさわさくっついてるし、巨大キノコもモンスターと言えばモンスターなんだけど、今のところそれだけ。


 『感知』には引っ掛かってるんだけどなー?

 とは言え、気配とか魔力とか、そういう具体的なものを感じている訳じゃなくて、もっとこう、ふんわりしたものなんだよね。

 あ、なんか居るっぽいなー、って感じの、一種の霊感みたいな?

 だから、何処に何が居る、という詳細は全く分かりません。あやふやなんです。


 もっと集中すれば分かるんだろうか?

 気配や魔力なんかを感じ取れるように神経を研ぎ澄ませて……。

 ん? ウジムシの神経ってなんだ?


 何だか別の問題が浮上しそうだからこの話は置いておこう。うん、それがいい。


『瑠璃様、第四階層へ下る階段近付いてきたようです』


 え? もう?

 この階層、そんなに狭いように見えなかったんだけど……。


『瑠璃様、もう一度言いますが、階段近付いて来ているのです』


 ふぇ?

 階段が近づいてくる?

 何じゃそりゃ?



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