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うじむし41



 私が想像していた以上に、この『経験則』はチートでした。


 そもそも、今までスキルをゲットするチャンスが少なかった。


 モンスターを倒したり、人間を追っ払ったりした時に手に入ったポイントで交換する方法。

 進化した際のボーナスでスキルチケットを貰い、それと交換で獲得する方法。

 もう一つ、進化した際のボーナスで、ポイントを貰い、交換する方法。


 この3つが、スキルを獲得するチャンスだったのだ。


 でも、この『経験則』は、行動で得た経験をスキルに変えてしまう。


 ただ歩くだけで移動に関するスキルが手に入り、食事をすれば吸収や回復などに関するスキルが手に入る。


 まさにチート。不正コードみたいなもの。

 これがあれば、ポイントは要らない子になる。

 特にNスキルは、ちょっと動いて経験すれば獲得できるものが多そうだ。


 だから、少し不安になる。

 これ、本当に使っていいスキルなの?


『瑠璃様の懸念は当たらずとも遠からず、といった所です。言ってしまいますと、この『経験則』は確かにチート。所謂いわゆる不正コードですね』


 え、やっぱり不正なの?

 うん、ですよね。

 そもそもチケット三枚の時点で特別サービスみたいなもんだったのに、ここにきてそれ以上の効果のあるスキル。

 ポイントでスキル取るのが一般的っぽいのに、私だけ無料サービス受けてるんだもんね。


 じゃあやっぱり、使わない方がいいのかな?

 意識すればスキルの効果をオフに出来たりしない?


『いいえ、それは出来ません。本来ならこのスキル『経験則』は瑠璃様……、いえ、この世界に生きる誰にも渡すことの許されなかったスキルなのです』


 渡すことを許されなかったスキルって……。私、一応チケットでガチャして貰ってるんだけど……。

 つまり、本来入っているはずの無かった景品が入っていたっていうことなの?


『いいえ、実はゴールドスキルチケットは、この『経験則』を渡すためのチケットなのです』


 そうなの? だったら“HRスキル以上確定!”みたいな説明要らなかったんじゃ……。


『煩わしいことですが、こちらの都合上、あくまで偶然・・獲得したという体を取らなければなりませんので』


 システムさんの方は何か色々面倒くさいみたいね。

 何か力になれることがあったら言ってね?

 今まで私を助け続けてくれたシステムさんの為なら、私、やれるだけのことはやるからね?


『勿体ないお言葉です。ですが、その内本当にお願いをさせて頂くかもしれません。いえ、恐らく確実にそうなるでしょう』


 システムさんからのお願い……。

 うん、勿論聞くよ。別に、今聞いてしまっても構わんのだろう?


『……いえ、まだ“その恐れがある”という段階なのです。なので、現時点で瑠璃様にお願いすることがあるとすれば、『経験則』を使い、力を蓄えて欲しい、ということになりますね』


 なんだ、それじゃあ私がやりたいことと変わらないよ。

 『経験則』を含めた新しいスキルの検証、これは直ぐにでも取りかかりたいことだからね。


 じゃあまずは『狙撃』を試してみよう。

 理由は単純。考え事してお腹すいたから。食べ物の確保をしたいのです。


 『感知』を使って周囲を索敵すれば、木陰に鳥っぽい生き物の群れが潜んでいるのが確認できた。

 『氷魔法』からランクアップした『氷寒魔法』で空気中の水分を凍らせ、氷の針を作る。

 氷の造形に関してはかなり細かいところまで干渉できるようになり、螺旋状の溝を彫ることが出来た。


 これはちょっとしたライフル弾のつもり。

 たしか、溝に沿って空気の流れが渦巻きつつ進むら、弾道が比較的ぶれずに進むんだよね?

 うーん、事前に異世界転生するって分かっていればこの手知識も仕入れておいたんだけどなぁ。


 作った針は数十本。

 『氷寒魔法』となったことで、氷の操作に必要な魔力も削減できたみたい。

 きっと、『氷魔法』でも出来ていたことは、ランクアップにより簡易化されるようになった、ということなんだと思う。


 各氷針を鳥っぽい生き物へ照準を合わせる。

 『狙撃』の補助効果か、どれくらいの速度で、どこを狙えばいいのか、何となく理解できる。

 きっと、風速とか、弾道学とかそういうのがあるんだろうけど、『狙撃』さんが何とかしてくれているんだろう。


 魔力の動きを出来るだけ静かに、平静を保ちつつ、引き金を搾り込むイメージ。

 魔力光も漏らさず、音も無く、氷の針は次々と鳥っぽい生き物の急所を貫いた。


 どさどさと木の上から鳥っぽい生き物が落ちてくる。

 ひぃ、ふぅ、みぃ……、の、全部で十五匹か。

 体の大きくなった私がどれだけ食べられるか分からないけど、これで足りないということは無いでしょ。


『これは、クスクスインコですね。催眠効果のある鳴き声で冒険者を迷わせるモンスターです』


 へぇ、誘ってどうするの?

 迷わせてからかう妖精みたいな生き物なのかな?


『いえ、凶暴なモンスターの縄張りに誘い込み、そのおこぼれを貰うことで生きているモンスターです』


 なかなか小狡いね。それも生き抜く知恵か。

 倒しちゃったから関係ないけど。撃ち漏らしは逃げてったか。勿体ない。

 いや、全滅させても今後の食生活に関わるかもしれないし、いっか。


 さて、私の目の前には撃ち落としたばかりのクスクスインコとやらが十五羽。

 これが何を意味するかといえば、私がうじむしに生まれ変わって初めての鶏肉ということです!


 うふふ、今まではネズミの死体や、訳のわからんゴム擬き、そしてゴブリンだったからね。

 まともな肉と認識できるのは、これが初めてじゃないかしら?


 実食、待ったなしです!


 辛抱たまらず最初の一羽をばくり。

 骨も羽も関係ないね、というか、この体じゃまともに捌けないし、羽すら毟れない。


 …………ッ!


 やっばい、旨い!

 血の滴る香り、適度な油、新鮮な肉の食感!

 これもう屍肉とか食ってられないな!


 いやもう止まらないわ。

 むしゃむしゃ、もぐもぐ、ごくり。


 うはぁ、堪んない……!


 そういや私、人間時代でも鶏肉好きだったもんな。

 うん、これからは積極的に鳥系を狩っていこう。



『『経験則』が発動しました。今までの経験から熟練度が一定に達し、Nスキル:『吸血』Rスキル:『丸飲み』を獲得しました』



『吸血』

 対象の血液を接種することでHP、MP、SPを回復する。また、一定時間継続回復の効果も発生する。


『丸飲み』

 自分より小さな対象を一口で捕食出来るようになる。丸飲みされた相手は抵抗に失敗すると体内に捕らわれ、全てのステータスに大幅なマイナス補正を受ける。



 件のチート、早速発動しました。


 私、その内スキルまみれになるんじゃないの?



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