うじむし34
倒したゴブリンは合計で30匹を超えていた。
数が曖昧なのは、原型を留めていない死体も幾つかあったからだ。
私が溶かした奴は少ないよ?
私の攻撃で原型とどめずに死んだのは、ゴブリンメイジだけだから。
私にビビって逃げたゴブリンがパニックみたいになって、転んだ仲間とかを踏みつけて逃げていったんだよ。
お陰で、地面には食べられる箇所の少ない挽き肉が点在しています。
うん、勿体ないから何とかして食べよう。
少しでも『過食』の成長分に回したいしね。
体はもう少し大きくなっても良いんじゃないかな、と思う。
ゴブリン達を倒して思ったけど、MPさえしっかり管理すれば、私って結構強いんじゃない?
もう芋スナしなくても、勝てるんじゃない?
痛いのは嫌だけど。
取り敢えずゴブリン達を凍らせてもぐもぐ。
凍らせた方が、ゴブリン独特の臭みが軽減出来て食べやすいのです。
『瑠璃様、進化に必要なレベルに至りましたが、どうされますか?』
おぉ、もう進化できるのね!
頑張って戦った甲斐があったなぁ。
でも、どうされますか? ってどういうこと? 今すぐするには危険があるってこと?
『瑠璃様は此所から離れたがっておいでのようでしたので。また、ゴブリンを食して『過食成長』で成長する前と後では、進化先に変化が出来るかと』
あら、本当に?
じゃあまずはゴブリン食べないとね。
体が大きくなって、這って移動するのも少し楽になったから、サクサク食べられるよ。
『過食成長』で幾らでも食べられるしね!
『過食成長』で急成長する時は、体がぶるりと震える。
すると、体が僅かに大きくなっているのだ。
食べた相手の強さとかレベルじゃなくて、単純に食べた量で大きくなれるというのがまた、いいね。
3000ポイントは安い買い物じゃ無かったけど、『過食成長』を取って良かったよ、ホント。
最後のゴブリンの頭をボリボリやってる頃には、私の体は長さ2メートル、幅50センチにまで成長していた。
なんだか、青白い大きなミミズみたいな感じ。
這う、というよりも、体をくねらせて、伸び縮みさせて進む感じ。
皮膚も分厚くなったみたいで、小さいときは動く度に砂や小石に擦れて痛かったのに、今はまったく気にならない。
むしろ、ツボ圧しみたいで気持ちいいくらい。
あ"ぁ~……、そこそこ、そう……、ぐりっとね……。んふぅん。
私、どこか凝ってるのかな?
巨大化ウジムシボディでは、どこになんのツボがあるのか分からないけど。
『大きくなった体に、内側がしっかり適応できていない為だと思われます。体の内側と外側バランスを足るためにも、今度の進化では休眠期間が長く必要になると思われます』
なるほど、安全対策はしっかりしなきゃ、ということね。
じゃあ、さっそく此所から離れよう。
体も大きくなったし、ずるずると這うだけで簡単に進めるね。
景色が動くって素晴らしい。
さっきまでは開けた場所にいたから、森の中に身を隠そう。
人間が復讐しに来るとしても、あの時の私と今の私が同じウジムシだとは思うまい。
あの時の私は、精々が指一本分、5~6センチしか無かったからね。
そう考えると物凄い急成長したんだな。私。
森の奥へ奥へと進むにつれて、木々の生えている密度があがり、どんどん薄暗くなってくる。
聞こえなかった鳥や獣の声も聞こえるようになってきた。
私がいた場所が森の入り口過ぎて、あまり動物やモンスターが寄って来なかっただけだったのか……。
警戒されているのか、誰も近づいてこないけど。
まぁ、いいや。システムさん、ここいらで進化しましょう。
『分かりました。現在、白氏 瑠璃 が進化先で選択できる一覧は、こちらになります』
・ストレンジマゴット
→フォートレスピューパ
要塞蛹とも呼ばれる魔物。強大な魔物の蛹であり揺りかご。通常の蛹型モンスターと異なり、外敵を退ける為に魔法を放ってくることがある。羽化までに永い時を要する。別名、魔王の揺り籠。
→ポイズンリーチ
毒蛭。そのサイズは小さいが、血を吸うことで何倍にも膨れるおぞましいモンスター。強力な麻酔効果のある唾液に加え、衰弱毒を注入してくるため、気付かない内に命を奪われることがある。
→スカベンジャーワーム
腐肉喰らい。食べれば食べるだけ強く大きくなるミミズの魔物。魔物の死体を好んで食べる為、魔境の掃除屋の異名を持つ。討伐した魔物を横から奪われることも有るため、冒険者からは忌み嫌われている。
→ミュータントマゴット
変異蛆。周囲の環境からは考えられない進化を遂げた蛆虫。知られている個体が少なく、固有の特殊能力を持ち、定まった対処法が無いため、非常に厄介。何に進化するかも知られておらず、謎が多い。
ほほぅ! 今回から説明が付いたんだね。
『『相思相愛』の効果ですね。開示できる情報が増えております。進化先について、ご質問はございますか?』
私とシステムさんの愛が実を結んだのね! 素敵!
それで、質問かぁ……。
要塞蛹が羽化する時に永い年月がかかるって書いてあるけど、具体的にはどれくらい? あと、魔王の揺り籠ってことは、これが魔王ルートなの? あからさますぎて地雷に見える。
『まず、羽化に必要な年月ですが、どれだけ早くとも100年はかかるでしょう』
ひゃ、ひゃくねん!?
その間に寿命来ちゃうわ! しかも100年も動けないままなの? キッツい!
『魔王になれるかどうかは……蛹として手に入れた経験値次第、というところですね』
うむむ。蛹の中で寝ているだけじゃ魔王にはなれない、というところか。
動けないのに経験値稼ぎをしなきゃいけないとは、これ如何に?
かなり難しいね。
『世界には、数世紀以上そこにあり、それが要塞蛹であることを忘れられて存在する個体もある位です』
時間が経ち過ぎて、もはや地形の一部と化していたりするのか。
私、そこまでじっとしている自信、ないなぁ……。
『蛹の内に激しく暴れると、討伐隊が組まれることがあるようです。そうなると、動けない分不利ですね。そうやって討伐された要塞蛹も過去居たそうです』
のんびり100年以上かけて魔王ルートか、それ以外のルートで進化を目指すか……。
他の進化の分岐で魔王ルートは開けたりするのかな?
『流石にそこまではお答え出来ません。開示できない情報です』
だよね。
全部知れる訳ないもんね。
うーん、どうしよう。




