うじむし17
新しい朝が来た!
希望の朝かどうかは分からんけど!
私にとっては新たな朝だ。
今の私は新たな私。つまりニューウジムシ。
そう、進化したのだ!
さぁ、寝起き一発であるが、さっそく《ステータス》を見ていこうじゃなイカ。
《ステータス》
名前:白氏 瑠璃
レベル 1
種族:ストレンジマゴット
HP:30
MP:100
SP:40
攻撃力:10
防御力:15
素早さ:15
スキル
N:『警戒』
R:『酸性血』『酸耐性』『氷魔法』
HR:『魔術知識』
称号
『システムを愛する者』『共食い』『神肉食』
カルマ値:0
よ~しよしよし、進化バッチリだね。
素晴らしいのはMPの上がりっぷり。これで『魔術知識』がかなり実用的になって来たんじゃないの?
魔術大全の召喚に必要なのは一秒に一ポイントで、MPがゼロになるまでは使えないから、使用できるのはギリギリ90ポイントとしておこう。
つまり一分半!
読めるかボケぇ!
一分半とか舐めてんのか! 読めてせいぜい短歌とかそんなんだわ!
そもそも文字が分からないんだっつぅの!
はぁ、はぁ、よし、少し落ち着いた。
落ち着くついでに、クソ不味い灰色肉でも食べよう。
ふぅ。お腹が膨れると違うね。
あ、そういえばシステムさん。いろいろあって忘れてたんだけど、私、昆虫大量に殺戮してるじゃない?
それで、ポイントとかどうなってるのかなって?
『勿論獲得しています。倒したのはキャリオンビートルという小型の虫モンスターです。合計で50ポイントになっています』
へぇ、結構倒したと思ったけど、50ポイントなのかぁ。
もしかして、ノーマルスキルとかだったら5ポイントとかで取れたりする?
『スキル取得は、ノーマルスキルで100ポイントからとなります』
げげ、全然足りない。
じゃあ、今回チケットは貰えるのかな?
『当然です。これは進化したものに贈られるボーナスですから』
ぃよっし!
あと、一つ、チケット貰ったら、ポイントはどうなるの?
『残念ながら、消えてしまいます。ポイントの繰り越しには、その為のスキルが必要となります』
うぅーん、じゃあチケットもらったら、虫を倒した分のポイントは無駄になるのかぁ。
『そうなりますね。通常の生物はもっと多くの経験値を稼いでから進化するので、チケットを選ぶメリットがあまり無いのです』
私が最初に三枚もスキルチケットを貰ったのは、システムさんとイチャイチャしてたからだしね。
普通はどんな進化をしようとも、一枚みたいだし。
ポイントなら、倒したモンスターの経験値が、そのまま倍になって入ってくる訳だから、その分取り放題になる、と。
ついでにポイント繰り越しのスキルを持っていれば、序盤にポイント貯めまくって、後半でチートゲット出来たりするわけね。
まぁ、今の私には要らないかな。
なので、システムさん、スキルチケット下さい。
『えぇ、こちらを選ぶと思いまして、用意しておきました』
あ ぁ ん
そして手元に届けられるチケットは、またも三枚!
本当にもうシステムさん素敵!
私、最初に貴方の声に惚れ込んだけど、今はその気遣いが出来る優しい性格にも惚れてるわ!
いつかお会いしたい……。
その為のスキルとか、無いかな……。
『大変残念ですが、システムに会うためのスキルは御座いません。私はあくまで、世界の機能なのです』
ファッ○ン異世界、そこらへん頑張れよ!
異世界っていったらあれだろ、ファンタジーだろ!? ファンタジーっていったら何でもかんでも擬人化するもんじゃないのか!?
あぁ、システムさん、出来ることなら一目お会いしたいッ!
『そこまで慕って頂き、光栄です』
……よし、決めた。
私はシステムさんと添い遂げよう。
その為に神が立ちはだかるというのなら、神を打ち倒してみせよう。
心のオジサマ紳士システムさんのために、この白氏 瑠璃、容赦せんッ!
『そろそろチケットをお引きするのはどうでしょう?』
アッハイ。
そうですね、そこでシステムさんを待たせちゃいけないね。
早速三枚一気に引いていこう。
『Nスキル:『射出』を獲得しました』
『HRスキル:『言語理解』を獲得しました』
『Nスキル:『警戒』を獲得しました』
おぉ!
おぉ?
被った! スキル被っちゃったよ!
こうなったら確かチケットが失われて、意味がなくなるって……。
『Nスキル:『警戒』を統合しますか?』
へ?
統合?
一緒にするってこと? 無駄になら無いの?
システムさん、それ、いいの?
『これも『システムを愛する者』の恩恵と思って下さい』
システムさん……。
なんだか、有り難すぎて恐いくらいだよ。
私なんかただの声フェチのオタクなのに……。
『貴女といるのは楽しいですよ。ですから、こちらのすることで貴女が気に病む必要はないのです』
システムさん……!
私……私……。
ありがとう。
システムさんの好意、絶対無駄にしないからね。
『称号『システムを愛する者』が『システムと相思相愛』に上書きされました』
愛が通じた……! 通じあった!
私とシステムさんは相思相愛になったのね!